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モラルハラスメント
5.虐待が起きる条件
1.力関係
今の社会は、残念ながら、権力を持つ者がその力によって弱い者を
支配する社会です。
家庭や学校、地域、職場などで、私たちはそのことを日々学ばされ、
そのことを当然のことだと思いこまされてきました。
そのような社会的背景の中で、モラルハラスメントは起きています。
およそ被害者になる人は権力を持っていない場合が多く、そのように
あきらかに権力の差がある場合は、加害者はその権力を濫用します。
また、ほとんど権力の差がないところでは、加害者はまず相手をおとしめ、
力を奪い、力の差をつけたところで、支配・被支配の人間関係を
つくり出すのです。
そのうえ加害者は、その場のルールを自分に都合のいい
ダブル・スタンダードに作り上げます。
そのため、いったん両者の強者・弱者という人間関係ができあがると、
その関係はますます固定化してしまい、その権力関係の中で、
モラルハラスメントは続いていくのです。
2.密室性
虐待は、密室の中で行われます。
被害者は逃げることができず、外からはその被害が見えません。
加害者はそのような状況を選び、その状況を前提に
虐待を繰り返すのです。
3.虐待者のコンディション
このように加害者は、暴力をふるう対象や状況を選んでいます。
また、自分の調子で虐待をする余裕があるかどうかを
決めているようですし、攻撃の程度もその場に応じて変えてきます。
4.発火点
加害者の攻撃は、ほんの小さな失敗やトラブルから始まります。
被害者の些細なミスを諸悪の根元であるかのように扱い、
この現状をどう修復していくかということよりも、被害者が取り返しのつかない
ミスをしたのだということのみを主張します。
被害者は自分のミスという事実は否定できないため、なかなか反論が
できません。
また、虐待をすることが目的の加害者は、たとえ被害者には落ち度がなくても、
どんなところからでも虐待する理由を見つけ出します。
ときには、加害者自身が責任をとらなければならないようなことが
起きた場合でも、その責任を巧みに被害者に押しつけて、
攻撃を始めるのです。
5.臨界状況
いったん攻撃が始まると、加害者の怒りに火がついたように爆発し、
加害者自身、自分ではどうしようもない状況になります。
また、同程度の攻撃による加害者の満足感はすぐに弱まり、
攻撃の程度は拡大していきます。
そのようにして、攻撃はエスカレートしていくのです。
次回は、被害者の心理状態@についてまとめます。
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