Nゲージ蒸気機関車2010年のメモ>2010.8.27(初代C50を改造した8800)

初代C50を改造した8800

2010.8.27

約40年前に作られた、Nゲージの黎明期の改造作品が現存しているとのことで、写真をお送りいただきました。
初期のご作品としてたいへん興味深いものですので、所有者様のご許可をいただきましてご紹介いたします。


現存する模型

関水金属の初代C50(1965年発売)をもとに自作された、8800形(空制改造後)です。
8800は形態的にも魅力的な機関車ですが、Nゲージの市販品はなく、未だに自作改造するしかないものです。

初代C50を改造した8800形

製作者は当時「名古屋模型鉄道クラブ」の幹事をされていた加藤清様(故人)です。
1950年代からTMS誌にて各種ゲージのご作品を発表されていました。Wikipediaの「名古屋模型鉄道クラブ」の記事によると、C50が発売される1965年には9mmゲージのED56を自作されていたということです。

この年は、有名な9mmゲージのフルスクラッチのC59(池末 弘氏)がTMS誌に掲載されており、9mmゲージの存在が徐々に認知されるようになってきました。

8800形 側面

1965年末にC50が発売されると、改造工作を試みる方々が少しずつ現れるのがTMS誌の記事からもわかりますが、同じ1Cではなく2Bや2Cに取り組む方が早期に現れているのは興味深いです。
この頃より少し前に初版が発売された「蒸気機関車スタイルブック」で、8800形(空制)の模型図面が紹介されたことも関係あるかもしれません。 ゲージを問わず読者の製作意欲がかき立てられていた様子が、いくつかの談話からわかります。

初代C50と並べて

動輪〜テンダー台車にはC50を利用していますが、それより前側に車体の延長がなされ、2本のスライドバーやクロスヘッドも自作されています。
煙室部分の延長はどのように行われたのかわかりませんが、もしかしたらC50が2両使われているのかもしれません。 2軸先台車の2個の車輪も、両方ともC50のもののようです。

8800形
初代C50

前方はランボードも下がっており、第1動輪のスプラッシャーも付いているので、面倒な工作です。C50を改造して8620を作ったことがある方なら、よくおわかりと思います。

キャブは基本的に製品を使用し、裾の乙形のラインなどが加工されています。

テンダー外板は自作のようですが、水槽の仕切りのリベットの表現があります。これが元の製品を利用したものかどうかはわかりません。
8800形のテンダーは低いため、当初はモーターが少し見えていたそうで、後に増炭枠を追加したとのことです。

特徴的なのがカプラーです。製品特有のX2Fタイプではなく、ベーカー型となっています。

当時9mmゲージ用の市販パーツはありませんから、他のゲージのパーツが利用できなければいきなり自作です。
模型工作用のプラスチック素材も適当な市販品は少なく、主体は金属、そして木や紙でした。


今よりずっと制約が多かった時期に、皆様工夫して模型工作を楽しまれていた様子が改めて感じ取れ、大変励みになりました。ありがとうございました。
私たちはNゲージ製品が比べ物にならないほど豊富になった現在に住んでいるので、模型を楽しむ方法はまだまだたくさんありそうです。機関車が1つ発売されただけで、一体何通りの遊び方ができるでしょう。

ほかにもNゲージ黎明期のご作品は残っていると思いますが、どこかに押し込まれて眠っているケースも多いかもしれません。
ちなみに私が死んだら、残った模型はゴミの日にざらりと捨てられておしまいです。その前にKATOのC59を見たかったのですが、もうあきらめています。

2016追記:この5年後にKATOのC59は無事に発売されました!また、私自身のガラクタ処分を人任せにしてはダメだと思い始め、自分で整理しています。


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