聽曉角 |
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中唐・李益 |
邊霜昨夜墮關楡,
吹角當城片月孤。
無限塞鴻飛不度,
秋風卷入小單于。
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曉角 を聽く
邊霜 昨夜關楡 を墮 し,
吹角 城 に當 たって片月 孤 なり。
無限の塞鴻 飛びて度 らず,
秋風 卷き入 る 『小單于 』。
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◎ 私感註釈
※中唐の詩人。749年?(天寶八年?)〜827年(太和元年)。大暦年間の進士。燕趙の間(現・河北山東の間)の軍幕にいた。辺塞詩の七絶をよくする。字は君虞。隴西姑臧の人。
※聴暁角:(軍隊での)朝を報せる角笛の音を聴き入る。 ・聴:(耳をすまして)聴く。(聴こうと思って)聴く。 ・暁角:あかつきに鳴るつのぶえの音。ここでは、軍隊での朝を報せる角笛の音。
※辺霜昨夜堕関楡:国境周辺に降りた霜は、昨夜、国境の砦に植えられたニレの木の葉を落として。/ニレの木に(霜が)降りて。 ・辺霜:国境周辺に降りた霜を謂う。 ・堕:〔だ;duo4●〕おちる。おとす。ここでは、「(ニレの葉を)落とす」ことを謂うのか、「(霜が)降りた」ことを指すのか。ここでは、前者の意で解釈していく。後者の意の「(霜が)降りた」意の読み下しは「辺霜 昨夜 関楡に堕(お)ち」になる。 ・関楡:関塞(=国境の砦)に植えられたニレの木。
※吹角当城片月孤:吹角当城片月孤:角笛の音は、城塞に当たって(響き)、かたわれ月は、ぽつんとある。 ・当城:城塞に当たる意。 ・片月:かたわれ月。ゆみはり月。 ・孤:ひとり。
※無限塞鴻飛不度:数限りない雁は、飛んでも渡りきれないで(いつまでも続き)。 ・鴻:オオトリ。ヒシクイ。雁の最大種。 ・飛不度:飛んでも渡りきれない。飛んでも渡りおおせない。「不飛度」との表現ならば、飛んで渡らない意になる。
※秋風巻入小単于:(軍隊の起床ラッパの角笛のみならず、その上更に)秋風が唐代の角笛(つのぶえ)の曲である『小単于』の曲をも巻き込んで(伝えてきたので、辺疆の趣は一層である)。 ・巻入:巻き込む。 ・小単于:唐代、角笛(つのぶえ)の曲の名。 ・単于〔ぜんう;Chan2yu2○○〕匈奴の王の呼び名。
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◎ 構成について
韻式は、「AAA」。韻脚は「楡孤于」で、平水韻上平七虞。この作品の平仄は、次の通り。
○○●●●○○,(韻)
○●◎○●●○。(韻)
○●●○○●●,
○○●●●○○。(韻)
2020.5.21 5.22 5.23完 9.12補 |
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