zhuzhici


  
xinqiji XinQiji xin qiji Xin Qiji Shici Shijie shicishijie

   唐河傳
傚花間體
春水,
千里,
孤舟浪起,
夢携西子。
覺來村巷夕陽斜。
幾家,
短墻紅杏花。


晩雲做造些兒雨,
折花去,
岸上誰家女。
太狂顛。
那邊,
柳綿,
被風吹上天。





******

唐河傳
傚花間體
       

春水,
千里,
孤舟 浪 起こし,
夢に 西子を 携ふ。
覺め來れば  村巷に 夕陽 斜めなり。
幾く家の,
(ひく)き 墻(かき)の  紅き杏の花。


晩雲 做り造
(いだ)す 些兒(いささ)かの雨,
花を 折りて去る,
岸上 誰が家の女
(むすめ)ぞ。
(はなは)だ 狂顛。
(か)の邊り,
柳綿,
風に 吹か被
(れ)て  天に上る。


      **********

私感註釈

※唐河傳:詞牌の一。詞の形式名。詳しくは下記の「構成について」を参照。
※傚花間體:「花間集」の作風を倣って。
※春水:春の川の流れ。
※千里:面積や距離の大きいことをいう。また、広々、遙々という形容。千華里。
※孤舟:一つだけぽつんとある小舟。 ・舟:小型の船。 ・船:大型のふね。
※浪起:浪が起きる。 ・浪:やや大きな波で、
。 ・波:小さな波で、
※夢携:夢の中で連れ添っている。
※西子:西施。呉王夫差の愛妃で、美女といわれる。美女の代名詞。ここでは、後者の意。
※夢携西子:夢の中で美女を連れ添っていたが。
※覺來:目が覚めたら。 ・來:動作の趨勢を表す。
※村巷:村の小道。
※夕陽斜:夕日が沈もうとしている。夕日が斜めになっている。
※覺來村巷夕陽斜:目が覚めたら、(舟はちょうど)村の小道(のところにさしかかっており)で、(まさに)夕日が沈もうとしている。
※幾家:数軒の。
※短墻:低い垣根。
※短墻紅杏花:低い垣根越しに紅いアンズの花(が咲いている)。
※晩雲:夕暮れ時の雲。
※做造:作り出す。ここでは、雨を降らすこと。
※些兒:いささかばかり。少し。 ・兒:白話の接尾辞で、翻訳上は、さしたる意味はない。
※晩雲做造些兒雨:夕暮れ時の雲がいささかばかりの雨を降らした。
※折花去:花を折って持ち去って行く  ・去:いく。さる。
※岸上誰家女:どこの娘だ。 ・女:むすめ。少女。
※太:はなはだ。あまりにも。いいことがらの時には、あまり使わない。
※狂顛:きちがい。クレイジー。ここでは、少女の“過激な”行動にびっくりして使った言葉。張籍の「羅道士」に「…聞客語聲知貴賤,對(持)花歌詠似狂顛。尋常行處皆逢見,世上多疑是謫仙。」がある。
※那邊:あそこ。 ・那:あれ。それ。あの。その。遠称、中称の指示代詞。
※柳綿:柳絮。柳の綿毛。
※被:受け身を表す。〔被+名詞+動詞〕:…に…される。句中の名詞が省略する方法(〔被+動詞〕:…られる。)も可。この〔被+名詞+動詞〕の文型は、文語の〔爲+名詞+所+動詞〕と近い表現。
※被風吹上天:風に吹かれて天に上げられる。



◎ 構成について
 
 
 双調。五十三字。 換韻。 韻式は「aaaaBBB cccDDDD」。韻脚「水里起子」は第三部上声四紙。「斜家花」は第十部平声六麻。「雨去女」は第四部上声、去声。「顛辺綿天」は第七部平声一先。詞調はこの作品のもの。

   
○●,(a仄韻)
   ○●,
(a仄韻)
   
○○●●,(a仄韻)
   
●○○●。(a仄韻)
   
●○○●●○○。(B平韻)
   ●○,(B平韻)
   ●○○●○。(B平韻)


   ●○●●○○●,(c仄韻)
   ●○●,(c仄韻)
   ●●○○●。(c仄韻)
   ●○○。(D平韻)
   ●○,(D平韻)
   ●○,(D平韻)
   ●○○●○。
(D平韻)。
 

***********************

2002.1.7完

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