1 [2]
基本部分は最近のキットと同様で、昨年リニューアルされたA8と比較的共通性を感じました。
あまり経験のない人が取り組むことを考えると、さらに詳しく説明してほしいところもありますが、そこはメーカーの考え次第でしょう。
前方の台枠と端梁部分を折り曲げます。
端梁の左右は丸めて後ろ側に回します。一見難しそうですが、薄くエッチングされているので、指先でなじませるだけで簡単にできました。
台枠上部に1のデッキ板を固定し(写真は上下裏返しの状態)ました。
2のカプラー座はM1.2タップを立てて取り付けました。
ワールド工芸の場合、タップ径は概ね次のようになっています。M1.4があればほとんど間に合います。
・普通のネジ … M1.4
・カプラー取り付けネジ … M1.2
・ラジアスロッド用ネジ … M1.0(施工済みのことあり)
なおトーマモデルワークスの場合、カプラー取り付けネジもM1.4とされ、カプラー本体の穴のほうを広げて取り付けます。M1.2タップは比較的入手がしにくいので、M1.4ネジを別途調達できればM1.4で代用するのもアリかと思います。
前デッキに各種のディテールパーツを取り付けました。
1のスライドバーを2の板にハンダ付けし、前デッキの後ろに固定しました。スライドバーはまっすぐ付けるのが案外難しくてニクイです(笑)。
スライドバーの後部は宙ぶらりんなので、取り扱い中にうっかり曲げがちです。何か後部をうまく車体側に留める方法はないでしょうか。
先台車と車輪押さえを折り曲げて組み立て、シリンダーブロックの後部の湯口をきれいに削り落としておきます。
シリンダーブロックはスライドバーを付けた板の直前に上からかぶせますが、意外と場所が狭く入りにくかったので、ヤスリで後部を少し削ってしまいました。
なお先台車は車輪押さえをネジ留めし、一体の状態で塗装しました。
左右の主台枠を折り曲げてハンダ固定しました。
旧製品ではΩ形だった軸受けが∩形になり、車輪を抜き取れるようになっていることがわかります。
1のモーターケースを折り曲げて組み立て、底部に上から2の板(H1-8)を貼り重ねました。
出来上がったら公式側の主台枠に載せて下からネジ留めします。私はネジ留めしたまま塗装しました。
公式側の主台枠に前デッキ部を固定しました。
旧製品ではスライドバーを主台枠の塗装と車輪の圧入後に固定するのですが、 今回は車輪を軸受けの下側からはめ込むことができるので、先にスライドバーを固定しておけます。
一度上廻りにネジ留めして、取り付け穴の位置が合うか、傾きがないかなどを確認しました。
2の部分はシリンダーブロックの真下から2mmネジで留めますが、ボイラー側の穴の位置が少し斜め前方にずれてしまい、シリンダーブロック側の穴の位置を削って調整しました。
穴の位置がずれたまま無理に留めると、機関車が首をかしげてしまいます。
左右の車輪押さえを折り曲げて組み立てます。ブレーキシューもこちらについています。
車輪を主台枠の軸受けに下からはめ込んだあと、この車輪押さえをその下からはめ込んでネジ留めするしくみです。
公式側の主台枠の後部にドロダメを、非公式側の後部にブレーキシリンダーを固定しました。
なお旧キットでは両側ともブレーキシリンダーでした。
これでバラバラだったエッチング板から各部の部品ができたので、洗浄のうえ塗装しました。
写真に写っていませんが、他にナンバープレートもあります。
塗装には水性のアクリジョンを使用し、ブラック:フラットブラック=1:1程度に混ぜ、それを2倍に希釈して拭きつけました。
希釈液はアクリジョンの専用うすめ液と水を使い、薄め液:水=1:1ぐらいだったかな…?薄め液のみではリターダー成分が多くて乾きが遅いので、水を混ぜたほうが塗りやすく感じます。
スライドバーと、通電が必要な軸受け周辺はマスキングして塗りました。軸受けは車輪で隠れるので、塗られていなくても外からはわかりません。
〜2日あけました〜
公式側の主台枠にギヤとメカステー(大ギヤ軸に似た形のスペーサー)をネジ留めしました。
ギヤ周辺は説明書のとおりに組みましたが、大ギヤが小ギヤ軸やそのネジに引っかかり気味だったので、ワッシャーと思しき部品(適当にH1-7)を大ギヤの下に挟みました。写真の2のあたりです。
写真の1は、左右の台枠の間に挟むメカステーです。説明書の図は実際と構造が違っており組み立てられません。困ってメーカーに電話しそうになる直前、この部品の存在に気付き、何とか組み立てました。
今回は説明書に間違いが多いように感じます。もっとも私は説明書が正しくても間違えますけど(笑)。
たぶん現実には出荷前の組み立てチェックなど、いちいちやっていられないのでしょう。
メカステーの上に絶縁ワッシャをはさんで非公式側の台枠を置き、絶縁ブッシュを通してネジ留めしました。
車輪押さえをネジ留めし、軸受けに車輪を差し込んで軽く回るかを確認しました。
具合がよければ軸受けはそのまま手をつけない予定でしたが、ちょっと渋かったので、2.5mmリーマーで穴をさらって整えました。
余談ですが、左右の台枠がまっすぐ揃うようにメカステーのネジを留めないと、軸受けが不揃いになって動きがギクシャクします。
機関車が左右に傾いたりもします。
車輪を入れて、平らなレールの上に軽く押さえながら前後のメカステーのネジを締め直しておくとよいかもしれないですね。
これだけで走りの滑らかさにはっきりと違いが現れました。
ギヤ軸に万力で動輪を圧入し、輪心をはめ込みました。
輪心ははめ込みがきついので、中央を2.5mmリーマー(ヤスリで可)でさらい、外周も軽くヤスリがけしておきました。きついまま無理に押し込むと、位相の調整がしにくくなります(輪心を回して合わせます)。
輪心の裏側や、表の穴の周辺にバリが出ていることもあるので、それらも削っておきます。
動輪のクランクピンは非公式側を90度先行させます。
まず基準となる1軸は、ギヤの歯の位置を目安に、輪心を回してクランクピンの位置を決めました。今までのどれかのキットの説明書に書かれていた方法です。
公式側は歯の山の位置にピン穴を合わせ、非公式側は90度ずれた歯の谷の位置に合わせました。いずれも目分量です。
輪心の固定には、位置を合わせてから瞬間接着剤を使う方法や、あらかじめゴム系接着剤などを輪心の裏側に付けておく方法などがあります。
第二・第三動輪はギヤ連動しているので、動輪の取り付け後に輪心の向きを確認し、ずれているようなら輪心を回して向きを揃えます(図は正確ではないと思います、すみません)。
ギヤのアソビのため、動輪の角度は結構大きく左右にずれます。調整の際に適切な位置がわかりにくいので、先にモーターとウォームを取り付けて、大ギヤがくるくる回らないようにしておけば楽なことがあります。私は今はどちらでもてきとうにやっています。
動輪を軸受けに入れて車輪押さえをネジ留めし、ブレーキシューが車輪に当たらないように調整しました。
前後のメカステーのネジも調整しています。
サイドロッド、クロスヘッド、メインロッドの順に動きを確かめながら取り付けました。
スライドバーはあらかじめまっすぐにし、磨いておきました。
2のピストン棒は、説明書にあるように、内側に1mmほど段差を付けて曲げました。クロスヘッドをスライドバーに通して往復させてみて、ピストン棒が3の穴に強く擦れないよう曲げ具合を調整します。また、3の穴を0.8mmドリルで少し広げておきました。
4のメインロッドも説明書にあるように少し斜めに曲げました。ほんの少しです。第2動輪クランクピンやサイドロッドに強く当たりすぎないよう調整しました。
直線・曲線レールの上で向きを変えて往復させ、軽く転がっていくようにします。何か引っかかりやぎこちなさがあるようなら、それをモーターのトルクで帳消しにすることはできないので、がんばって調整します。
モーターを取り付け配線し、ウォームを接着しました。ウォームは大ギヤと互いの歯の深さの半分ぐらいが噛み合うぐらいでちょうどよいようです。作例では何も調整しなくてもちょうど良い噛み合わせになりました。
ウェイトが付属しているので、前方に両面テープで留めました。
試運転します。ドキドキしますね。
基本的な動きを確かめたら、上廻りを固定し、変なところが当たらないかを調べながらさらに走行テストします。
結果は良かったです。旧製品とは苦労の度合いがまるで違います。大した調整もなくうまく走ってくれました。
前部にマグネ・マティックカプラーNo.2001を付けると、R280で先輪が当たって脱線することがあり、カプラーの後部を少し削って横幅を狭めました。最終的に8100シリーズはいくつか組み立てましたが、そのままで問題なかったこともあります。
旧製品では車軸が汚れて動きが悪くなっても、簡単にはふき取ることができなかったのですが、今回は車輪を外せるので軸受けの掃除も簡単です。手入れができるというだけで嬉しいです。
説明書には実機についての解説や歴史がちゃんと書かれているのが親切です。
真谷地時代(5051)はおもに客車牽引だったようですが、もちろん貨車を牽かせても似合います。
平坦線で2軸貨車5〜6両ぐらいまでがちょうどいい感じでしょうか。不調をきたすと嫌なのであまり多くは牽かせていません。
これは煙室が前方に延長された姿ですが、原型の8100形では煙室の前端がシリンダーの前面あたりまでしかなく、だいぶ印象が違っていました。
もし今回の8100がよく売れたら、9200(ダイコン)のリニューアルもあるかもしれません。→※追記:翌2015年に「三菱鉱業芦別専用鉄道9200形」としてリニューアルされました。
このへんはもともと米国機ですから、米国のファンにもどんどん売れないものかなと思います。ただ何かあったときのサポートが国内とは比べものにならないほど大変な気も…。
北炭真谷地5051仕様の翌2015年には、北炭真谷地5052仕様も発売されています。
その後も8100形 寿都鉄道8105仕様のリニューアル、寿都鉄道8108仕様の追加など、順調にバリエーション展開がなされています。
→8100形 寿都鉄道8108仕様(ワールド工芸)の組み立て
1 [2]