Nゲージ蒸気機関車>2008年のメモ>2008.6.7
ワールド工芸 C62 15/16号機 組立手順2
1 [2]
下廻り
- フレームとシリンダー(約2時間)
-
- 説明書4/6から始めます。説明書ではB板のパーツですが、寸法修正済みのZ板のパーツで組み立てます。
- フレーム(Z-1)を折り曲げます。折り曲げスパンが長いですが、何か平らな台の上に押し付けるようにすると簡単に曲がります。両端を180度内側に折りたたみ(板バネの模様が外側に出るようになる)、さらに2枚重ねになった部分を内側に90度曲げます。クリップなどで留めて断面にハンダを流します。
- フレームの後部の底は一段折り上げ、フレーム後部を閉じます。フレームの左右が前から見て正確に90度になるようにします。また、軸受けになる3本の溝がねじれたり、歪んだりしないように気をつけます。
- シリンダーブロック(C-1)の前後の丸い蓋の部分を180度折り返し、取れないようにハンダ付けします。以後、ピストン棒などの入る穴をハンダでふさがないよう注意します。
- バルブカバーの太いほうを、丸穴に差し込みハンダ付けします。
- シリンダー側面は、若干下すぼまりになるよう、折り線に沿って軽く曲げ、薄い外板(シリンダーの模様がついている)を折り重ねてハンダ付けします。外板も同じように曲げておきます。外板の下側は、ドライバーの軸などで内側に丸くくせをつけておきます。
- シリンダーブロックを箱型に組み立ててハンダ付けします。
- 底のふたを閉じたら、長さ3.5mmのカラーを忘れずにハンダ付けしておきます。
- ドレンコックを差し込み、車輪側から少量のハンダで固定します。ドレンコックはI-23とありますが、説明書6/6でいう「ロッドI板」です。なお板の刻印はJです。Jは2枚あるので小さいほうのJです(素直に「小J板」とでもして欲しかった)。
- 前後を間違えないようにして、組み上がったシリンダーをフレームに固定します。1箇所を仮止めし、前後左右から見て傾いていないことを確かめ、本付けします。
- シリンダー後部からスライドバーを差し込み、シリンダー内側からハンダ付けします。前方は内側からハンダ付けすると、バルブカバーが取れることがあるので、表から少量のハンダで止める方法もあります。
スライドバーは説明書の図でJ-3、J-4となっていますが、これも説明書6/6でいう「ロッドI板」(刻印Jのうち小さいほう)です。
- モーションプレート台座(I-1)を折り曲げて組み立て、前後を間違えないようにフレームに固定します。
- 残っている0.2mm洋白線をフレーム底部に差し込み、ハンダ付けします。塗装後に従台車を取り付けるまで、これを引っ掛けて曲げたりしないよう注意します。
- 荷重分配装置のサブフレーム(C-1+C-2)を張り重ねます。先端の小穴をフレームの穴に合わせ、少し残っている0.4mm真鍮線を差し込み、先端を折り曲げて止めます。サブフレームはフレームの間を軽く上下するようになります。
- サブフレームを取り付けた状態で、フレーム後部にZ-2を取り付けます。
- 先台車・従台車(約30分)
-
- 先台車枠(D-1)を箱状に折り曲げます。側面ディテールは180度山折りにして重ね、断面をハンダ付けします。
- 拝障器を左右に広げて先端を下に折り曲げ、それぞれの角を少量のハンダで補強します。なお、スノープローを付けるときは拝障器を根本から切り取ります。
- 先台車車輪押さえ(D-2)を折り曲げます。
- 従台車枠(D-3)を折り曲げます。後部の梁は2枚重ねになります。左右から持ってきた前端同士は接合せず、少し間が開きます。
- ホワイトメタルの従台車枠L・Rの先端を、組み立てた従台車枠(D-3)の先端の角度に合わせて曲げます。ヤットコでくわえてそのまま曲げられます。
- 【接着】従台車枠L・Rの取り付けピンの根本は少し太いので、カッターなどで少々削って補足してから、D-3に差し込んで接着します。
テンダー
- テンダー外形(約1時間)
-
- テンダー車体は紙箱に入っています。外板に内張りをぴったり合わせ、中央付近の丸穴にハンダを流して固定します。同様に、順次端の丸穴を止めていきます。
昔のキットと違ってハンダ流し穴が小さいので、外板が歪むことは少なくなりましたが、コテ先で丸穴を強く押さえつけたりしないよう注意は必要です。
- 前面の斜めになっているところに継ぎ目があるので、ぴったり噛み合わせて裏側からハンダを流します。
- 内側にF-11をはめ込み下側から合わせ目をハンダ付けします。固定されたら中央のブリッジを切り取ります。
- テンダー蓋(F-15)を折り曲げ、重油タンク配管(K-3)、給水口(ロスト)、手すり(H-30)をハンダ付けします。K-3はなるべく後ろに寄せてハンダ付けします。
- 【接着】ホワイトメタル製の重油タンクの周囲のバリをヤスリなどで削って修正します。F-15の取り付け穴を前側にヤスリで広げ、重油タンクをF-15の壁にぴったり付けて接着します。面倒なときは取り付け足を切り取って、そのまま接着しても構いません。
- テンダー前部・後部(約1.5時間)
-
- 前部妻板(F-13)は2種類あるので好きなほうを選びます。石炭皿左右のディテール(下側まで伸びているかどうか)が少々違います。
- 裏側の折り線が浅いので、Pカッターなどで切れない程度に筋掘りをし、両翼を少し後ろ側に斜めに曲げます。角度は先に組み立てたテンダー前部に合わせて決めます。
- ハンドルと配管を180度折り返してハンダ付けし、下側のドローバーの補強部を90度手前に起こします。なお、これを先にやってしまうと、前述の妻板の折り曲げがきれいにできなくなります。
- 石炭皿(F-9)と、メカニカルストーカー(F-10)を折り曲げて差し込み、裏からハンダ付けします。その後、裏側に出た取り付け脚やハンダをきれいに削り取ります。
- ドローバーの先端にドローバーピンを差し込んでハンダ付けします。
- 後部妻板は15号機用(H-15)と16号機用(H-16)があるので、どちらかを選びます。説明書の使わないほうに×印を付けておくと間違えません。テンダー後部に、わずかに出っ張っている側板の間にぴったり入るよう削り合わせてハンダ付けします。
- 後部のステップのうち、向かって左(公式側寄り)は、途中で斜めに折れて手前に少し出っ張ります。折り線に沿って曲げたら裏側にハンダを流します。
- ステップ(K-4,K-5)を裏側から差し込んでハンダ付けします。K-5と刻印されている部品が複数ありますが、ひとつだけ形が違うので(K-2と同じ?)、だまされないようにしてください。
- テールライト(ロスト)2個と、電気配管(H-1)、カプラー開放テコ(H-31)を差し込んで裏からハンダ付けします。
- 後部ライト(ロスト)を差し込んでハンダ付けします。その後、裏側に出た取り付け脚やハンダのあとをきれいに削り取ります。
- カプラーポケット(F-7)とエアホース(ロスト)を差し込んでハンダ付けします。
- 石炭(ホワイトメタル)の前後を少し削って、テンダー車体に無理なくはまるようにします。特に後部のステップ(K-4,K-5)のあたりは一段下げて削らないと引っかかってしまいます。
- テンダー下部
-
- 公式側床板(F-1)の2箇所の梁を180度弱折り返し、先端を少し曲げて穴に差し込みハンダ付けします。
- その他2箇所の短い梁を180度折り返してハンダ付けします。配管は90度強下側に曲げ、さらに配管止めを上に折り返してハンダ付けします。
- 非公式側床板(F-2)の梁を同様に折り返してハンダ付けします。先端の斜めの部分は上側に折り曲げ、そのすぐ後ろの円形の欠き取りがある梁は180度裏側に折り返します。
- 4箇所の配管止めの輪を下側に90度強折り曲げ、先端を90度ひねって前後方向を向くようにします。そこに残っている0.6mm真鍮線を差し込んでハンダ付けします。
- ATS車上子(K-1)を折り曲げて組み立てます。車上子の先端は90度ひねって水平にします。その後折り曲げ箇所の内側の要所をハンダで補強します。
- 【接着】ブレーキシリンダ(ホワイトメタル)を差し込んで接着します。
動力部を除き、以上ですべてのハンダ付け作業は終了です。塗装のとき、残っているホワイトメタルのテンダー台車枠やナンバープレートを塗り忘れないようにします。なお、動力部の車輪座も塗るときは、あらかじめ4つの車輪座を張り合わせてから塗り、塗装後に軸受けと大ギヤ軸根本の通電部分を磨いてきれいにしておきます。大ギヤ軸根本の塗装をはがすのを忘れて組み立てると動かなくなってしまいます。
今回のキットは、説明書と実際の部品番号が混乱していたり、重複していたりするミスが目立ったように思います。このキット大丈夫かなと途中で不安にさせられました。
しかし、相変わらず自分では実機の資料を何も集めず、組み立ては説明書と、メーカーサイトの完成写真に全面的に頼ってしまいました。
「ハンダ付け」と書いている部分は、経験上、接着剤を使っても差し支えありません。
ハンダ付けは瞬時にしっかり固定されるのが良いところですが、高熱を加えるために、素手で部品を微妙に位置決めしながら作業することは難しく、まっすぐ取り付けにくい場面も多いです。
熱のコントロールがしにくいため、ちょうど良い量のハンダを流すのも難しいですし、手際よく付けられないと近くの接合部まで熱が回って取れてしまうこともあります。
ハンダ付けは接着剤と違い、失敗しても熱を加えればやり直せるのが長所とされていますが、常にできるわけではありません。小さいNゲージでは、一度張り合わせた薄い板をはがすのは無理なことも多く、熱の伝えすぎで歪んでしまうことも少なくありません。
接着剤でも場所によってはやり直しは不可能ではありませんし、硬化時間の異なるものを使い分けて、初めから確実に位置決めして一発で決めることも容易です。実際の部品接合の場面は色々あり、ハンダ付けが簡単な箇所もあれば、接着のほうが簡単な箇所もあるので、一概にどちらが簡単確実とはいえないように感じます。
入り組んでいてコテを確実に当てるのが難しい箇所や、熱を伝えにくい場所は、曲がって付いたときのやり直しもしにくく、修正を繰り返しているうちに醜い仕上がりになることもあります。
Nゲージは小さくて軽いので、落としたときのダメージも、接着のほうがハンダ付けよりひどくなるとはいえません。ぶつけたところがへこんだり折れ曲がったりするのは同じです。
もし衝撃で接着面が外れた場合は、そこを接着しなおせばよく、かえって部品自体のダメージは少ないこともあります。
もちろんハンダ付けには金属とのなじみのよさなど既知の長所がたくさんあり、製作中にも「作ってるゾ」という妙な手ごたえみたいなものがあります。だから接着のほうが簡単な箇所もハンダ付けしたくなったりします。車体の骨格になる部分をがっちり組むにはハンダ付けしたいですし、細い真鍮線同士を直角につき合わせて固定するなど、接着剤では非常に苦手なことも割と簡単にできます。
うまく付けば、硬化時間を気にせずにどんどん次の作業ができます。ちょっとした隙間はハンダだけできれいに埋めることもでき、金属模型に関しては瞬間接着剤で埋めるよりも簡単です。
というわけで、接合箇所に応じてお好み&得意な方法で。
1 [2]