江南
晩唐・陸龜蒙
村邊紫豆花垂次,
岸上紅梨葉戰初。
莫怪煙中重回首,
酒旗青紵一行書。
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江南
(
かうなん
)
村邊
(
そんぺん
)
の
紫豆
(
し とう
)
花
垂
(
た
)
るる
次
(
ほとり
)
,
岸上
(
がんじゃう
)
の
紅梨
(
こう り
)
葉
戰
(
そよ
)
ぐ
初
(
はじめ
)
。
怪しむ
莫
(
なか
)
れ
煙中
(
えんちゅう
)
に
重
(
かさ
)
ねて
首
(
かうべ
)
を回らすを,
酒旗
(
しゅ き
)
の
青紵
(
せいちょ
)
一行
(
いちぎゃう
)
の書。
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◎ 私感註釈
※陸亀蒙:唐の詩人、農学家。?〜881年(中和元年)。字は魯望。号は天随子、江湖散人、甫里先生。姑蘇(現・江蘇省)の人。蘇州の名家の出で、湖州、蘇州刺史の幕僚をつとめた。その後、松江の甫里に隠棲して農耕に励み、開墾、農業の改良を行なった。
※江南:長江下流域の南方にある江蘇省南部から浙江省北部にかけての地域を謂う。
※村辺紫豆花垂次:村の当たりに紫の豆の草が咲き、花が垂れ下がっているほとり(で)。 ・紫豆:後出・紅梨とともに、よく分からない。 ・次:ほとり。附近。機会。度(たび)。回。また、うち。中。また、つらねる。ならべる。
※岸上紅梨葉戦初:岸辺の赤い木の実の葉が、風にそよぐ初め。 ・戦:そよぐ。ゆれうごく。 ・初:最初。はじめ。 ・岸上:岸辺。 ・戦:そよぐ。ゆれうごく。 ・初:最初。はじめ。
※莫怪煙中重回首:怪しみなさるな、霞(かすみ)の中を重(かさ)ねてふり返ることを。 ・莫怪-:…を疑わない。…は無理もない。あやしむなかれ。 ・莫-:…なかれ。禁止・否定の辞。 ・煙:霞(かすみ)や靄(もや)の類。 ・重:かさねて。 ・回首:後ろを振り向く。ふり返る。
※酒旗青紵一行書:酒屋の看板の青い麻布に一行書かれている(文字の内容を知りたかっただけさ)。 ・酒旗:酒屋の看板。 ・青紵:青い麻布。 ・紵:〔ちょ;zhu3●〕いちび。麻布。いちびの繊維で織った麻布。
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◎ 構成について
韻式は「AA」。
韻脚は「初書」で、平水韻上平六魚。この作品の平仄は、次の通り。
○○●●○○●,
●●○○●●○。(韻)
●●○○○○●,
●○○●●○○。(韻)
2019. 6.30
7. 1完
10.20補
2020.12. 1
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