Nゲージ蒸気機関車蒸機の工作>C51 247/249号機「燕」仕様(ワールド工芸)

C51 247/249号機「燕」仕様(ワールド工芸)

2012年秋に発売された、C51の燕仕様機です。
商品名は247/249号機ですが、他に171、248号機としてもOKとの記載があります。ナンバーもこれら4種が付属しています。
組み立て上、一番興味を引くのは、やはりあの特殊なテンダーかと思います。

2013.3.18


機関部

C51のキットは初回の発売からもう8年目になり、細々した点が改良されていますが、全体の進め方は大きくは変わりません。
この燕仕様機は、給水温め器やその周辺の配管がないので、ずいぶん簡単に感じました。

全体

上廻りを組み終えたところです。手持ちの実機資料がほとんどなく、説明書に沿った素組み以上のことはしていません。

ワールド工芸のキットはどれもそうですが、ドームや煙突のロストパーツの合いが抜群です。無修正でボイラーの曲面にぴたりと合うので、すぐに形になります。この作例も、まったく削り合わせていません。

非公式側後方

非公式側の後方です。
手曲げする配管は、ハンドレールの上に沿う通風管と、給水ポンプから後方に伸びる給水管だけです。
給水管はエッチングでテンプレート抜きされており、そこに真鍮線を合わせて曲げるようになっています。テンプレートを配置するスペースがあるならば、直接エッチングで配管を抜いてくれれば楽なのですが、ワールド工芸は最低ここだけは必ず真鍮線を曲げさせます。

公式側後方

公式側の後方です。火室横のドロダメは、ランボード下の配管を付けてから固定しました。キャブ下の分配弁とエアタンクはホワイトメタルなので、溶かさぬように注意が要ります。

ハシゴの前にある、ボイラーの上を越えて回ってくる配管は、手すりの下を通すよう書かれていますが、あまり格好よく収まらなかったので上を通しました。

非公式側上方

発電機の排気管は、発電機の前後2箇所に指示がありますが、前方にだけボイラーに開口して取り付けました。

キャブ裾の矢印のあたりは、取り付け穴を合わせると内側に寄ってしまいましたが、むしろ外側に開くようにしないと下廻りの従台車バネと干渉します。

公式側上方

配管が少ないのですぐにできました。問題になったところも特にありません。

前方

煙室扉周辺の部品は、真鍮挽物とエッチングの組み合わせです。ゴム系接着剤を使って最後に取り付けとあるので、その通りにしました。

しかし、このとき糸をひいた透明ゴム系接着剤が扉の下にはみ出しており、塗装後まで気づきませんでした。もう、目もだめなら注意力もだめで情けなくなります(塗装前にルーぺで全体チェックしているのに、です)。ただ私の場合、ダメではなかった時期は過去にも見あたらないので、それ以上嘆かずにさらっと次に進みます。←そこがダメ(笑)。

ステップは先輪との干渉を避けるためか、つかみ棒の基部との干渉を避けるためか、そのまま取り付けると車体の外側に思い切りはみ出します。
それは見かけ的にどうしてもイヤだったので、取り付けピンをカットして内側に付けました。ちなみに曲線通過は全然平気です。特別なことをせずに、R249を通過しています。

テンダー

テンダーには走行中の乗務員の交代のための通路と手すりがあります。
テンダードライブのため、内部に動力が詰まっているのですが、上手に作られています。

キャブ側面 テンダー外板は洋白です。前方に手すり、後方に2本のハシゴがついているので曲げないように気合を入れます。
通路部の組み立て1

通路のある天板は最初に段差を付けて曲げておき、番号順に部品を付けました。

  1. 中央の手すりを固定。
  2. ロストの給水蓋を固定。
  3. 給水蓋の枠を固定。
  4. 最後に左右の通路壁を固定。写真では片側を付けたところです。
通路部の組み立て2 天板を組み終えたところ。通路の両外側には、あとで石炭がはまり込むので、出っ張りは削っておきます。
テンダーの箱組み

テンダーを箱組みします。初めに天板と、前妻板の一部を組み立てておきます。前の床部分はあとです。

  1. 組み終えた天板(通路部)を、側板の間に挟み込みます。
  2. 組み終えた妻板(妻板+炭庫仕切り+石炭皿+前方踏み板)を、側板の間に挟み込みます。
    この状態で各部をハンダ固定して箱にします。
テンダー前部

ひっくり返して前方の床板付近を組み立てます。順番が大事で、ドジると組み立てられなくなります(まあ、ハンダを溶かして付け直せばいいんですけど…)。

  1. 内側に、動力固定板(前部)を落とし込んでしっかり固定し、中央のブリッジを切断します。
  2. 前部床板+端梁を直角に折り曲げて、先に固定してある妻板のピンを差し込んで車体に固定します。
  3. ステップ部を折り曲げて組み立て、取り付けた端梁の後ろから差し込んで固定します。
  4. 連結ピンを差し込んで固定します。

このあと、残っている手ブレーキハンドルを差し込んで固定します。

テンダー後部

今度は後部です。やはり順番があります。
※2本あるハシゴのうち中央のハシゴは、先にぴったり折り曲げて、上下をハンダ留めしておきます。

  1. テールライト(左右)を固定。
  2. テールライト横の手すりを固定。
  3. 内側に、動力固定板(後部)を落とし込んでしっかり固定します。
  4. 後部床板+端梁+カプラー解放テコを組み立てておいて、車体に固定します。
  5. 手前のハシゴをカプラー解放テコの上に折り重ねて固定。

あとはカプラーポケットやエアホースなどを取り付け、テンダー下部には配管を取り付けます。

テンダー残り

石炭は前後3ピースに分かれています。ワールド工芸の石炭はなかなか形が合わないことが多いですが、これは外周のバリを削り落とす程度で楽にはまりました。

3本あるアーチ形の手すりのうち、中央は天板に固定済みですが、前後の2つは塗装後、石炭の取り付け後に差し込みました。少量のゴム系を使用しました。
これらのアーチは、「これ以上頭を出すと危ないぞ」という意味を兼ねているのでしょうね。

テンダー塗装後

これは塗装後の組み込みの様子です。天板の真下にモーターが来ます。
また、後部の空間には別途ウエイトをネジ留めします。

生地完成〜塗装

残りの機関部下廻りや動力ユニットのベースプレート等は、最近のキットと同じで、特別なことはありませんでした。

生地完成

生地完成とはいっても、中村精密のカスタムキット(果てしなく話が古い…)と比べれば、やっとバラの状態からパーツが出来上がっただけというような感じです。バラキットは本当にバラバラですから(笑)。

それでもエッチング部品は抜き落としてありますし(抜き落としのないエッチングキットも存在しました)、プレス曲げもされていますので、特別な工具なしに何とか取り組むことができます。

塗装は水性です。だいぶ身についたのでもう大丈夫です。色々教えてくださった方々に感謝いたします。
ある程度慣れると、それほどラッカー系と塗り方が違うようにも思えず、どうして水性の初めはあんなに苦労したんだろうという感じです。でも確かに何かが違います。練習しなければできませんでした。

余談ですが、水性塗料には「鉄道カラー」と称するものが少ないので、特に電車の場合は調色が大変そうです。ラッカー系ならマッハカラーやGMカラーが揃っているため本当にありがたいです。
でも色数そのものは水性でも豊富にあるので、近似色はたくさんあるかもしれません。

完成

やはりC51シリーズは、ワールド工芸の看板製品だけあります。正しく組めているかどうかは別ですけど…。
工作力が追いつかず、本来のキットの良さをなくしたところも多いと思いますが、組み立ては思ったより簡単ですぐにできました。
部品同士の合いがよいので(そうでもないところもありますが)作業がはかどり、どんどん先に進みたくなりました。
給水温め器もデフもないのは楽で最高ですネ(笑)。それだけで2日くらい作業時間が違います。

完成

完成

完成

テンダーの表記はインレタが付属しています。予備は1ピースもないので一発勝負です。
この後ろに連結される水槽車もありますが、未組み立ての機関車がまだあるのでしばらく放置です。
→その後組み立てました。特急「燕」用水槽車(ワールド工芸)の組み立て

あと、この形のよいロストの煙突が別売されれば、マイクロエース製品に効果的な加工ができ、より幸せになるのにと思いました。


「Nゲージ蒸気機関車」トップページに戻る