顧城一代人詩詞世界　碇豊長の漢詩　燦爛陽光之歌　文化大革命期の詩歌 Gu Cheng

　　　　　　　　　　一代人

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　顧城　　　　　　

黑夜給了我黑色的眼睛，
我卻用它尋找光明。

　

フリーイラスト

******

　　　　　　　　　一代人

暗い夜は、わたしに黒い瞳（／暗い眼差し）を与えたが，
わたしは反対に、それで、輝(かがや)かしい希望を探した。

　　　　　　　　**********

◎　私感註釈：

※顧城:現代詩人。１９５６年～１９９３年。現代の朦朧詩の代表的人物。文化大革命前に詩の創作を始める。後に、ニュージーランドへ渡り、オークランドの外海の島での生活中、誤って妻を傷つけて死なせ、自分も自殺した。

※一代人：ある一時代の人。 *この詩、“黑〔hēi〕”という語が基本的には 1.「黒い（くろい）」、2.「暗い（くらい）」という現代（中国）語の言葉の幅を利用した現代の朦朧詩。（「黑」には黒い、暗い、の意の外に、夜。秘密の。闇（やみ）の。隠す。悪い。反動的である、）等。この二行の詩、もしも更に区切って読むとすれば「黑夜給了我黑色的眼睛，我卻用它尋找光明。」となる。　・一代：（同一）世代。（期間、王朝の）代。ある時代。人の一生。

※黒夜給了我黑色的眼睛：闇（やみ）の夜（≒暗い時代）は、わたしに黒い瞳（／暗い眼差し）を与えた。（陰鬱な時代は、私に暗い眼差し（＝沈鬱な表情）を与え）。　・黒夜：暗夜。闇（やみ）の夜。　・給：与える。やる。あげる。　・了：…た。完了を表す。　・我：わたし　・黑色：黒い／暗い。　・的：形容詞の後に附く。【形容詞的名詞】“黑色的眼睛”「黒い＋目」　・眼睛：目の玉。目。

※我却用它尋找光明：わたしは、（暗い眼差し）にもかかわらず、反対に、それを使って、輝かしい希望（≒毛沢東思想）を探した。　・却：反対に。　・用：（介詞）…で。用いて。使って。また、正式の動詞としては、用いる。ここは、前者の意。　・它：それ。ここでは「眼睛」（目）を指す。　・尋找：探す。あさる。　・光明：あかるい光。光輝。あかるい見通し。希望。文化大革命の時期では、『毛澤東思想光明萬丈』の歌があったように毛沢東思想が照らし出す明るい前途。

　　　　　　　　　　　　****************

◎　構成について：

　　韻式は、「AA」。韻脚は「睛明」で、平水韻下平八庚。この作品の平仄は、次の通り。

●●●●● ●●●●○，（韻）
●●●○ ○●○○。（韻）