春水滿四澤,
夏雲多奇峰。
秋月揚明輝,
冬嶺秀孤松。
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四時
春水 四澤に 滿ち,
夏雲 奇峰に 多し。
秋月 明輝を 揚(あ)げ,
冬嶺 孤松を 秀(ひい)づ。
◎ 私感註釈 *****************
※陶淵明:陶潜。東晉の詩人。。。。
※四時:〔しいじ、しじ;si4shi2●○〕四季。この作品は『古文眞寶』から採った。春夏秋冬をもじった、言葉の遊びのような構成で、陶淵明の作品ではないと謂われるのも、もっともなことである。
※春水滿四澤:春の水が四方の沼沢に満ちて。 ・春水:春の水。 ・滿: ・四澤:方々の池や湖。四方の沢。
※夏雲多奇峰:夏雲:夏の雲は、変わった形の峰から、たくさん(湧き上がってくる)。夏の雲は、変わった形の峰にたくさんまとわりついている。 *当時、雲とは、朝に山から湧き出、夕に山に帰ってゆく、という認識があった。 ・夏雲:夏の雲。 ・多:夏雲は、奇峰に多い、ということ。節奏は「夏雲+多奇峰」。 ・奇峰:変わった形の峰。 ・峰:〔ほう;feng1○〕山のとがっている部分、山の険しく高いいただきといった意味の「みね」で、鋒からきている。後出の「嶺」〔れい;ling3●〕も、「みね」になるが、みねの続いているもの、大山脈といった、うねうねと続くさまのもの。また、山頂、峠。当然のことながら、意味の上で使い分けるだけでなく、語調や平仄、押韻も関係して使い分ける。
※秋月揚明輝:秋の月は、輝かしさを発揚し。 ・秋月:秋の月。 ・揚:あげる。さしあげる。ひきあげる。とびあがる。 ・明輝:明るく輝くこと。また、明るく輝く月。
※冬嶺秀孤松:冬の山の嶺々は、(落葉樹は葉を落として、時節の前にうちひしがれたが)一本だけぽつんとある松の木だけは、ひときわ高く聳えているのが目立っている。 *『論語・子罕』「子曰:歳寒,然後知松栢之後彫也。」に基づく。 ・冬嶺:冬の山のみねみね。 ・秀:ひときわ高く聳える。作者陶潜の気節ある生き方を暗示する。 ・孤松:一本松。一本だけぽつんとある松の木。作者陶潜の気節を暗示する。
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◎ 構成について
韻式は「AA」。 韻脚は「峰松」で平水韻で見れば、上平上平二冬。この作品の平仄は次の通り。
○●●●●,
●○○○○。(韻)
○●○○○,
○●●○○。(韻)
2004.12.31 |
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