城外土饅頭 | |
唐・王梵志 |
城外土饅頭,
餡草在城裏。
一人喫一箇,
莫嫌沒滋味。
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城外 の土饅頭
城外の土饅頭 ,
餡草 城裏 に在 り。
一人 一箇を喫 ふ,
嫌 ふ莫 れ 滋味沒 しと。
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◎ 私感註釈
※王梵志:唐の初期・七世紀後半の詩僧。原名は梵天。衛州の黎陽(現・河南省浚県)の人。『中国歴史地図集』第五冊 隋・唐・五代十国時期(中国地図出版社)44−45ページ「都畿道 河南道」にある。開封の北100キロメートルのところ。
※城外土饅頭:城外の土饅頭。郊外にある土をまるく盛り上げた墓。 *墓の「土饅頭」(どまんじゅう)と食べ物の「饅頭」(まんとう)とをかけて詠った詩。 *この詩の題は、寒山詩のように本来の詩題が附けられていないものと思われる。(原典未確認)。第一句を詩題とした。 *この詩、現代語に通ずる表現や語彙が見受けられる。(=白話詩で、俗語的表現が多い)。 ・城外:郊外。市外。町はずれ。 ・城:城市。城壁で囲まれた都市。市街地。 ・土饅頭:土をまるく盛り上げた墓。
※城外土饅頭:郊外の土を盛り上げた墓(の)。
※餡草在城裏:(土饅頭の)餡(あん)となる原料の草(=人の屍(しかばね))は、市内にある。 ・餡草:(土饅頭の)餡(あん)となる材料の草。人の屍(しかばね)を指す。 ・在+(場所):(どこそこ)にある。現代(中国)語でも極めてよく使われる語。後出・「裏」も同様。 ・城裏:市内。城内。
※一人喫一箇:一人が((土)饅頭)一箇を食べ。 ・喫:食べる。現代(中国)語での字体では“吃”だが、現在でもよく使われる語。
※莫嫌没滋味:美味しくないと、嫌いなさるな。(人は誰でも、いつかはこの土饅頭に入るのだ)。 ・莫:…なかれ。 ・嫌:嫌う。嫌がる。不満に思う。 ・没:…ない。なし。現代(中国)語でもよく使われる。 ・滋味:美味である。
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◎ 構成について
韻式は、「aa」。韻脚は「裏味」で、平水韻去声ゥ・未。この作品の平仄は、次の通り。
○●●○○,
●●●○●。(韻)
●○●●●,
●○●○●。(韻)
2019.9. 9 9.10完 9.12補 |
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