Xin Qiji ci


   辛棄疾詞
xinqiji XinQiji xin qiji Xin Qiji Shici Shijie shicishijie

   鷓鴣天
送人
唱徹陽關涙未乾,
功名餘事且加餐。
浮天水送無窮樹,
帶雨雲埋一半山。


今古恨,
幾千般,
只應離合是悲歡

江頭未是風波惡,
別有人間行路難。





******

鷓鴣天
人を送る
       

陽關を 唱ひ徹して  涙 未だ乾かず,
功名は 餘事にして 且
(しば)し 加餐せよ。
天を浮べる水は 送る  無窮の樹,
雨を帶びる雲は 埋める 一半の山。


今古の恨は,
幾千般にして,
只だ應
(まさ)に 離合のみ  是れ 悲歡なりや
江頭 未だ是れ  風波 惡
(あ)しからざるも,
別に 人間
(じんかん)に 行路の難きが 有り。

      **********

私感註釈

※鷓鴣天:詞牌の一。詞の形式名。詳しくは下記の「構成について」を参照。
※送人:旅立つ人を見送ること。現代の日本では、玄関先で見送ることが多いが、この時代は、旅立つ人に連れ立って、郊外まで行き、そこで餞別としての飲食をした。
※唱徹:うたい終える。うたい徹する。徹:とおす。最後までとおる。終わる。
※陽關:王維の「送元二使安西」のこと。「贈別」「渭城曲」「陽関」ともいう。句中に「西出陽關無故人」のくだりがある。ここでは、「陽関三畳」のこと。この詩は、別れの時、第二、三、四句を繰り返して謡った。(歌い方はいろいろある)。その歌い方を「陽関三畳」(「畳」は繰り返すということ)という。陽関−「久米仙人の旅」より
※涙未乾:涙がまだ乾かない。感動がさめやらないうちのこと。
※唱徹陽關涙未乾:涙がまだ乾かないうちに、(惜別をした宿舎から、早既に屋外へと出た)。
※功名:手柄を立てて、名をあげること。立身出世。ここでは、社会的に活躍すること。公的な活動をして名をあげる。
※餘事:副次的なしごと。余力でするしごと。ここでは、「重要でない」「些細なこと」の意で使われている。
※且:しばし。短時間を表す語。
※加餐:食事を多くとること。自分の身を第一にすることをいう。
※功名餘事且加餐:公的な活動をして社会的に名をあげることは、(今の状況では、無意味なので、)二の次(と考え)、しばらくの間は自分の身を第一(に考えて行動していればよい)。これは辛棄疾がそのときの政治体制に不満足である、ということの意思表示である。
※浮天水:空の日の光を水面で反射した川の流れ。「帶雨雲」の対になるところ。
※無窮樹:無限にあるかのような多数の樹木。「一半山」の対にになるところ。ここの句を朱徳才や楊燕は、「岸の樹が江水に隨って遠くへ伸ばしている。」(岸樹隨(着)江水伸向遠方)ととっているが、果たしてそうだろうか。この「無窮樹」については、劉禹錫の「行人揮袂日西時。長安陌上無窮樹唯有垂楊管別離」や李商隱の「南浦無窮樹,西樓不住煙」等の使い方を見れば、「無限の」「無数の」という意味で使われている。何如。
※浮天水送無窮樹:日に輝く川が流れて、(去りゆく舟を)送り、岸辺の無数の木々(も見送っている)。日に輝く川が流れていく方に木の枝がずっと伸びており。
※帶雨雲:雨を含んだ雲。雨を帯びた雲。
※埋:(雲の)中にある。(雲に)隠されている。
※一半山:山の半分。 ・一半:半分。
※帶雨雲埋一半山:雨を帯びた雲に山の半分が隠されている。
※今古恨:むかしからの恨み言。
※幾千般:何千種。何千種類もの。 ・般:種類。
※只應:ただ…だけだろう。ただしここでは、反問しており、「どうして、ただ…だけだろうか」になる。
※離合:別れることと出会うこと。会っては別れること。
※是:…は…である。これ。肯定を表す動詞としての働きをする。
※悲歡:悲しみと歓び。
※只應離合是悲歡:(今日は送別の時だが、はたして)別れや出会いのみが人の世の悲しみと歓びなのだろうか。人の世には、もっといろいろな問題がある、ということにもっていく句である。
※江頭:川辺。川の畔。
※未是:まだ。 ・是:副詞のようなものの後に付き、語を作る。「是」字の意味を深く考える必要はない。作る語に別是、於是、但是、若是、自是、既是……等、古語・現代語ともに多く見られる。
※風波惡:風や波はひどくない。
※江頭未是風波惡:川辺は、まだ風や波はひどくない(が)。ここの「江」は、目前の風景だけでなく、後に続く「人間」(人の世)との対比の意味ででも使われている。
※別有:(それとは)別個に。別に…ある。
※人間:じんかん。人の世。世間。社会。
※行路難:過ごすのに困難がある。行く末がむつかしい。
※別有人間行路難:(自然界の風波)とは別に、人の世を渡っていくことは難儀だ。「別是…」とするのもある。ほぼ同義。



◎ 構成について:

   双調。五十五字。 平韻 韻脚は、「乾餐山 般歡難」で、第七部平声十四寒。

●○○●○,(平韻)
●●○○。(平韻)
○●,
●○○●○。(平韻)


○●●,

●○○。(平韻)
●●○○。(平韻)
●○○●,
●○○●○。(平韻)
***********************

2002.1.4完
     1.5補

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