何度か登場している童友社のC58??です。訳あって、走行に必要なドライブシャフトを他に移植され、走れなくなっていました。
せっかく3Dプリンターがあるので、歯車を作ってドライブシャフトを再生してみました。
これが本来のドライブシャフトです(同じシリーズの別個体にて撮影)。
直径2mmのシャフトに、ウォームが2個とスパーギヤ1個が付いています。
シャフトは同じ直径の金属棒を見つけられそうですが、ギヤは何か探すか作るかしないといけません。
それなりの腕と工具をお持ちの方なら、そのままギヤそのものを金属で作られるかもしれませんが…。
ギヤを作るのは3Dプリンターの個人用途としては定番のようで、Fusion360(ここで使った3D CAD)にも標準で「Spur Gear」という名前のアドインが付いています。その名の通りスパーギヤはすぐ作れます。
ウォームを作る機能はパッと見つけられなかったため、「Gear Model For 3D Printer」というサイトを利用させていただきました。モジュールやピッチ円直径などを入力すれば、3Dデータの作成と、STL形式ファイルの書き出しができます(STL形式ファイルは出力用なので、三角形のポリゴンに不可逆変換されています)。
ウォームの中心穴の直径は現在のところ指定できないようなので、全体を相対寸法で作成し、3D CADに読み込んでから尺度を変えました。
いずれも、最初に目に留まった方法で作ったものでして、ギヤ類の3Dデータにはいろいろな作り方があるのだと思います。
使用する3Dプリンターは Anycubic Photon です。こういう用途としては精度はよくありませんが、対象のプラ模型の組み立て精度もたいがいなので無視します。そもそも今、ブツそのものがないんですから(笑)。
積層ピッチ0.05mm(あまり細かくはない)で水平造形しました。他にも必要な部品があったので一緒に3Dプリントしてあります。
たったこれだけの造形ですが、なぜか開始から15〜20層目で、せっかくプラットフォームに固着した基底層が剥離して脱落する失敗が2度立て続けに起きました。光造形式の3Dプリンターではよく聞く失敗ですが、私自身は今まで一度も経験していませんでした。がっかりするものですね(笑)。
3回目にして、ウォームとスパーギヤの出来上がりが目に入ったときは嬉しかったです。
シャフトは直径2mmの真鍮線を使いました。
あまり硬くない材質ですが、このようなプラ模型に使うのなら大丈夫でしょう。
3つのギヤを押し込んで固定し、少なくとも見かけのうえでは、ドライブシャフトは再生できました。問題はちゃんと使えるかどうか、ですが…。
作ったドライブシャフトをフレームに組み込みました。
第一・第三動輪がウォームで駆動する仕掛けになっています。
あっさりできたドライブシャフトですが、まともに動くのかなァ…。
動いた
思ったより調子よく動き、多少慣らせばもとのギヤと変わらない走り具合になりました(もともと結構ワイルドな動きです)。
昔の鉄道プラ模型に使うようなギヤは、この3Dプリンターでも結構いけるようです。
耐摩耗性がどのくらいあるかはわかりませんが、摩滅したら再プリントすればいいでしょうし、そこまで鉄道プラ模型で遊ぶことはないでしょう。
以下はもう余談ですけれど…。
ついでに他の童友社の9mmゲージ蒸機も、壊れていた部品や脱離していた部品を3Dプリンターで再生し、修復しておきました。
左から順に、「鉄道列車シリーズ」のC58、C11、C10です。写真の機関車+電池車に貨車4両とレールのセットで、1969年〜1971年にかけて発売されました。
走りっぷりは当時の電動プラ模型のこと、Nゲージ鉄道模型に比べればかなり大味です。いつ脱線するか、どこかが破損するのではないかとヒヤヒヤしながら遊ぶ感じです。
それでも、貨車を何両も連結して自力走行できるプラ模型は、それまで他のゲージにもなかったと思います。
前の写真を見ると、C11とC10の違いがわからないかもしれませんが、違いはデフの有無程度です(C11のナンバープレートにはC10と書かれています)。
パッケージのイラストは、明確にC11になっているのですけど…。この箱の表面はシボ加工のような仕上げになっていて、やや高級感があります。
追って、C58・C10に塗装済みのパノラマベースをセットした「鉄道パノラマセット」もそれぞれ発売されています。
C11の鉄道パノラマセットも発売されたことになっていますが、私は見る機会がありませんでした。
童友社からは1973年に、「9mmゲージディオラマ用鉄道シリーズ」としてC58・C10・C11がそれぞれ100円で発売されたことになっています(※注1)。残念ながらこれらも目にしたことがありませんでした。下廻りをディスプレイモデル化したものだったのでしょうか。
※注1: 「日本プラモデル50年史」特別付録 「日本模型新聞にみる昭和プラモデル全リスト」より確認。