バセドウ病

バセドウ病とは、どんな病気でしょう。

この病気は若い女性に多く甲状腺の腫れ(全体的に大きくなる)、
やせ(食べてもやせます)動悸手足のふるえ汗かきイラツキ
目が出てきた等の症状が出てきます。

このような典型的な症状が出てきますと、診断は簡単ですが、
軽い例では症状が目立たなくてなかなかわからず、
いろいろな科に回されることもあります。
たとえば、やせに対して胃腸科、動悸に対して循環器科、
手足のふるえに対して神経科、イライラに対して精神科、
眼球突出に対して眼科
に回されることがあります。

なぜバセドウ病になるのか?

バセドウ病になぜなるのかは、はっきりわかっていませんが、
脳下垂体からでる甲状腺刺激ホルモン(TSHといいます)
甲状腺にくっつくところ(レセプタ−または受容体といいます)にたいして抗体ができ、
その抗体が甲状腺を刺激し続けるために、甲状腺ホルモンが沢山できて
バセドウ病の症状がでると考えられています。

バセドウ病はなおるの?

この病気は治療によりなおります。
治療法は薬物療法、放射線治療、手術の3つがあります。
患者さんの年齢、病気の程度、甲状腺の腫れの程度などにより
治療のやり方が変わってきます。

薬による治療 抗甲状腺剤(甲状腺ホルモンが作られるのを抑える薬)

薬としてはメルカゾ−ルとチウラジ−ルの2種類があります。
我が国ではメルカゾ−ルが主に使われます。
アメリカではチウラジ−ルがよく使われます。
どれくらいで効いてくるかはその人の甲状腺のなかに入っている
ホルモンの量で決まります。
抗甲状腺剤は甲状腺ホルモンが作られるのを抑えますが、
甲状腺から甲状腺ホルモンが出てくる(分泌される)のは抑えられません。
ですから、甲状腺の中に溜まっているホルモンが全部出てしまわないと
血液の中の甲状腺ホルモンは正常になりません。

薬の副作用はないの?

薬の副作用で多いのはかゆみや蕁麻疹です。これが出ればくすりを変えます。
非常に気を付けなければならないのは、白血球が減ることです。
特に白血球のなかでも顆粒球が減ります。
顆粒球は細菌をやっつける働きがありますので、
顆粒球が減りますと細菌感染を起こしやすくなります。
この副作用が出ているのを知らないで飲み続けると大変危険です。
しかし、この副作用も1000人のうち3〜4人と非常にまれです。

どれくらいでなおるの?

軽い人は6〜8ヶ月で治ります。
通常は、薬を飲み始めて2週間から1ヶ月経ってから効いてきます
最初、6〜9錠より始め甲状腺ホルモンが正常になってから1/2〜1/3に減らします。
それから徐々に減らして1〜2錠を6〜12ヶ月間飲みます。
飲み始めてから最低2年間は飲むほうが良いと言われていました。
しかし、あまりひどくない人では6〜8ヶ月位で治ってしまう人もいます。

薬で治ったと思ってもバセドウ病の約半数は薬を中止すると数ヶ月して再発します。
再発した時は原則として薬以外の治療を勧めることになります。
これが、放射線治療と手術による治療ということです。

放射線治療(アイソト−プ治療)について

これは、アイソト−プという一種の放射能を使う治療です。
バセドウ病の人ではアイソト−プのカプセルを飲むとその6〜7割が
甲状腺に集まります。このことを利用して治療するわけです。
分かりやすく言えば、アイソト−プで焼いて小さくして治そうというものです。

外から放射線をあてるわけではなく、痛くも痒くもない治療です。
放射線を使いますが、癌や白血病になったりすることはありません。
アメリカでは最も安全な治療法として考えられており、
7〜8割の人がこの治療を受けています。
しかし、生殖器への影響が完全に否定できませんので、
子供、出産可能な女性はなるべくこの治療は避けたほうが良いでしょう。
高齢者、心臓病や肝臓病があり手術できない人、手術を受けることをいやがっている人、
手術後に再発した人等はこの治療に適しています。

手術による治療について

バセドウ病の治療としては一番古くから行われていました。
安全に出来る治療法ですが、出血、声がれなどの合併症もまれですがあります
また、傷が残ることや入院の必要があること等の短所もあります。
長所としては確実に早く治ること、甲状腺の腫れがなくなることがあげられます。

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