線路や車両について、もう少し詳しく見てみましょう。
Nゲージの線路がプラレールと最も違うのは、レールに電気が流れているということです。レールの電気は車輪を通じて機関車に取り入れられ、モーターを回したりライトを点灯させたりします。右のレールにプラス、左のレールにマイナスが流れているときに、機関車が前進するように作られているので、極性を切り替えるとバックします。
車輪がレールに接している面積はほとんど点ですし、走行の振動によって離れたり、ゴミや汚れで接触が悪くなったりすることもあります。そんな場合でも安定走行させるには高い電圧を使うほうが有利ですが、あまり高いと危ないですから、直流12V程度が使われています。
それでも12Vというのは車のバッテリーと同じですし、普通の電池は1.5Vですからずいぶん高く感じますね。しかし通常、線路に直接触れても感電の心配はありませんから安心してください。手が濡れていたりすると軽く電気を感じることがありますが、それはやめましょう。
なお、市販のパワーパックでは、最大電圧は14〜16Vくらいあることもありますが、特に問題はありません。実際の運転ではその半分程度の電圧で十分な速度が出てくれます。
レールには継ぎ目があります。継ぎ目には、前後のレールをしっかり結ぶための継ぎ手がついており、これをジョイナーとかレールジョイントとか呼びます。Nゲージのジョイナーは、単にレールをつなぐだけでなく、きちんと電流を流す働きをしますから大切な部品です。ここが緩んでくると通電が悪くなり、列車の動きが悪くなります。特に傷んだら新品に交換することもできます。
KATOとトミックスの線路では、レールの幅(ゲージ)こそ同じ9mmですが、レールを支えている道床の幅も厚みも違い、ジョイナーの形も違います。ですから両社の線路を混ぜて使うことは原則としてできません。ただし両システムについて熟知している方なら、KATOから発売されている「ジョイント線路」というものを使うことにより、単純な接続は可能です。
レールには電気が流れているため、たとえばドライバーを線路に落とすなどして、左右のレールが触れるとショートします。こうなると機関車は動かなくなり、パワーパックの安全装置が作動して電流が遮断されます。
しかし、線路をつないだだけでショートしてしまう場合があります。次の絵を見てください。フィーダーから時計回りに見ていくと、プラスのレール(赤)はぐるりと回ってマイナスにもつながってしまうということになり、ショートしてしまいます(どの段階でショートするかはポイントの構造によって違います)。
このような場合は、線路の途中にギャップというすきまを作り、それ以上電気が伝わらないようにして防ぎます。こういう線路配置を「リバース線」といい、配線も運転も難しくなるので、始めのうちは避けたほうがよいでしょう。詳しく知りたい方は、「リバース線 ギャップ」などで検索し、色々な方のレイアウト例を参考にしてみてください。
ひとつの線路の上に、2つの列車を前後に並べて置いたとしましょう。ここで先頭の列車だけを動かしたいと思ってパワーパックを操作すると、ひとつの線路から両方の機関車に電流が流れ、両方の列車が同時に動き出してしまいます。動力車の速度にはばらつきがあるので、そのうちどちらかがどちらかに追いつき、衝突してしまうでしょう。特別な仕掛けを使っている場合を除き、ひとつのパワーパックで一度に操作できるのは、ひとつの列車だけです。
なお、機関車2両で列車を牽く「重連」の場合は、2両がまったく同じ動きをしてもよいわけですから、1台のパワーパックで実現できます。多少速度に個体差があっても、連結すれば互いに少々の負荷になるだけですから、まとまって動いてくれます。ただし、パワーパックの出力が小さいと、複数のモーターを動かすのに必要な電流を供給できず、動きが遅くなったり、出力オーバーでパワーパックの安全装置が作動して電気が止まってしまうことがあります。
2列車を同じ線路の上で同時に別々の速度で動かすことはできませんが、交互に1列車ずつ動かすことはできます。ポイントを利用して引き込み線を作り、2本の列車を置き、フィーダーはその根本に付けます。トミックスやKATO(固定式線路を除く)のポイントは、ポイントが切り替わっている方向にだけ電流が流れるようにできています。
この絵の場合、ポイントが本線側に切り替わっているときは上の車両が、ポイントが分岐側に切り替わっているときは下の車両が動き出します。このとき電流はポイントの根本からどちらかの枝に供給されるので、フィーダーはポイントの根本側に付けます。もし、左下の分岐側の線路にフィーダーをつけてしまうと、ポイントを直線側に切り替えたときに、電流がどこにも流れなくなってしまいます。