Nゲージ蒸気機関車>蒸機の紹介>9800
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なかなか機械的な魅力のある機関車です。
9812(標準型) | 9812(標準型) 前方デッキ上のカッコイイ手すりは金属製です。 ボールドウィン製だからというわけでもないのでしょうが、配管の取り回しに特徴があってヘロヘロな感じです。しかし雑なのではなくて何か理由があるのかもしれません。台所の床にジャガイモが雑にゴロゴロしているのを見て、「イモが落ちてる」と言ったら、「落ちているんじゃなくて置いている」と言われたことがありました。 |
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9801(エプロン付) | 9801(エプロン付) エプロンよりも空制関係の装置のほうが特徴的なので、商品名も「空制タイプ」のほうがハッキリしたような気もします。 標準型で動力逆転機のついている部分に、こちらは複式コンプレッサーがついています。 |
9812(標準型) |
9812(標準型) 空制付きの9801に比べるとあっさりしています。 背中の3つのコブは、中央が蒸気ドームで、前後が砂箱です。 |
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9801(エプロン付) |
9801(エプロン付) 冷却管が一般の国鉄蒸機より高いところにあるのが面白いです。 |
9812(標準型) | 9801(エプロン付) |
基本的には両者同じ形ですが、上部の増炭枠やタンクの有無などが違います。
テンダーにはナンバープレートがないですね。
マレー式は後方の走り装置は固定ということになっていますが、この模型は両方とも首を振ります。これにより小半径の曲線通過を可能にしています。モーターが片側に寄っている点を除けば、電気機関車の模型に近い構造のようです。
パッケージには注意書きとして「9800系(原文ママ)は半径280mm以上の曲線線路をお使いください。鉄橋・トンネルなどの取り付け位置にご注意ください。」とあります。
中央の動輪がフランジレスです。これは曲線通過のためではなく、軸距離の関係ではないかと思います。この動輪サイズで第2動輪にフランジを付けると、隣り合う動輪のフランジ同士がぶつかってしまいます。
ボイラーの下側が完全にふさがっている構造は、プラ量産品としては珍しいです。
ボイラー上部はランボードと分離しており、上側に引っ張ると外れます。
上部のウェイトの溝に3本のリード線があり、前方のライト基板とモーター端子、テンダーを結んでいます。テンダーとの電気的な接続はリード線によって行なわれています。従ってドローバーに集電線はついていません。
機関部の集電は、前方台車からのみ行なわれています。集電シューの接点にリード線がハンダ付けされており(赤の矢印)、それが前方を回って上部のライト基板にハンダ付けされています(青の矢印)。 後方台車からは集電されておらず、3軸中2軸がゴムタイヤ付きとなっていて、専ら粘着機能を担っています。 |
テンダー台車は後部の2軸側からのみ集電されています。車輪が多い割に集電車輪が少ない印象です。
この走り装置をひとつ取り出して、Cタンクなどに使えないかと考えますが、色々と工夫は必要かと思います。最初の工夫は、この9800を今どうやって入手するかですね。
A0651 9800型 9812 マレー式・標準型 2004年 |
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A0652 9800型9801 マレー式・エプロン付 2004年 |
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1996年のD51以来、次々とプラ初登場の蒸機をリリースしてきたマイクロエースでしたが、前年にC63が発売されたことで一区切りついた格好になっていました。
しかしこの9800の発売により、いよいよさらにディープな世界にアリイが進入するのではと、ひそかに期待もされました(注:私の脳内)。
マイクロエースとしても、この分野にどれぐらいの人が興味を示すのか、まずは出してみないとわからなかっただろうと思います。
ちょっとボイラーが高くて空中を飛んでいるため、プロポーション的にはこんな感じなのですが、確実な動力機構になっており、走っている様子を見ても面白いです。
構造上、ある程度動力台車の上の隙間が空くのは仕方ないと思いますが、どさくさに紛れてキャブ下まで何もないのがマイクロエースらしいというかテキトーっぽい感じです(笑)。
9800のファンのほか、マイクロエースの蒸機をコレクションしている人などが購入したものと思いますが、どんな車両を牽引していたのか、どんな情景が似合うのかわからないという声も聞かれました。
9800に限らず、ある程度時代が古くなると、どうしてもこういう悩みは起きます。楽しい悩みです。プラでホハ12000など発売されたら面白かったですね。
当時のマイクロエースの蒸機の価格は概ね¥8,600でしたが、この機関車は¥12,000と高めに設定されていました。でも2018年時点では普通の値段に思えます。
私が見た限りでは9800はずいぶん長く店頭に残っており、長いところでは3年以上も残っていました。ただひとつの製品が何年も店頭で買えるのは、本来ユーザーにとっては安心なことと思います。
これを最後にマイクロエースから蒸機の新形式が出ることはなくなり、このあとは客車や貨車とのセット商品がいくつか出た後、小変更による既存製品の再生産が何度か行われることになりました。
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