そのまんまです。実際に作ってみた方もいらっしゃると思います。私の結果は微妙でしたが、できるにはできまして、思ったより簡単でした。
人形の1体1体はそれほど写実的でなくても、客車の向こうから光がさしているときに、乗客のシルエットがそれらしく見えれば感じが出るのでは…?と期待しました。
シルエット用なので、色も黒または暗いグレーの1色にして、それなりに見えれば簡単です。まったくの平面人形に比べれば違和感が少ないのではないかと。
座席はトミックスのオハ61に合わせました。組み合わせに必要な最低限の形状のみ拾っています。
似たような人形をたくさんコピーしますから、今ならデジタル製作が一番楽だと思います。3D CAD(Fusion360)で作図し、3Dプリンター(Phrozen Sonic Mini 4K)で造形しました。
人形は非常に細かいので、顔立ちも服装表現もなく、マネキン的なものにしました。Fusion360の場合、フォーム(スカルプト)機能で、3D CG的に物体を作ることもできるので、座席も人形も同じソフトで一緒に作りました。
1体目だけは40分ぐらいかかってしまいましたが、あとはコピーして多少変更すればよいだけなので、1両ぶんすぐにできました。
乗客は全員大人にしました。性別は意識せず体格は2つのみです。 全部で62体いますがポーズは19種です。作るのは面白いですがきりがないですし、作っても大して見えません。
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ボーン(アーマチュア)が入っているわけではなく、ポーズを変える際は各パーツの位置と角度を直接ずらしています(一部胴体の屈曲もあります)。
やっぱり人形はBlenderなどの3D CGソフトでやったほうがよかったなと思いましたが、全部で20ポーズもないのでそのまま終えてしまいました。
Sonic Mini 4Kは造形エリアが小さいため、20m級客車の座席の長さは長手方向ギリギリでした。剥離面積を減らすために斜めに傾けて造形しました。
タッピングビスで台車をねじ込む穴があるので、割れにくいよう、樹脂は靭性の高い(といわれる) xULTRAT のグレーを使いました。あわよくば未塗装でもいけるのでは、と思いました。
サポート構造など何も考えずに作図したので、サポート付けは一か八かスライサー(ChituBox)に任せました。
意外と人形部分のサポートは少なく、爆睡中の人の頭が支えられた程度でした。あとは肘の支えなど細かいもので、除去しなくても窓の下に隠れてしまいます。
オハ61の床を取り外し、茶色のイスのパーツを外しました。中央下部にある反り留めの小さい爪を破損しやすいので注意です(この爪は3Dパーツには付けませんでした)。
造形した乗客シートをはめ込んで、台車を元通りネジ留めしました。台車のネジとシートによって、黒い床板本体がサンドイッチされる構造です。
試作の結果、ちょっと着座位置が低くて物足りなかったため、0.4mm上げてあと4枚造形しました。
塗装は未塗装(グレー)、黒、ダークグレーの3種を用意しました。ダークグレーがよいのではと思って多めに作りましたが、結果は何ともいえませんでした。
ほぼ予想通りで、色味はありませんがまあそこそこ形は見えます。
見る高さが低いと、ほぼ肩から上のシルエット的なもので、明るめのグレーでもそんなに悪目立ちはしないような気がしました。
ただやや上方から見ると、少し下のほうまで見えますし、順光がうまく当たると全身が白っぽいグレーなのがわかります。
私は自分で作っているので、こういう記号的な存在で作ったのがわかっているため許容していますが、第三者的な見方ではストレートにおかしいかもしれません。
シルエットに徹するなら、真っ黒でよいのではと思いました。とはいえコントラスト的に、黒では強すぎるような気がして、ダークグレーも用意しました。
●黒
これは試作品で、若干着座位置が低いのですけども。
●ダークグレー
ガラスの奥にあると、黒との違いがサッパリわからないです(笑)。
少しアングルを変えて。
●黒
多少光が当たる角度でも影のように真っ黒です。それは好都合です。
●ダークグレー
窓に近いところでは「灰色」の人影が多少わかります。でもやっぱりこの濃さのグレーでは、黒と大して変わりません。
見る角度によっては、石人形が並んでいるような感じで、未塗装よりもかえって不気味かも?
というわけで、やはり単一塗装ではシルエット表現を超えるものではなく、それなら黒1色、もしくは無塗装でもいいのではというのが作者である自分の感想です。
他の方がご覧になるとまた違うかもしれません。もう少し別な色とか、どれもなしだナ…なども。
試しにひとつは着色しました。古い塗料をごっそり処分したあとで、手持ちの色数が少なかったので苦しいですが…全員に同じ肌色と頭の黒を入れ、服は未塗装か適当な色を、座席は元に近い茶色にしました。床などは見えないので無塗装のままです。
すべて筆塗りで、面白いのですが、こんなものでも塗るのに1時間ぐらいかかりました。
手間はかかりますが、色があるとただのシルエットからは脱却し、それなりに活き活きとした見かけになるような気がします。塗るならちゃんと塗れということですかね。
かえってオモチャっぽくなるかなという観測もあったのですが、まあ私が遊んでいるときは何でもオモチャになっていますから。
昔の修学旅行列車ということにして、学生服の黒や紺一色+顔だけ肌色とかなら短時間でできるかも。
以上、できあがった結果よりも、作っている最中のほうが断然面白いという類の遊びでした。走らせちゃったら何だかわからないです(笑)。
ちなみに材料費ですけども、洗浄その他で失われる量を考えて3倍使うとしても、せいぜい1枚150円前後だったかなと思います。人形1体あたりにすると2〜3円でしょうか。もちろん使う樹脂にもよります。私は手持ちの樹脂を使ったので気分的にタダでした。
昔は(今もあるのかもしれませんが)窓ガラスに乗客のシルエットが印刷された客車もありました。
バックマンの65'級客車です。
くもりガラスの外側に乗客が黒で印刷されていました。 子供がマジックで描き込んだように見えなくもないですが(にしてはうまい)、模型の表現に、少しでも楽しさを付け加えたいという気持ちが感じられるように思います。