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セクシュアルハラスメント
3.社会的背景
セクシュアルハラスメントが起きる社会的な背景としては、
次のようなことが考えられます。
@職場と社会全体に、女性差別的な意識がある
今の社会は、男性が社会的な影響力や経済力などをもっている
男性中心の社会です。
女性は、一般職やパートなどの低い地位に置かれ、
一人前の職業人として扱われないことが多いという現状があります。
そのような社会の中では、主導権を握っている側の男性の論理でものごとが
進むことが多く、男性の暴力が容認されやすい社会構造があります。
Aジェンダーによる女性役割が求められる
一般的に女性の役割は、まわりの人のお世話をすることだとされています。
男性は、自分たちが主な働き手であると感じているために、
自分たちが働きやすいように、職場でもそのような固定的な性役割を
女性に求める傾向が強いのではないでしょうか。
そのため男性は女性に対して、母親や妻のように身の回りの世話をし、
陰で支え、快適な職場を作るよう努めてくれることを求めてしまうように感じます。
また、女性には「職場の花」として、その場を和やかにしたり明るくしたりするような
役割を求めたり、宴席でのお酌なども「職場の潤滑油」であるとして要求したりします。
または、もうひとつの女性の役割としての、性的な魅力を振りまいてくれる
存在であることを期待し、身体への接触や性的なからかいに対して
女性が寛容であることを求めてしまうのではないでしょうか。
B「性規範のダブルスタンダード(二重の基準)」の存在
性に関して、女性と男性とにあてはめる社会的な基準が違っています。
男性に甘く、女性に厳しいのです。
男性の性は「積極的」「能動的」なもので、「攻める」ものだとされています。
一方、女性の性は「受動的」なものだとされているのです。
そのような受け止め方が、セクシュアルハラスメントを起こし、
また、容認してしまうものにもなっています。
C性に対する男女の認識のズレ
男性は、性の話題や身体への接触は、職場の潤滑油だととらえていることも
あるでしょう。
しかし女性の中には、そのようにとらえない人もたくさんいます。
性的な言動やプライベートな話題についての、男性とは違う受け止め方が、
大切にされていないように感じます。
酒の席でコミニュケーションを図ろうとするなど、男性が女性とコミュニケーションを
図るための方法が、必ずしも適切でない場合があるのではないでしょうか。
このような、ジェンダーによる差別や思い込みが当たり前とされ、そんなものだと
感じられているために、セクシュアルハラスメントが当然のように
起きてしまうのだと思います。
しかも、被害を受けた人がそれを問題にしようとすると、
「他の女の人は何も言わないじゃないか」 「問題にするほうがおかしい」などと言われて、
正当な異議申し立てさえもしにくい状況に追い込まれてしまうのです。
セクシュアルハラスメントは個人的なことではなく、社会的に取り組まれていく問題です。
ジェンダーという社会的な思い込みのひとつひとつを書き換えていくとともに、
「ジェンダーを自然なことと感じてしまうからくりは何か」
「女性が他の女性の自己実現を邪魔する方向に働きかけてしまうからくりは何か」、
そのようなことも含めてみんなの問題として考えていくことが、
セクシュアルハラスメントをなくし、ひとりひとりを大切にしながら、
対等な立場で共に生きていくことにつながるのだと考えます。
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