Nゲージ蒸気機関車2010年のメモ>2010.11.28(EF65 500・P形/F形)

EF65 500・P形/F形

EF65 トミックス・KATO)

2010.11.28

先日トミックスのP形が単品で発売されたため、トミックス・KATOの両社から、「意外と短い」シリーズのP形・F形が単品発売されたことになります。
大きさを見るとどちらも同じように見えますが、細かいところにはそれぞれの特色が出ています。


実物の写真を一緒に載せると興味深いのですが、何もないので模型同士の比較にしかなっていません。また、特に拡大写真は異常な拡大率なので、ここで何かを見つけても模型そのものの見え方には関係ないことがほとんどです。そのつもりでご覧いただければと思います。

全体

レンズの歪みが多少出ていますがご了承ください。真横からの写真は特に歪みが出やすいので避けました。本当は他のページの蒸機の写真も歪みまくっているのですが、なぜかEF65のときはよく怒られます。

P形後期形 トミックス

EF65 500(P形・後期型) トミックス (拡大写真)
2010年の最新製品です。ただし、P形は2006年の高崎機関区セットにも含まれていたので、今回初登場ではありません。
模型の作りは今までのEF65 500と同じですが、私が買ったものは青塗装の平滑度がさらに良くなっていて、非の打ち所がないほど完璧でした。切り抜きナンバーは転写シールによる表現です。

P形 KATO

EF65 500(P形) KATO (拡大写真)
2009年発売の、KATO初の「意外と短い」EF65です。全長オーバーだった旧製品から見て一番の特徴はまさにそれ。黒ニッケル車輪で足元は引き締まって見えます。
ナンバープレート以外のパーツがすべて取り付け済みで、スナップ式のナンバーをはめ込むだけですぐ遊べます。

F形 トミックス

EF65 500(F形) トミックス (拡大写真)
現在のトミックスの新EF65シリーズのトップバッター。2006年の発売時の広告で「意外と短い車体を再現」と、珍しく他社製品を挑発した模型です。そのあと上のKATOのP形が、登場時に同じコピーで応酬するというギャグみたいなことがありました。

F形 KATO

EF65 500(F形) KATO (拡大写真)
2010年発売のF形です。こちらは前面窓のつらら切りやホイッスルカバーがついていて、トミックスと表情の違いがあるため両社特にバッティングしません。

大きさが両社とも同じになったので、少し離れてみると違いがわかりません。区別がつきやすいのは車輪の色、側面明かり取りのHゴム表現、パンタグラフ下枠形状などです。
側面窓の形がなのがKATO、なのがトミックスという感じです。

全体2

参考までに少し上方からの写真です。ゲストもお呼びしました。

トミックス P形トミックス(P)
トミックス P形 (拡大写真)
トミックス F形トミックス(F)
トミックス F形 (拡大写真)
KATO P形KATO(P)
KATO P形 (拡大写真)
KATO F形KATO(F)
KATO F形 (拡大写真)
マイクロエース P形マイクロエース(F)
マイクロエース P形 (拡大写真) 今回はここだけのご登場。

正面

トミックス(P) KATO(P) トミックス(F) KATO(F)
トミックス P形 (拡大) KATO P形 (拡大) トミックス F形 (拡大) KATO F形 (拡大)
トミックス(P) KATO(P)
トミックス P形 KATO P形
トミックス(F) KATO(F)
トミックス F形 KATO F形

EF65は前面窓の間隔が非常に狭いので、KATOはその再現に注力したようで、今回ここがKATOのこだわりのようです。部品構成にもそのための工夫が凝らされています。ただガラスの中央部の形状のせいか、角度によってはピラーの裏側のガラスの厚みが表から見えてしまい、狙ったほど細く見えないなど難しいものです。
トミックスは窓間隔に特別な挑戦はしなかったようですが、小さいNゲージなのでもともと細く、各部寸法や塗り分け位置などのバランスもなかなかよいと思います。Nゲージとして見慣れたEF65の顔に見えました。EF65の形態マスターの方が見るといかがでしょう。

前方から

 
トミックス(P)
トミックス P形 この写真では光の具合で見えにくいですが、切り抜きナンバーは転写シールで表現されています。飾り帯は少々つやを押さえたもので、メーカーとしてこれぐらいが実物に近いと判断したのだと思います。
KATO(P)
KATO P形 前面窓のHゴムは車体側に表現されており、それによって中央ピラーの細さを強度的に補っているようです。ナンバーはスナップ式のためブロックナンバー風で、飾り帯はメタリック感が強くテカテカに表現されています。
トミックス(F)
トミックス F形 現シリーズ最初の製品です。トミックスの前面手すりはユーザー取り付けですが、カプラー開放てこは取り付け済みです。前面塗り分けは今に比べると若干ピンの甘いところがあったようです。
KATO(F)
KATO F形 スカートの下側を切り開いておらず、ちゃんと左右つながっているのが特徴です。逆にこのためマグネ・マティックカプラーは非対応となり、工夫なしには自動解放ができなくなりました。

トミックスのナンバーは転写シール式なので、周りに線が見えないのがいいところです。その代わり、特に正面ナンバーはきれいに貼るのが難しく、初めての方は相当苦労すると思います。一度使わないナンバーで練習したほうがいいかもしれません。 私は台紙から上下(特に下側中央付近)をぎりぎりまで切り取り、本体に重ねた上にセロテープを貼って固定し、その上からつまようじの先で擦って転写しました。

KATOはその逆の考え方で取り付けやすさ優先となっており、接着剤なしに差し込むだけで付けられます。そのため前面ナンバーはやはり周囲に線が少し見えてしまいます(側面ナンバーは色のせいか比較的目立ちません)。どちらが自分に適しているか考えて両社製品を選ぶことができます。

パンタグラフ

特にEF65に限ったことではありませんが、形態と機能を両立させるため、模型的なアレンジが必要な部分です。
両社それぞれ従来の構造を踏襲しています。

 
トミックス(上昇時)
トミックス(上昇時) パンタは上下とも板材です。下枠は1本ですがシルエットはすっきりしていて、上昇時のラッチも適度に感じられます。
トミックス(下降時)
トミックス(下降時) たたんだところです。真横から見ると水平に近いシルエットになるよう工夫されています。
KATO(上昇時)
KATO(上昇時) 上枠は線材折り曲げです。下枠は板材で2本になっていますが、少々ごつさも感じます。
KATO(下降時)
KATO(下降時) たたんだところです。こちらも大体水平になります。

実は私はNゲージのパンタグラフの形態にはあまり期待を持っておらず、壊れにくくて上昇・下降が簡単にできればいいという程度の考えです。最近のシングルアームパンタなどは非常に繊細なものもあって、すぐ壊れてしまうものもあります。子供にはかなり難しいのではないでしょうか。
…などと書いていますが実はヘタクソなのは私自身で、時々バラバラにしてしまいます(笑)。

側面窓

トミックス
トミックス 側面明かり取りの形状が凝っており、Hゴム部に食い込んだ様子の縦桟を別々に表現しています。このへんがトミックスのこだわりポイントなのだと思います。縦桟は銀色で若干オーバー気味な気もしますが、屋上モニターも含めてグレーのHゴム部分はとても繊細ですっきりしています。
KATO
KATO 側面窓のHゴムと中央部は一体のフチという表現です。中央部だけ銀が入っているようにも見えますが、私の老眼でははっきりしないので違うかもしれません。屋上モニターのHゴムはトミックスに比べてかなり太いです。KATOは昔からグレーのHゴムを印刷するときはガッチリ行うようです。

台車軸距離

台車の軸距離にわずかながら両社で違いがあるため、台車枠の感じも少し違います。

上:トミックス 下:KATO

トミックス
KATO

実物のことはわかりませんが(図面も何もない)、トミックスの軸距離はおよそ約17.5mm、KATOの軸距離はおよそ約18.2mmとなっているようです。なお測り方が正確ではないので他の話には持ち出さないでください。
たったこれだけの差ですが、台車周辺の印象に結構な違いが出ているのは上の写真のとおりです。こういったことは蒸気機関車でもよくあります。
なおトミックスのEF65はほぼ銀車輪ですが、高崎機関区セットのように黒色車輪仕様のものもあります。メーカーの考えで使い分けているようです。

動力ユニット

ボディー外観は遠目に大きな違いがありませんが、もちろん中身は違います。

トミックス

トミックス
割とすっきりした左右分割のユニットです。フライホイール自体は外側に露出していません(合わせ目からは見えます)。上部両端のグレーのプラ枠の中央からチップLEDが見えます。
このダイキャストが側面窓から見えるので、当初はダイキャスト側面上部がグレーに塗られていましたが、新しいP形ではコストダウンのためか省略されているようです。

運転台がついていないように見えますが、これはボディー側についています。

KATO

KATO
上部にチップLEDのプリント基板があり、黒い遮光板のような板が外周を囲んでいます。側面明かり取り窓からはこの黒が見えるようになっています。前後にはグリーンの運転台があります。

フライホイールは下側から見ると少し露出しています。正面中央にある白いものは、ヘッドマーク吸着用の磁石です。

磁束が強いのか、同じ向きにして2両を横に並べると吸引されてくっつきます。逆向きにすると反発します。普通の複線間隔では関係ありません。

トミックス
トミックス 運転台はボディー側についています。
KATO
KATO 薄い電球色に着色されたプリズムが見えます。

動力の感じは個体差があるかもしれませんが、手持ちのものではトミックスのほうが出足が軽めの印象でした。走行音はKATOのほうはやや重々しい感じ、トミックスはそれに比べれば軽めです。どういうものが「らしい」のか、このあたりに好みの差が出るかもしれません。
停止時はKATOのほうが若干フライホイールの過走が大きいようですが、通常速度からの正常な停止においては両者とも大きな違いはないと思います。トミックスのフライホイールも、同社のED79のように激烈なテイストはありません。

ライト

ライトはすべてLEDで点灯します。色合いにはそれぞれの味付けがあります。

トミックス(P)
トミックス P形 オレンジ色です。
トミックス(F)
トミックス F形 肌色に似た電球色です。同社のキハ20などの気動車と同系色です。
KATO(P)
KATO P形 薄いレモンクリーム風です。
KATO(F)
KATO F形 こちらも同様です。

メーカーによる着眼点の違いや、重視している表現の違いはありますが、どちらも同スケールの模型として大変よくできていて嬉しいです。両社でこのまま微妙にかぶらないように色々な形態を模型化してくれれば、EF65のファンの方は効率よくラインナップを完成させられそうです。
蒸気機関車のD51などでもこういうことが起きないかなと期待してしまいます。何しろ実物のバリエーションが多いので…。


おまけ…トミックスへのマグネ・マティックカプラーの取り付け

毎回同じようなことを書いていますが、今回もまた。

用意した材料
[1] 使ったのは、マグネ・マティックカプラーNo.2001(KATO品番11-712)のショートシャンクのほうです。
ほか、プラ板を重ねて1.5mm厚ぐらいの小片を作り、中央に1.2mmの穴を開けておきました。
スカートの分解
[2] スカートは分解し、もとのカプラーとバネは外して保管しておきます。これらは未加工ですみます。
カプラーの組み付け
[3] カプラー付属のネジで、図のように各部を重ね、スノープローの穴にねじ込みます。少量のゴム系接着剤を付けておくと楽です(ネジを使わず接着剤だけでもOK)。
なお、ネジを締め過ぎるとカプラーが圧迫されて首を振らなくなります。
切り欠きを付ける
[4] 車体に取り付けたときに、カプラーがスカートに押されて下を向くようなら、矢印のあたりを少々削って角を落とします。
本体への取り付け
[5] あとは普通に組み立てて車体に取り付けます。
高さの確認
[6] 高さを確認し、大きくずれていたら取り付け角度や高さなどを調整します。でもこんな感じで十分です。
調整後、下側に飛び出したネジの先はカットします。

●比較した模型について


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