Nゲージ蒸気機関車>2021年のメモ>2021.7.20/2021.7.25
だいぶ前に人様から頂いたVollmerの機関庫のキットです。このルックスは昔からよく知られていたと思います。
このキットは相当前からKATOが取り扱っていたこともあり、実際に組み立てた方も多くいらっしゃると思います。
内容を引用させていただいたカタログでは品番が7605B、私の手元の品は1つ違いの7606Bです。今はVM47605かと思いますが現状については詳しく知りません。
頂いたものなのでいつの製造品かわかりません。Made in Western Germany とあるので1990年よりは前です。
小形の機関庫なので箱も小さく、幅は165mm程度です。中にはパーツがきれいに収まっています。
主に壁の基礎パーツでしょうか。
白パーツは成型色、黄褐色のパーツは茶色の成型品に塗装されています。
外国製のプラキットには昔から塗装済のものが揃っており、ちょっとした汚しやマーブル的な模様が施されていることもあって楽しいですね。
窓枠と窓ガラスです。窓枠は水色成型。
茶成型の屋根関連と床板です。
その他小パーツ。同じ茶色成型でも色合いが少し違うものもあります。
白い紙は時計の文字盤です。ちょっと見たところでは粘着シールやデカールではなく、ただの紙のようです。
丸いスポンジは庫内奥のバンパーに貼り付けて、車両の傷つきを防ぐものだと思います。この機関庫は本来トミックスの扇形機関庫と同じく、機関車でバンパーを押すことで扉が閉まる仕組みです。
説明書を見ますと、奥のバンパーから天井を手前に伸びる針金と、その前に扉とつながるV字形の針金がありますが、これが付属していません。
あとで注意書きがあることに気づいたのですけども、この品番7606の製品は扉の自動開閉機構が省略されている品でした。説明書が共通なので載っていただけです。
仕掛けはなんとなくわかるので必要なら自作はできそうですが、このV字形の針金の材質が気になりました。
こちらの図を見ると、V字形の針金は左右の開いた扉の先に接続されています。 奥のバンパー部に押し戻し用のバネがないことから、このV字形の針金はピアノ線かリン青銅線などのバネ材で、扉を開いた位置に復元する働きもしているように見えます。
機関車が奥のバンパーを押すと、天井の針金に引かれてV字バネが後方に引かれながら狭まり、扉が閉まります。
逆に機関車がバンパーから離れると、V字バネが本来の幅まで開いて扉が開き、天井の針金も前方に引かれてバンパーが前の位置まで戻る。今も入手できそうな製品なので、調べればわかるのでしょうが、あえて調べずに考えてみたりしていました(それを楽しんでおりますヨ)。
色んな成型色のパーツを貼り重ねて構成していく過程が楽しいです。
最近のカラー硬質紙をレーザーカットしたペーパーキットにちょっと感じが似ているかもしれません。
ランナーの部品と部品番号の対応が日本製のプラキットとはちょっと違っていて、最後まで法則がわからなかったところがありました。
ランナーの目立つ部分にある番号は関係なく、部品そのものに付いている番号が正しい、など。部品が混んでいるところでは、ランナーにずらりと番号が並んでいて、どれが何だかわからないところもありました。ただこういうキットなので形を見れば判断はできます。
側板のパーツを並べたところです。裏から見ています。
こんな具合にプラ用接着剤で貼り合わせました。部品は結構ぴったり合いました。
水色の窓枠の部分には軽いバリが全体に出ているようですが、均一な出方のためバリではない可能性もあり、そのままにしました。
表側も貼り重ねました。黄土色の部分は塗装で、若干むらやハジキがあるので逆によい感じになっています。
同じ要領で前面以外の3面を貼り合わせました。
開閉する扉の付いた前面です。
扉の蝶番の部分を、壁のくぼみに載せるようにします。
その上から表の壁(柱)を接着します。柱の裏側にも蝶番のはまるくぼみがついています。
このような構造なので、あとで扉を外すことはできません。
扉はとても軽く開閉します。扉上部に小さいストッパーがあり、扉が内側には開かないようになっています。
ここが一番難しかったのですけども、床板に四方の壁を接着します。
一番外側の壁の端は斜めに削がれていて、そこを突き合わせるのですが、貼り合わせのズレが生じていてなかなかぴったり合いません。
GMの板キットでも車体をこうやって組み合わせるところはちょっと難しいですよね(難しくないですか…?)。
屋根の明り取りの部分を組み立てます。ちょっと形を合わせていくのが難しいですが、プラモデル用接着剤は完全に乾くまで多少ぐにゃぐにゃした過程があるので、少しずつ角度を合わせながら付けました。
前後のフチや煙抜きなども接着しました。明り取りの部分は傾斜が多くて複雑な形状なので、ちょっと合いの悪いところもありました。
それでも、1970年代の手作業による設計の割にはうまくできていると思います。
4箇所の煙抜きは最後に黒を筆塗りしてアクセントをつけておきました。
出入口付近と壁の時計の小パーツを接着しました。時計は黒で塗り、付属の文字盤の紙を切り抜いて木工用ボンドで貼り付けました。
これで屋根をはめ込めば素組み完成となります。
説明書の図を参考に現物合わせで自作してみました。製品と同じ挙動かは不明ですが、思ったより簡単にできました。
後ろのバンパーとスポンジは付属していまいた。これを前方の扉とつなぐ連動棒は、手持ちの0.7mm真鍮線で作りました。
この連動棒は天井の梁についている溝に引っ掛けて取り付けられます。落ちないように前方のみ留め具で留めるようになっています。
扉を押し広げるバネは0.3mmリン青銅線で作りました。中央で1回巻いて、そこを連動棒の前端に引っ掛けています。
扉バネの前端は2〜3mm下側に曲げ、それを扉のガラス部分についている穴に差し込みました。
連動棒が機関車で後ろに押されると、扉のバネが後ろに引かれて扉が閉じます。
いっぱいに閉じると、図のような方向にバネの力がかかるので、扉は開きません。再び扉を開くには、機関車を前進させて扉を内側からちょっと押す必要がありました。ただ、本当に軽く押せばバネの力でパカッと開き、そのまま安定して開いているので使い勝手は快適です。
一応、開閉の様子の動画です。うまく再生できなかったら申し訳ありません。
貼り合わせる部品が多いので意外とボリュームはありますが、楽しく組み立てられました。
煙抜きと時計を黒で塗った以外は製品のままの色です。
窓が大きいので中の車両がよく見えます。
基本は電気機関車・ディーゼル機関車用で、庫内にはオプションの架線も引き通すことができます。
1970年代の製品なので固定式線路が想定されています。トミックスやユニトラックの道床付きレールは使えません。底板や扉の下部を削ったり、場合によっては土台をかさ上げしたりする必要もあります。当時のKATOの固定式線路は枕木の幅もぴったり収まりました。
日本型の電気機関車もパンタを上げてぎりぎり入ります(写真の模型は古いですが…)。マイクロエースのC55も幅は何とか入りましたが、全長がギリギリ収まらず扉が閉まりません。8620は大丈夫でした。
大型蒸気機関車は無理とはいえ、コンパクトで(外形全長153mm)カラーリングも楽しいです。小形レイアウトにはいいですね。
私はヨーロッパ形の電気機関車はひとつも持っていません。103型などたまに欲しくなることはあります。