特定機を追及する場合を除けば、KATOの新しいC62には、外観的に大きな手を入れる余地はあまりないかもしれません。ここでは石炭の盛り付け方を変えて変化を付ける方法をご紹介します。
2008.1.20
長距離を走る機関車には、キャブの高さを超えるほど石炭が山積みされていることがありました。日常的にそういう運用をされていた場合も、増炭覆いがある機体・ない機体もあり、テンダーまわりの印象も様々です。
石炭は、粒子状の素材を盛り上げて、それを接着剤や塗料の溶液などで固着して作ります。問題は素材ですが、諸先輩方のご作品では細かいバラストを使った例、画材店にある砂絵用の砂を使った例、脱臭剤の活性炭を使った例など数々が紹介されています。私は紙帯を切り刻んで作ったこともあります。 現在、レイアウト素材の「モーリン」より、Nゲージ用の石炭が発売されており、リアル・ラインのD51にも添付されています。手元に結構余っているので、今回はこれを使いました。リアル・ラインのD51の場合、1両に付属している量で、普通の盛り付け方ならば2両分は使えるからです。 |
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今回のKATOのC62のテンダーは、この加工を行なうのにうってつけです。石炭と重油タンクは上から差し込まれているだけなので、これを取り外して新しい石炭を作れば、車体には無傷で加工ができます。飽きても失敗してもきれいに元に戻すことができます。 石炭や重油タンクは上から引っ張っても外れにくいと思うので、一度分解して中身を取り出すと簡単です。説明書に沿って台車を外し、底部2箇所のツメを折らないように外せば中身が取れます。あとは石炭を上側にはがすようにして外せばOKです。 |
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ここでは石炭を山盛りにすることにしたので、元の石炭を外したところにプラ板で上げ底し、その上に石炭を盛ることにしました。 なお、もとの石炭を利用してよいのであれば、その上から直接盛り付ける方法もあると思います。 |
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元の石炭を外したところにあるボスは1mmの高さがあります。この上にベース板を載せるのですが、ふちが浮いて隙間が見えないように、少し補強のリブを接着しておきました。 完成後、薄いオレンジ色のあたりに両面テープを貼って本体に取り付けました。 |
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実際に載せてみたところです。 左右には、石炭を盛り付けやすくするため、厚さ0.3mmプラ板を2枚重ねて増炭覆いを接着しました。この工作で使っている接着剤は、すべてプラモデル用のタミヤセメントです。スチロール樹脂同士を少し溶かして接着するので、大変に丈夫になります。 |
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周囲の石炭は固着時にこぼれ落ちやすいので、先に周辺部のみ接着剤を付け、上から石炭粒子を撒いて直接接着しておきました。さらに周囲には瞬間接着剤を少し垂らして固着しました。 |
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残りの石炭を盛り、筆やつまようじで形を整え、木工用ボンド水溶液をスポイトで垂らして浸み込ませます。木工用ボンドは水で5倍くらいに薄め、おまじないに中性洗剤を数滴垂らしてあります(表面張力を緩和させて、浸み込まずに水滴のまま転がり落ちるのを防ぐため)。 スポイトはちゃんとした駒込ピペットでなく、ポリ製の安物で結構です。途中、石炭が団子状に凝集して地崩れが起きたり、あちこちに陥没した穴が開くかもしれません。あまり神経質にならず、余分な溶液はティッシュペーパーで吸い取り、つまようじの先で形を整えていきます。 接着剤は薄めてあるので、あまりティッシュで吸い取りすぎると固着力が弱くなります。流れ出さない程度に浸っている状態で結構です。このまま数時間から丸一日乾かします。完全に乾くまで、接着力はほとんど出ません。 |
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接着剤が乾いたら、色を塗って完成します。 ここでは薄めに溶いたつや消し黒を筆で浸み込ませるように塗ってあります。これは石炭のさらなる固着も兼ねています。 石炭を取り付けたときに、少しでも隙間ができて、そこから白いプラ板が見えると一気に安っぽくなるので、下側も少し黒で塗っておいたほうがよいと思います。 |
製作した石炭(山盛り版) | 元の石炭 |
製作した石炭(山盛り版) | |
元の石炭 |
場面によって似合う・似合わないはありますが、今回のC62では構造上、比較的簡単にできる加工です。シルエットにもしっかり影響を与えられます。