茨城県つくば市テクノパーク大穂の万葉歌碑
茨城県のつくば市大久保にあるテクノパーク大穂にある万葉歌碑を訪ねてきました(2019/4)。
つくば市には、沢山の研究施設があり、また。工業団地もあります。その一つ、大砂工業団地テクノパーク大穂には、20基の万葉歌碑と幾つかの歌碑があります。
下は、テクノパーク大穂の入り口です。
テクノパーク内にある万葉歌碑を、田村泰秀編「万葉千八百碑」に従った順序で以下に記載します。 各碑の位置は、末尾の地図に示します。
万葉歌碑1
(読み下し文) あが面(もて)の 忘れも時(しだ)は 筑波嶺(つくばね)を ふり放(さ)け見つつ 妹(いも)はしぬはね (巻20-4367) ← 歌をクリックすると注釈へジャンプします。
(大意) 私の顔を忘れそうになったら、あなたは、筑波山を見て私を偲んで欲しい。
(作者) 茨城郡(うばらきのこほり)の占部小龍(うらべのをたつ)
万葉歌碑2
(読み下し文) 筑波嶺(つくはね)の さ百合(ゆる)の花の 夜床(ゆとこ)にも 愛(かな)しけ妹(いも)そ 昼も愛(かな)しけ (巻20-4369) ← 歌をクリックすると注釈へジャンプします。
(大意) 筑波山の百合の花のように、夜床でもいとしい妻は昼もいとしい。
(作者) 那賀郡(なかのこほり)の上丁(かみつよぼろ)大舎人部千文(おほとねりべのちふみ)
万葉歌碑3
(読み下し文) 橘(たちばな)の 下(した)吹く風の かぐはしき 筑波(つくは)の山を 恋ひずあらめかも (巻20-4371) ← 歌をクリックすると注釈へジャンプします。
(大意) 橘の花の下を風がかぐわしく吹いている筑波山を恋しく思わずにいられようか。
(作者) 助丁(すけのよぼろ)占部広方(うらべのひろかた)
万葉歌碑4
(読み下し文) 天の原 雲なき宵(よひ)に ぬばたまの 夜渡(よわた)る月の 入(い)らまく惜(を)しも (巻9-1712) ← 歌をクリックすると注釈へジャンプします。
(大意) せっかく雲のない宵なのに、ぬばたまの夜を渡る月が沈んでしまうことが惜しいなあ。
(作者) 未詳
万葉歌碑5
(読み下し文) 筑波嶺(つくばね)に 我が行けりせば 霍公鳥(ほととぎす) 山彦響(とよ)め 鳴かましやそれ (巻8-1497) ← 歌をクリックすると注釈へジャンプします。
(大意) 筑波嶺に行っていたならば、霍公鳥が(ほととぎす)が山彦を響かせて鳴いていただろうになあ。
(作者) 高橋連虫麻呂(たかはしのむらじむしまろ)
万葉歌碑6
(読み下し文) 今日(けふ)の日に いかにか及(し)かむ 筑波嶺(つくばね)に 昔の人の 来(き)けむその日も (巻9-1754) ← 歌をクリックすると注釈へジャンプします。
(大意) 今日の日にどうして及ぼうか。筑波嶺に昔の人が来ただろう、どの日を比べても。
(作者) 高橋連虫麻呂(たかはしのむらじむしまろ)
万葉歌碑7
(読み下し文) 筑波嶺(つくばね)に 雪かも降らる 否(いな)をかも かなしき児(こ)ろが 布(にの)乾(ほ)さるかも (巻14-3351) ← 歌をクリックすると注釈へジャンプします。
(大意) 筑波山に雪が降っているのだろうか。違うかなあ。愛しいあの娘が布を干しているのかもしれないなあ。
(作者) 未詳
万葉歌碑8
この歌碑の写真撮影に失敗しました。
(読み下し文) 筑波嶺(つくばね)の 嶺(ね)ろに霞(かすみ)居(ゐ) 過ぎかてに 息(いき)づく君を 率寝(ゐね)てやらさね (巻14-3388) ← 歌をクリックすると注釈へジャンプします。
(大意) 筑波山の頂きに霞が掛かって動けないように、通り過ぎることができなくてため息をしているあの方を、連れて来て一緒に寝ておやりなさい。
(作者) 未詳
万葉歌碑9
(読み下し文) 筑波嶺に かか鳴く鷲(わし)の 音(ね)のみをか 鳴きわたりなむ 逢ふとはなしに (巻14-3390) ← 歌をクリックすると注釈へジャンプします。
(大意) 筑波山にかかと鳴く鷲がいつまでも鳴きながら飛び続けるように、あなたに会うことでができず私も泣き続けるのだろうか。
(作者) 未詳
万葉歌碑10
(読み下し文) 筑波嶺(つくばね)に 背向(そがい)に見(み)ゆる 葦穂山(あしほやま) 悪(あ)しかる咎(とが)も さね見(み)えなくに (巻14-3391) ← 歌をクリックすると注釈へジャンプします。
(大意) 筑波山の背後に見える葦穂山に非難される咎はまったく見えないのに(私に咎はないと思うのだけど何故貴方はこっちを向いてくれないのか)。
(作者) 未詳
万葉歌碑11
(読み下し文) 筑波嶺の 岩(いは)もとどろに 落つる水 よにもたゆらに 我が思はなくに (巻14-3392) ← 歌をクリックすると注釈へジャンプします。
(大意) 筑波山の岩を轟かせながら落ちる水のように、私達の仲も決して絶えることはないだろうと思うのに(何故あなたは絶えることを心配しているのか)。
(作者) 未詳
万葉歌碑12
(読み下し文) 筑波嶺の 彼面(をても)此面(このも)に 守部(もりべ)据(す)ゑ 母い守(も)れども 魂(たま)そ逢ひにける (巻14-3393) ← 歌をクリックすると注釈へジャンプします。
(大意) 筑波山のあちこちに番人を置くように母は私を監視したのですが、魂はあの方に逢ってしまったのでした。
(作者) 未詳
万葉歌碑13
(読み下し文) さ衣(ごろも)の 小筑波嶺(おつくばね)ろの 山の崎(さき) 忘ら来(こ)ばこそ 汝(な)を懸(か)けなはめ (巻14-3394) ← 歌をクリックすると注釈へジャンプします。
(大意) 筑波山の端まで、あなたを忘れて来たならば、決してあなたの名前を呼んだりはしないだろう。
(作者) 未詳
万葉歌碑14
(読み下し文) 小筑波(をつくは)の 嶺(ね)ろに月(つく)立(た)し 間夜(あひだよ)は さはだなりのを また寝(ね)てむかも (巻14-3395) ← 歌をクリックすると注釈へジャンプします。
(大意) 筑波山に月が立ち、あなたと逢わない夜が多くなってしまったが、また共寝をしたいものだ。
(作者) 未詳
万葉歌碑15
歌碑を見つけられませんでした。
(読み下し文) 小筑波(をつくは)の 繁き木(こ)の間(ま)よ 立つ鳥の 目ゆか汝(な)を見む さ寝ざらなくに (巻14-3396) ← 歌をクリックすると注釈へジャンプします。
(大意) 筑波山の木の間から飛び立つ鳥のように、目だけであなたを見ていなければならないのか。共寝していないわけでもないのに。
(作者) 未詳
万葉歌碑16
(読み下し文) 男(を)の神に 雲立ちのぼり 時雨(しぐれ)ふり 濡れ通るとも われ帰らめや (巻9-1760) ← 歌をクリックすると注釈へジャンプします。
(大意) 男の神の山に雲が立ちのぼり時雨が降り、ずぶ濡れになるとしても、私は決して帰ったりしない。
(作者) 高橋虫麻呂
万葉歌碑17
(読み下し文) 筑波嶺(つくばね)の 裾廻(すそみ)の田井(たゐ)に 秋田刈る 妹(いも)がり遣(や)らむ 黄葉(もみち)手折(たを)らな (巻9-1758) ← 歌をクリックすると注釈へジャンプします。
(大意) 筑波山の裾の周りの田に秋の稲を刈っている乙女のもとにやる黄葉を手折ろう。
(作者) 高橋虫麻呂
万葉歌碑18
(読み下し文) 筑波嶺(つくばね)の 新桑繭(にひくはまゆ)の 衣(きぬ)はあれど 君(きみ)が御衣(みけし)し あやに着(き)欲(ほ)しも (巻14-3350) ← 歌をクリックすると注釈へジャンプします。
(大意) 筑波山の新しい桑で育てた繭の糸で織った衣もよいのですが、貴方のお着物こそとても着たく思います。
(作者) 未詳
万葉歌碑19
(読み下し文) 妹が門(かど) いや遠(とほ)そきぬ 筑波山(つくばやま) 隠れぬ程(ほど)に 袖は振りてな (巻14-3389) ← 歌をクリックすると注釈へジャンプします。
(大意) あなたの家の門がいっそう遠ざかった。筑波山に隠れる前に袖を振ろう。
(作者) 未詳
万葉歌碑20
(読み下し文) 筑波嶺(つくばね)を 外(よそ)のみ見つつ ありかねて 雪消(ゆきげ)の道を なづみ来(け)るかも (巻3-383) ← 歌をクリックすると注釈へジャンプします。
(大意) 筑波嶺(つくばね)を遠くから見ているだけではすまず、雪解けの道を難儀しながら来たなあ。
(作者) 丹比真人国人(たぢひのまひとくにひと)
所在地
茨城県つくば市大久保 テクノパーク大穂
各歌碑は下の地図のマークのところにあります。