トミックス製品を利用して、KATOのC11を325号機風にしようというものです。
トミックスのC11にKATOの動力を移植したとみることもできますが、あまり深く考えていません。両者の混合物です。
製作過程は行き当たりばったりでめちゃくちゃですので、結果から書きました:
このようなものです。
ご機嫌ななめで休車中のC11 325(トミックス)がひとつあったので、工作用に余分に買ってあったKATOのC11と合成しました。
もともとは混合ではなく、それぞれの上廻りと下廻りを簡単に組み合わせることができるかという興味からですが、単純交換は簡単ではなさそうでした。
赤い部分がKATOのC11由来、その他はトミックス由来です。
KATOの動力部は、キャブ上部に仕掛けられたLED基板を、ボイラー内のプリズムで前方まで導いており、ボイラーもそれにぴったり合った形状になっています。特にLED基板のあたりが特殊なので、ボイラーは動力とセットでKATO製をそのまま使いました。
C11 325として特徴的な外観である、前面・キャブ・タンク類は、トミックス製品が由来です。
ボイラー内の形状を色々加工する面倒さはなくなりましたが、代わりにKATOのボイラーと、その他すべてのトミックス製外装パーツの組み合わせについて、それぞれ方法を考えて加工することが必要です。
素直にボイラーも含めてトミックス製としたほうが全体的には簡単かもしれません。それは今回やっていないのでわかりません(そんなに325号機ばかり要りませんし…)。いずれにしても、色々加工が必要なのは確かです。
大きく分けて、ボイラー、動力、キャブの3箇所からなります。
KATOのボイラーと、トミックスのフロント(デッキ、デフ、煙室扉)、ランボードは接着して一体化してあります。
同様に、キャブ・側タンク・後タンクも一体化されています。後部端梁と、後部タンク下の配管や空気溜めも、トミックス製パーツを接着してあります。
動力ユニットのダイカスト部分はそのまま使いたかったのですが、先端がトミックスのフロントデッキに当たるので削りました。
後部中央も少し切り欠いています。これは、後部端梁に接着したマグネ・マティックカプラーを逃がすためです。
左右の側タンク下には、タンクの底と配管が付きますが、公式側はハシゴより後部をカットしています。ハシゴより後部はトミックスの部品を使うためです。
非公式側はタンクの底のみで、配管はすべてトミックスの部品としています。KATOにはない、ランボード前まで伸びる配管があるためです。
KATOのC11は、後部ライトもキャブ内の基板から導光していますが、ここでは安易に別のLEDを使いました。
汚い削り方ですが、ダイカストブロックの先端です。
最初はダイカスト側は削らず、フロントデッキの裏側を削ろうとしたのですが、トミックスの場合フロントデッキの部品構成が複雑です。削ると前端梁、フロント傾斜部、バネカバーのジョイントがなくなってバラバラになってしまうので、そこはオリジナルを温存することにしました。
ボイラーはKATOなので、KATOの動力にぴったり合いますが、フロントとランボードは部品の形がまるで違うので、形をまとめるために一体化しました。
面倒なのは、煙室前面とボイラーのつなぎ目です。煙室前面の厚さがKATOより厚いため、ボイラー側を短く削って合わせました。ライトはKATOのボイラーに一体化されているものを温存しています。
ところが、不注意で導光プリズムの先端を折ってしまい、仕方なく光ファイバーを同じ形に曲げて代用しました。
代用といっても、元のプリズムよりも明るく点灯します。光ファイバーはそれが仕事ですから…。
トミックスのランボードは左右が枠のようにつながっていますが、切り離してボイラーとフロントに接着しました。厚みも幅も少し違うので削り合わせています。
ボイラーは安定してパチンとはまります。ボイラー後部にはライト基板を差し込みます。基板がカンヌキとなってボイラー後部が外れなくなります(注:もともとのKATOの構造)。
基板には前後2個のLEDが付いていますが、後部のLEDは撤去して、別なものを炭庫下に付けました。導光が面倒だったためです。余っていた旧C11のLEDなので、黄色の発光になってしまいました。
トミックスの325号機は、ボイラーの配管の1本が銅色に塗られているため、そこは自分で塗りました。シリンダー側面の空気弁にも金色を入れました。側面前方のコンプレッサーはトミックスのパーツです。
黒い部分はすべて元の塗装のままで、全体を塗り直すようなことはしていません。組み合わせてしまうと、それほど差が目立つことはないのです。
側タンクは余分なところをカットして、キャブに接着しました。非公式側の配管はタンクやキャブ下に接着固定しました。一番前のピンが入る穴は、シリンダーブロック側面に開けておきました。
後部タンクには、端梁パーツを接着してしまいました。
発電機の配管はKATOのパーツです。KATOのボイラーにはタービン発電機の半分しか付いておらず、残り半分はこの配管に付いているためです。不思議な構造…。
屋根にある配管の取り付け穴は、KATOとトミックスで位置が少し違うので、開け足しました。
後部タンクの内側には動力部後部が入るので、床板はそっくり切り取って空っぽにしました。
後部中央の白いプラ板は、カプラーを接着するための土台です。その左右のプラ棒は、動力部に被せる際の支えです。後部タンクと端梁の接着の補強も兼ねています。
写っていませんが、従台車とこのカプラーの間に余裕がまるでありません。従台車のほうも削りに削っています。
キャブ妻板は、ボイラーの溝にはまるように削り、被せてあるだけです。割ときちんと付きます。これで終わりです。
使用した2機では、KATOの動力のほうが動きがスムーズだったので、結果的に走行性能も上がりました。
KATOの動力を利用した、トミックスのC11 325号機風味。
しかし、そりゃあこのように作れば、このようにできるだろうさという感じです。
こちらはオリジナルの、トミックスのC11 325号機です。
違うものなので当然でしょうが、トミックスとKATOのC11の各部パーツには、そのまま交換するのは不可能な違いが多数あります。
いちいちすり合わせないといけません。
ボイラーはプラの厚み、下側の開口部の幅、後部形状など色々違います。
これが最初に悩んだ点です。結局、KATOのボイラーをそのまま使うことにして逃げました。
ランボードと側タンクです。
トミックスは全体が枠のようになっていて、ボイラーの下からはめ込まれていますが、KATOは左右が分離しており、動力側に固定する構造です。
フロントは一見似ていますが、ボイラー側との分割の前後位置が異なるため、削り合わせが面倒でした。
ボイラー前方、煙室のあたりです。分割位置が異なるため、煙突より前方の長さが違います。
トミックスは煙室前方に仕切りがあり、そこにライトが取り付けられています。
キャブです(トミックスはガラスを外したあと)。
妻板のアーチ形状が異なるので、ここを削り合わせてボイラーにはめ込むのが工作の第一歩でした。
内部のガラスも削り合わせないと、KATOのボイラーには合いません。逆に言えば、その程度を加工するだけでぴったり合いました。
割と面白くてよく走ったのですが、トミックスのC11 325号機の常用機は別に持っていますから、普段はあまり使わないかもしれません。
しかし両者の構造の違いは結構深いところまでわかり、勉強になりました。同じ形のものを作るにも、色々なアプローチがあるのですね。