Nゲージ蒸気機関車>蒸機の工作>3D雨宮タイプBタンク 空制化仕様(トーマモデルワークス)
昨年発売された、3D雨宮タイプBタンクの別タイプです。コンプレッサーなどの空制機器が装備されてディテールアップされました。
上廻りは細部に至るまで一体造形のため、組み立ての簡単さは前回のものと変わりません。
組み立て済みの動力部はさらに低速側にチューニングされ、昨年の5形蒸気機関車と同様の超低速仕様となりました。
2022.4.10
原形・密閉キャブ仕様(初回) | [空制化仕様]
新製品は「#1161 3D雨宮タイプBタンク〔空制化仕様〕」です。なお同時に昨年の2製品も今回の動力に変更のうえ再生産されました。
キットの構成も変わりありません。組み立て済みの動力に一体造形の車体、前後の端梁、ギヤカバー、そしてカプラーです。
(写真はランナーが1箇所折れていますが部品は無事です)
今回の一体造形ボディーです。前回(空制なし)は細かいディテールがないフラットなデザインでしたが、今回は複雑な空制仕様ということもあり、真逆のフルディテール的な表現になっています。
直径0.4mm程度の発電機の排気管やコンプレッサーの排気管、冷却管の端などは、ボイラーとの一体化ではなく浮いています。写真は大きく見えますが端梁間3.6cm程度の小ささなので非常に繊細です。
こういうのが一発で出せるのが3Dプリントの良さですね。もちろん破損しないように取り扱いには要注意です。自前の3Dプリントであれば、誤って壊しても再造形すれば済むことですけども。 一番壊しそうな発電機の排気管は、もし折ってしまったら真鍮線で作り直せばよいでしょう。
電子説明書は前回の雨宮タイプBタンクの改訂版という形をとっており、ファイル名も同一です。ダウンロードして同じ場所に上書き保存すると古い版は失われますから、旧版も取っておきたい方はファイル名を変えておくと安全そうです。
組み立て自体は前回と変わりありません。
説明書に赤線で記されている場所を中心に、サポート材が付いていた痕を平らに削り取りました。
サポート材そのものは除去済ですから大変楽です。どのようなサポート構造だったのか想像はしてみますが、本当のことはわからないですね。
端梁は底部を軽くヤスって平らにした程度です。端梁は動力ユニット側に付きます。
今回は動力ユニットのみの発売もありましたが、それにも端梁が付属しています。
車体は下側端にサポートの痕があるので平らに整えます。
後部中央にライトのパーツが一緒に造形されているので、ここは切り取っておきます。切り取ったライトは後部妻板に接着します。
ここでいいかな…。
後部ライトだけ一体造形されていないのは不思議な気もしますが、造形方向の関係で、この面にライトを一体化すると補助サポートが必要になるからかもしれません。
このほか、底部の3箇所の穴にM1.4タップでネジ切り加工をします。私は忘れてしまい、塗装後に行いました。
タップがないときはボディーをネジ留めせず、両面テープ留めにすればよいかと思います。この場合、前のカプラーも接着かテープ固定になります(前カプラーと車体前側は同じネジで共締めする構造のため)。
ここで塗装しました。表面に斜めの縞などは当然ありますので、ツヤ消しが強いほうが目立たなくなります。しかしせっかく細かいディテールが付いているのと、表面の状態が良かったので、浮き立つように少しツヤを与えました。
相変わらず表面処理は何もしていません。私の3Dプリント品などに比べますとはるかに造形がよいので、何もしなくても縞模様はそれほど目立ちません。
※注: 目立たないというだけで、光の当たり方によって細かい縞模様は必ず見えます。私の許容範囲の中に収まっているというだけのことです。
写真左側の2個が今回のカプラーです。
両側に細いひげバネのようなものが追加されています。またカプラー自体も左右シャンクに分離しており、突き当てて連結できるように見えます。
ただ説明書の図にはこのバネ状のものがなく、これを付けたまま使うのが正解なのかは分かりませんでした。今回は前側にだけこれを使いました。
写真の右から2番目は前回の固定式カプラーです。
動力ユニットにギヤカバーと端梁を付け、後部カプラーを付けました。
ギヤカバーは説明書のとおり両面テープで貼りました。前後の端梁は接着剤で付けました。
後部カプラーはどうしても自動解放機能が必要だったので、自分で作ったNo.2001カプラー(短)のニセモノを使いました。
動力ユニットをボイラーに3本のネジで固定しました。
前側はカプラーとの共締めになります。丸い留め具をはめたカプラーを前から差し込み、床板側から一番長いネジで留めました。
新しいカプラーの具合ですが、機関車と連結相手を手で押し付ければ連結は可能でした。しかし自走して突き当てただけでは上手くいかないことが多いようでした。ある程度復元はするので前回の固定式より使いやすいかもしれません。
これで組み立ては終わりです。超低速型動力のおかげで、非常にゆっくりとした速度を維持して走行できます。
前回の3D雨宮タイプBタンクも十分に低速が効くと思いますが、これは十二分以上に効きます。スロットカー並みにスピードの速いNゲージの機関車が作りたいという方には向きませんが(別の趣味になるかもしれない…)、このクラスの機関車をレイアウトで実感的に走らせたいという方には喜ばれるでしょう。
#161 雨宮タイプBタンク〔空制化仕様〕
(拡大写真)
ヘッドライトのレンズは、説明書のとおりWAVEのHアイズ3ミニ(クリア)の1.5mmを使いました。よく使っているもので、先日も買い足したばかりだったのでちょうどよかったです。
細い配管が浮いているのが楽しいですね。真鍮線などで作ったわけではなく最初から造形済みですから、どなたにも同じようにできます。
煙室扉上部に四角いナンバープレートを置くためのモールドがあったので、以前買っておいたトーマモデルワークスのナンバープレート(赤地)を切り取って貼ってみました。
今回は後部の石炭も造形されています。前回は平らなふたでした。
左が今回の空制化仕様、右が前回の空制なし仕様です。
空制化仕様はメーカーのデザインによる完成ディテール版という感じ、空制なし仕様はユーザー自身で味付けをしていくベースキットといった感じです。
今回、土曜日の午後に数時間で組み立てたのですけども、まさに休みの日の息抜きにちょっと組み立てて遊ぶにはぴったりのボリュームです。
恐らく組み立て済みの動力部の製造に結構なコストがかかっていると思いますが、それだけのことはあり誰でも確実に走るものができるのが嬉しいです。塗装はその人の腕次第ですから、そこはがんばらないといけませんね(私今でもハラハラしながら塗っています)。
左が金属キットの10形(ワールド工芸)、右が3D雨宮タイプBタンク〔空制化仕様〕です。それぞれ素材の特長をよく活かした製品だと思います。
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