1994/07:夏合宿「能登deゴメン班」
山口大学サイクリング部に入部して最初のメインイベント”夏合宿”がやって来た。
大学によって異なるが山大サイクでは3回生の先輩が各自行きたいコースを決めいくつかの班を作り、そこに下級生が行きたい班を選ぶ。
夏の自転車旅行といえば北海道や信州が定番。しかし、先日の練習(体育会サイクリング部は週4日、峠を登ったり筋トレをしている)で膝を痛めていた自分はめっきり体力的なものに不安を感じ、ちょっと楽そうな(失敬:何せ女子でも走れるコース。
ちなみに夏合宿は男女別々の班で男子は結構キツイ班になる。そういう意味で「ゴメン」だったりするわけ)能登班に決めた。
またこの能登班はラリー(西日本大学サイクリング連盟というのがあって加盟校が持ち回りでツーリングイベントを主催する。それを”ラリー”という)の日程に対応しており、ラリーにも参加することにした。
能登deゴメン班
班員:3回生 Kノシタ、Kミヤマ
2回生 Tナカ、Kバヤシ
1回生 Aノ、Tチダ、Nカニイ、ハヤシ(敬称略)
第1日目 07/20:湯田温泉〜金沢(移動日・輪行)
湯田温泉を始発で出発。初めは他の客ほとんどはいないけど、通勤時間になってきて混んできて他のお客さんが迷惑そう。一応お金払ってますし、手回り品切符も買ってるし(99年くらいからJRでは自転車の持ち込みは無料)。しりとり、古今東西、トランプ等でヒマをつぶしながら電車に揺られる。
姫路駅での乗り換え後、車内を移動し仲間を探す(人数が多い場合、各車両に分散して乗る)が、自転車の台数と人の数が合わない。
自転車の方が多い。乗り換えの時荷物だけ積み込み、ジュースなど買っていた1年生(能登班:Aノ、信州班:Eモト、Oカムラ、Hラノ)が乗り遅れている!それはいいんだけど(おいおい)、次の駅で荷物降ろすのが大変だ!1人が2人分。しかも停車時間は1分ほど。
やはり混乱を極めた。荷物が電車とホームの間に落ちたり、車掌に早くしろとせかされるし。おまけにHラノの荷物が1つ下ろせなかった。しかも財布等入ってるやつ。貴重品はウェストポーチとかに入れとかなきゃだめだよ。彼は一旦とんぼ返りとなった。
夜になりだいぶ他の客も減った。窓の外も暗くなり景色も見えなくなった。ちょっとこの気だるい雰囲気が何ともいえず好きだ。
金沢に着いた。自転車を組み立てていると「お祈りさせて下さい」仲間が捕まっている。素早く組み立てを終え僕は逃げた。
今夜ビバークする公園に行く途中Aノが縁石に足をぶつけ、サンダルだったため早くも負傷。
こんな調子で明日から合宿がはじまるのか。
輪行中。となりの嫌そうにしているのがTチダくん
第2日目 07/21:金沢〜富来
いよいよ合宿初日。今日の目的地は輪島、約110km。朝は食パン、1人1斤。無理をしてでもたくさん食べておかないとハンガーノック(腹減って急に力が抜け動けなくなる)になってしまう。
R159で日本海へ、海岸沿い能登道路の側道をひた走る。当初は海が見えるだけで感動したが、そのうち防砂林、壁でろくに海も見えなくなり単調な道に飽き始める。そんなころKバヤシ先輩がパンク。この合宿第1号。ついでに休憩。
昼も近くなり日差しはどんどん強くなる。アスファルトの上で焼かれる。ちょっと意識はもうろう。
今回の走行は4人づつの2班に分かれて走行。しかし、信号で分断された後、互いに行方不明に!途中の志賀町で止まってもう1班を待つがなかなかやってこない。道をもどったりして探すなど2時間以上ロスしてしまった。
よって初日目的地を輪島から富来町へ、最終目的地は高山から富山へ変更。
商店で昼飯を買い、神社の木陰で昼食、昼寝。目的地も変更して気が抜けた。というか楽になったというか。
午後から海岸沿いの能登金剛・厳門等眺めながら走る。
途中の休憩でホイールのがたつきに気づく。クイックはちゃんと閉まっている。ハブにガタがでていた。やはり安い部品はこういうとこで差が出るのだな。先輩のKミヤマさんになおしてもらう。自分でできたらいいなー。
途中海岸沿いの夕暮れでセンチメンタルになっていたが、それはサングラスがオレンジ色だったためでまだ夕方ではなかった(笑)。
夕方目的地の富来町に着いた。今日のビバーク地を決めなくては。キャンプ場にまず行ってみる。しかし、ここは国定公園だからどうか知らないがテント一張り1000円以上取られるということで我々はパスした。
サイクリングターミナルを見つけ敷地内でテントを張らせてもらえないか頼んだが×。
海岸にある世界一長いベンチ(500mくらい)へ行ってみる。水もあるし、人もいないし、地面は舗装されているし。ここに決めた。
市街地のスーパーに行って米や野菜を買いだし。今日はにくじゃが。肉じゃがのもとなんか使わなくてもうまくできた!
世界一長いベンチで。
第3日目 07/22:富来〜曽々木
今日の目的地は曽々木、約60km。朝はちょっと寒い。ご飯とみそ汁食べて出発。
輪島市に入る前にちょっと峠。この合宿初のフリーラン(時間を決めて競走)。
このフリーランでKバヤシ先輩が膝の異常を訴える。ヒッチハイクで輪島の病院まで行くことに。
やはりなかなか車が止まってくれない。止まってくれても自転車があると運んでもらえなかったり(運べない)。
やっと文房具の業者さんのバンに乗せて頂けた。で、我々は待ち合わせの輪島駅へ向かう。
輪島につくとKノシタ先輩が病院へ行くという。風邪で調子が悪いまま走ってきたという。
輪島駅のとなりのスーパーで時間をつぶす。
Kバヤシ先輩とKノシタ先輩が帰ってきてKノシタ先輩が言った。
「おまえらポカリとかスポーツ飲料飲んでもええぞ。」
合宿中は差し入れ以外は水しか飲めないというキマリになっている。
病院の先生にもスポーツ飲料とかの方が体に吸収されやすく良いと言われたらしい。
早速ポカリ粉をかってボトルの水に足す。でもなんか罪悪感が・・・。
Kバヤシ先輩は一旦金沢に置いてきた車を取りに戻った。
曽々木まで距離もないので輪島市で銭湯に入りすっきりしてまた出発。
曽々木の海岸のバス停のある広場でビバークすることにした。自転車置き場はあるし、トイレもあって。おまけにここからは窓岩という奇岩まで見えてナイス!
晩飯は定番のカレー。うまい!
晩飯後は花火。そしたら酔っぱらいの自称神主がやってきて迷惑。後でビール持ってくると去っていった。
テントに入る。この1年生4人が寝るテントは6人用で相当重い上にボロイ。
NO.66というテントなのだがNO.666に変えて”ダミアン”という名前をつけてやった。
しかも、中にネットが無いので虫等が入ってくる。ファスナーを閉めてしまうとサウナ状態。
それでもサウナは嫌なのでファスナーは開けることにした。ささやかな抵抗としてファスナー付近に虫よけスプレーを吹いて。
しかしそのスプレーが風でテントの中に入ってきて浴びてしまった。苦かった。
夜中にあの酔っぱらいはホントに来たらしいがそのまま寝た。
う窓岩の前で。
窓のように穴が空いてるがこの写真では見えない。
第4日目 07/23:曽々木〜穴水
今日の目的地は穴水、約65km。朝飯作りでコンロのガスカートリッジが尽き、ガソリンコンロのホエーブスは故障してしまった。とりあえず飯は食って出発。
今日は途中の立戸ヶ浜で海水浴!午前中コースリーダー(先頭で地図を見て走る)のAノが飛ばしまくって昼前には立戸ヶ浜に到着。こじんまりした海水浴場だ。木陰で昼飯(ご飯&缶詰)。
で、泳ぐ。遠浅できれいな水だ。しかし浅すぎる。20mくらい行っても腰ぐらいまでしかない。ま、泳ぎの得意でない自分には良いのだけど。
Aノは足をケガしているので泳がず上半身裸で寝ていた。そこにNカニイの魔の手が・・・。
Aノは日焼け止めクリームで”うんこ”と書かれた無惨な姿で発見された。
そして再出発、夕方には穴水に到着。なんか祭りやってる。
しかし、それどころでなく、買い出しとガスカートリッジを探さなければならなかった。
1年2人づつで分かれて探した。ハヤシとAノはガスカートリッジを。ホームセンター、スーパー等まわったが自分たちのコンロに合うモノは見つからなかった。最後に町のガス屋に行ったが、当然扱ってはいなかった。
しかし、ご主人がキャンプが趣味で持ってらっしゃったのを、ご好意で頂くことができた。
もう一方の2人もタイ米12kgをただで頂いてきた。ありがとうございました。
ビバークする公園は見つけたが水道がない。隣の電器屋の水道(庭に水やったりするヤツ)をお借りすることができた。(飲料用でなかったけど)ありがとうございました。
晩飯にはデザートにフルーチェをつけた。幸せ。
夜空には祭りのレーザー光線が飛び交っていた。
飯の準備中。
第5日目 07/24:穴水〜能登島〜七尾
朝起きると足が蚊に2,30カ所さされていて痛がゆかった。
今日の目的地は能登島経由七尾、約70km。能登島大橋でKバヤシ先輩がクルマで現れた。
キャリヤから自転車を下ろしここから合流。能登島は結構アップダウンが多かった。
暑さも手伝いコースリーダーの自分はキレかかっていた。ちょっと長めの下りで距離を稼ごうと思い切りこいだ。
しかし曲がるポイントを見過ごし一人でこぎ続け、後ろの先輩が追いついてくるまで気がつかなかった。
八ヶ崎でまたも海水浴!しかし、かき氷を食べられなかったのが悔しい。
能登島でフリーラン2本をして、七尾に到着。公園でビバークの用意をしていると散歩中のご婦人が話しかけてこられ、「ここはヤブ蚊が多いから、ウチは塾をやってる部屋があるのでそこを使いなさい。」と言ってくださった。
我々は晩飯のポークシチューを食べ、そのお宅へ向かった。
ご婦人はお風呂にも入れて下さり、洗濯機も貸して下さり、ジュースやおかしを差し入れをしてくださるなどお礼を言い尽くせないほどであった。
第6日目 07/25:七尾〜富山
最終日目的地は富山、約70km。朝5時出発のためお礼を置き手紙して後にする。心残りである。
気もはやり、フリーランでない通常の団走でもついついスピードが乗ってしまう。
氷見市など町中を通るときは商店街など通ってしまい、大変だった。
そんなこんなでとうとう富山駅に到着。とうとうやった!無事やりとげた!
と、先輩が駅に止めてある自転車を見て「これKワムラ(日本縦断班の先輩)のじゃないか?」と。
そこへ本人がやって来た。日本縦断班唯一の一年生Tラモトもやって来た。何という偶然!再会を喜び合った!
日本縦断班は今日は午後は休養日だという。しかし午前中で120km走っているという!なんちゅーやっちゃ!?
合宿を終えた我々は日本縦断班に肉じゃがをごちそうした。
風呂上がりにはビールとおつまみで打ち上げ。最高に気分がいい!
日本縦断班はまだ先が長いが健闘を祈る!
我々の中でもKミヤマ先輩、Aノ、自分はラリーへ出発しなければならない。
輪行の準備をして眠る。また明日も早い・・・。
この合宿は他の班に比べると”楽”だったのかもしれないが、そのおかげで十分サイクリングを楽しめた。
よりサイクリングが好きになった!
ゴールの富山駅。