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C58の組み立て(やえもんデザイン)

やえもんデザイン C58キット

KATOのC58の下廻りを利用して、各種C58を組み立てるというコンバージョンキットです。
こういう構成の商品が出るとは予想していなかったので、最初は驚きました。今は何となくそのコンセプトが理解できたような気がします。

ワールド工芸がC58シリーズの続きを出せない状態が続いているため、久々の金属製のC58でもあります。

2014.4.12

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これは筆者が組み立てた過程をメモしたものです。正しい組み立て方とはとてもいえませんのでご了承ください。

組み立てに使用したのは、C58後藤タイプ(YC58-3)と、C58一次型テンダーキット(YC58-T1)の組み合わせです。
説明書のままの、いわゆる素組みを目標にしましたが、一部を除き配管類は各種の真鍮線が添付されているだけなので、完成形はその人により色々です。

ベース部分の組み立て

コンバージョンキットにも、動力をほとんどそのまま使えるものから、大幅な加工を必要とするものまで色々あります。
このキットは少なくともモーターの交換と動力ブロックの切削が必要なので、今までのやえもんデザインのキットの中では、比較的大きな加工が必要です。
といいますか、小型のモーターを使うことにより、こういう寸法にすることができる…というキットです。

金属部分は部品構成が整理され、ところどころ今までより簡単になっています。

穴の位置をマーク

キットは4タイプがリリースされましたが、部品共通化のため、ボイラーとキャブはすべて同一のようです。
代わりにタイプ別の穴あけ位置を指定するテンプレートシールが付属しています。最初にこれをボイラーに貼って所定の穴をあけます。

キャブ前方
  1. キャブ側板をぴったり合わせ、裏のハンダ穴からハンダを流して固定。
  2. 妻板をはめ込んで固定。
  3. 前方の角にヤスリをかけて少し丸みを付けます。この写真の段階では忘れており、ボイラーに固定したあとにようやく作業しました。
  4. ひさしを固定。
  5. 天窓を固定。
  6. 天窓のレールを屋根の下側から差し込み、先端を突き合わせて固定。先端も付け根もしっかりハンダ付けします。
  7. 暖房安全弁と信号炎管を固定。
キャブ後方
  1. 後部ひさしのフチを先にハンダ付け。
  2. 後部妻板を貼り重ね、固定。
  3. 左右の手すりを2本ずつ固定。

やえもんデザインのキャブはディテール表現がシンプルなので、素組みなら比較的短時間で終わります。

ランボード
  1. タンクの取り付け部を直角に起こします。
  2. 前方デッキ部を折り曲げます。曲げ角度は説明書に図があります。
  3. 網目部分を折り重ねて固定。
  4. 傾斜部の網目板を重ねて固定。

ランボードも各タイプ共通です。完成したら説明書に従って、各タイプに必要な穴を裏側から開けておきます。

ボイラー組み合わせ

ボイラーの下辺が平行になるよう、プレスの具合を修正してから、ボイラーをランボードにはめ込んで固定しました。
今回はランボードにコンプレッサーや給水ポンプの屈曲部がないため、組み立ては簡単でした。D51などでは1枚の板を折り曲げて屈曲部を作っていたため、前後のランボードの高さが合いにくく、時間がかかっていました。

キャブの固定

キャブをはめ込んで固定。一度で曲がらずに付けば楽なのですが、そうでなければ延々と左右に、前後にと修正し続けたりします。
このキットは、はめ込み位置がかなり安定していました。

動力の切削

ここまでできたら、動力にかぶせて具合をみることができるので、動力の加工に移りました。

  1. モーター部分の上部を切削。
  2. 前デッキの傾斜部や、上廻りの煙室部分が当たるところを切削。
  3. 側面の出っ張りを切削。
  4. 後部のピンを切り詰め(ショート防止)。
  5. 私は付属のモーターブラケットを使わず、元のモーターをそのまま置き換えたので、後端もカットしました。モーターの載せ方によって加工方法が違います。説明書にそれぞれの説明があります。
  6. 指定のBトレサイズモーターを挟み込むため、内側を薄く切削。この写真では、まだ行っていません。

1〜5は手がけヤスリや金ノコでできますが、6はヤスリを十分に往復できる場所がないため、どうしてもリューターが必要かと思います。

モーターの取り付け
  1. 厚さ1mm程度のプラ板を敷き、モーターとウォームギヤの高さを揃えました。
    シャフトの中心同士がずれると動きが悪くなるので注意します。ジョイント部で曲がっても構いませんが、段違いになるとマズいです。
  2. モーターの外装と、4の集電板を絶縁するテープ。
  3. 付属のシリコンチューブで、ウォームギヤとモーターのシャフトをつなぎました。ここで使った種車の場合、シャフトは切り詰めなくても大丈夫でした(シャフトは硬いので、不用意にペンチなどで切ると刃こぼれします)。
  4. モーターの端子に適当な集電板をハンダ付けし、動力ブロックとの間に挟みこみ。
先台車

先台車はロストとエッチングの2ピースからなります。ロストの軸受け部分は、復元バネを入れて可動するようにもできますが、私は固定しました。
使用したKATOのC58は古いもので、先輪が7本スポークのハイフランジだったので、ワールド工芸のスポーク先輪に交換しました。

組み立てた先台車

ロストの軸受け部分をマイナスドライバーでこじ開けるように少し開き、車輪をはめ込んでからヤットコで閉じました。
左が元の先台車です。

高さのチェック

ボディーをかぶせて、前後の位置や高さの具合を確認しました。

ボイラー後部はモーターの上にほとんど隙間なく載っています。シリンダーブロックの高さは加工していません。この状態でランボードがほぼ水平になるので、設計どおりになっているものと考えました。

気持ち的にはあとで若干下げたいです。細いコアレスモーターを使う以外に、現在のモーターでも位置を下げ、走りが悪くならないようにジョイントを調整できればもう少々行けるかもしれません。まずはこのまま進めています。

さて、炭水車も組み立てて連結し、集電や曲線通過のチェックをしておきます。

テンダー側面

テンダー(一次型)側面は1枚の板になっています。先に下端をラジオペンチやヤットコで直角に曲げました。

角の曲げ

角には丸みがつきます。角の内側に溝が3本エッチングされており、説明書に従って手で曲げるだけで簡単にRができます。
C12のときはこの作業が大変でしたが、今回はキットが工夫されているために楽々でした。

妻板をつなぐ

4隅を曲げたら、妻板の中央で左右を合わせて固定しました。

床板

床板も説明どおりに曲げました。ラジオペンチ、ヤットコ、万力、硬いところに押し付け…など、あまり考えずに最終的に直角になるようにしました。

床板の角

床板の角にもRが付くので、説明どおりに押し付けて曲げ、あとはハンダとヤスリで整えました。

縁取り

上端の縁取りをハンダ付けしました。

この縁取りパーツは後ろから前までぐるっとつながっていますが、後ろの妻板と幅が合わずに余ってしまったため、角の1箇所をカットして切り詰めました。角なので、ハンダでつないでヤスリがけすればわからなくなります。

床板の固定

床板の6箇所のツメを本体に差し込んで固定し、台車受梁とドローバーをハンダ付けしました。

床板の加工
  1. 台車集電板の通る穴を開けました。使う台車が指定されているので、最初からその位置に開いていると楽なのですが、今のところ加工作業はユーザーに任されています。
    私の使った動力の場合、テンダー集電をしなければほとんど使い物になりませんでした。
  2. 樹脂ピンを差し込み、内側からプラナットで仮固定しました。
    旧製品のキットでは梁にねじ込み、最後に接着固定する構造になっていましたが、あとで外せる今の構造のほうが楽です。すぐそばにハンダ付けする必要が生じたときにも、溶かさないように外すことができます。
台車の取り付け

あらかじめ、台車の穴の内側に出ている爪を、説明書に従ってカットしておきました。

  1. 台車を差し込み、市販の2mmネジに付属していたワッシャを1枚入れました。一部、引っかかる部分はカットしてあります。
  2. 市販の1.7mmネジを樹脂ピンにねじ込んで留めました。タップは立てずにそのままねじ込んでいますが、軽く入りました(バカになりやすいかもしれません)。
集電装置の取り付け
  1. 樹脂ピンを内側から留めるプラナットです。
  2. 集電板は、リード線もろとも元のC58から外し、t1.0mmプラ板に固定しました。中央に穴を開け、1.4mmネジでテンダーに固定しました。

妻板の下部には余裕を持った穴を開け、リード線を通し、元通り動力部にネジ留めしました。
C58の場合、リード線の機関部側はネジ留めになっています。同じリード線式のC50と違ってモーターにハンダ付けされているわけではありません。

連結

元のドローバー(通電式ではない)は、従台車の後ろ少しのところでカットし、そこに穴を開けてドローバーピンを差し込みました。
完成時に、ピンの先にプラ板で作ったブッシュをはめて、テンダーが外れないようにする予定です。今はシリコンチューブの残りを挿して留めているだけです。

ベース完成

これでベース部分は完成しましたので、スムーズに走るかどうかチェックのうえ調整します。

通電が確実で、ウォーム軸とモーターのシャフトが無理なくつながっていれば、モーターを交換してもまず問題なく走ります。
元のモーターよりも静かになりました。走りのほうは、元のモーターでもよく走っていたので、特に変わりません。

曲線通過では、R280でも先輪がシリンダーに当たって回転が止まることがありました。あまりやりたくないのですが、最後にシリンダーを内側から削って何とかすることにしました。

このキットのキモの部分はほとんどここまででして、あとは通常の金属キットと変わりません。


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