「スカイラインの設計を夢見て」

07年6月11日


スカイラインの設計を夢見て

上野憲造

日本規格協会1997.4

 
著者である上野憲造さんは櫻井眞一郎さんの元でスカイラインの設計に従事していた方です。櫻井さんの本によれば櫻井ファミリーでは東大卒は大抵落後していったが(このことには少し引っ掛かりがあるんですが)上野憲造さんだけ落後しなかったとある、その上野憲造さんが書いた本です。

上野さんは1966年の入社とありますから第3回日本グランプリの年の入社です。
R380系についてはシボレーエンジンを積んだR381のことが書いてあり面白く読みました。R381ではフレームを丸ごと炉の中に入れて熱処理したとあります。残留応力を除去するための熱処理なんでしょうが、そんな大きな炉が日産にあったんでしょうか。

この本には技術的問題解決の実例が随分多く書いてあります。組み立て式の4本スポークホイールを採用したときには真円にならずに苦労したとあります。ホンダがかつてオートバイで採用したコムスターホイールも評判は悪かったですね。組み立て式は難しいみたいですね。

技術的問題解決の実例がたくさん書いてあり、これは問題解決の手法例として現役のシャシー設計者が読んでも役に立つんじゃないかなと思いながら読みましたが、あとがきを見ると「本書はスカイラインのファンに対するスカイライン物語のようなものではなく、技術教育論とでも考えていただければよいと思う」とありました。

なるほど納得でした。大変面白かったです。

 
プリンス・スカイライン2000GT

S600に乗ってるときの強敵でした

モーターファン1965年4月号

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