Nゲージ蒸気機関車2007年のメモ>2007.8.16(ドックサイダー蒸気機関車セット)

ドックサイダー蒸気機関車セット

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畳の上で出発

いよいよ出発…ですが、おいそれと動き出してはくれません。

パワーパックを動かす

パワーパックの方向切り替えスイッチを入れて、速度つまみを少しずつ動かしてみます。

この手のパワーパックは、コイル状にぐるぐる巻いた抵抗線の上を、つまみに直結した端子が滑っているだけです。トランスで交流17V程度となり、整流器を通ると少し電圧降下して14〜15V程度に収まります。ですから、直流12Vとはいっても最高出力は少し高めです。

さて、当時のセットは、買ってきたばかりの新品ではすぐに動き出してくれず、うんともすんともいわないこともありました。

動かない 配線は正しいか、ショートしていないか確かめ、機関車をちょっとつつきながら滑らせてみます。なかなか動きません。
まだ動かない

しまいに機関車をつかんでレールに押し付けたり、前後にごとごと揺すってみたりします。そろそろ手動で1周しそうです。

たまに動き出す

子供にプレゼントしたのなら、あなたは次第にあせってきます。

ようやく、油の焦げるような臭いがして、たまにジジジ、ジジジと動き始めて、胸をなでおろします。

ようやく走り出す

動き出してもしばらくは危なっかしいので、止まらない程度に速度を上げて慣らし運転します。今のNゲージを畳の上で走らせると本当に静かですが、当時のは「ジジジジ」「ウィーン」としっかりモーター音がします。周りには何かが焦げる臭いがほんのりと立ち込めます。ホンコン製の機関車はこうでなくっちゃ(笑)。

何十周かさせているあいだに、どんどんスムーズになっていきます。つつかなくても発進できるようになりますし、結構スローも効くようになってきます。あとはもう、気の済むまで走らせるだけです。前進、バック、スピードコントロールと自由自在なので、こんな小さなセットでも、初めての方は楽しくてたまらないでしょう。

機関車と貨車

曲線半径が200mm程度ですが、Bタンクとボギー貨車は難なく走ってくれます。機関車のバルブギヤは(Nゲージとしては)フルワーキングで、ハンドレールなどは金属線でちゃんと浮いています。プラスチック製の貨車もディテールが豊富で、細かい印刷表記や別パーツのブレーキハンドルなどを、ただ見ていても楽しいものです。

そのうち、模型店で色々な建物やアクセサリを買って並べたり、簡単なものなら自分で作ったりして、いっそう楽しく遊べます。

ドックサイダーは、広いレイアウトよりも、これくらいの小さなレイアウトをトコトコ走るほうが似合うように思います。

C62を連結 今度は当時発売されたKATOのC62を連結してみました。Bタンクに比べればかなり図体がでかいですが、同じ9mmゲージ、ちゃんと同じレールに乗って貨車と連結できます。この大型蒸機が走れるのでしょうか?
ちゃんと走るC62

結果は、心配ありません。ちゃんと同じカーブを走れます。車体が大きく、先台車・従台車やテンダーが余裕を持って動けるのでしょう。ただし、メーカー指定の最小半径は249mmです。

KATO(関水金属)のC62は本当にスムーズに走る模型で、2004年まで長期間にわたって発売され続け、今も日本のレイアウトで活躍しているご長寿モデルです。

ブルートレインもOK

同じく当時発売されていた20系客車(旧製品)を連結してみます。ボギー台車で、カプラーも台車マウントなのですからカーブでも平気です。こんなに狭いスペースでブルートレインらしきものを楽しめるというのが、9mmゲージの面白さでした。

台車マウントのカプラーにより、曲線上でもカシャン、カシャンと調子よく連結できるのが最高でしたが、現在はボディーマウントの外観重視タイプのカプラーも多くなり、必ずしもNゲージは連結が簡単とはいえなくなりました。

ドックサイダーで20系 これは、さっぱり似合いませんね。
EF65もOK

普通にEF65でも大丈夫です。この頃のEF65は、スカートがカプラーと一緒に台車マウントされ、カーブで大きく車体からずれるうまい構造になっていて、スカートに大穴を開けずに急カーブを自在にこなせました。

Nゲージとは狭い場所でレイアウトを楽しめる模型、というコンセプトがしっかり感じられたため、車体から分離している現実離れしたスカートでも、こういう用途なら仕方ないなと思えたものでした(変なことは変でしたが)。まずは、しっかり調子よく走ることが求められたので、今ほどスケール性にはうるさく言われず、ディテールも小さい車両にしては非常に精密と考えられていました。

たった60×40センチ程度のスペースで、C62やブルートレインまで走らせられ(無理やりですが…)、しかもたった6,800円という有意義なセットでした。畳の上だと貧相に見えますが、走らせている間は色々な想像が働いているので平気なものです。

値段が安くパッケージが小さいので(今のブック型車両セットを2つ重ねたぐらいの大きさ)、ちょっと買って帰ろうという気にさせるところがよい製品でした。今でもこうしたセットがあれば、C56+客車2両なんていう内容ではどうかと思いますが、電車がゆったり走らせられないトータルセットは、現代にはつらいかもしれません。

なお、当時のこのタイプのパワーパックは、古くなったときにトランスと整流器を結ぶ線が切れやすいようです(切れると非常に速度が遅くなります)。おそらく、ハンダのヤニか何かで腐食していったものと思います。ハンダ付けし直ば簡単に直せるので、昔のセットが調子悪くなっている方はちょっと見てみてください。

そのうちNゲージでも道床付きレールが発売され、色々な電車が発売されるようになってきました。70年代後半、スーパーカーブームに続いてブルートレインブームが訪れる頃は、店頭で見る鉄道模型の主流はNゲージに変わっていました。次第に狭い場所に短編成しか走れない固定レイアウトを作るよりも、フロアレイアウトで長編成を走らせる楽しまれ方が増えていき、Nゲージのカタログでも、ふんだんに場所を使ったフロアレイアウトの写真が多く見られるようになりました。


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