Russian Tetrode "GU-84B" を50MHzで研究するページです(ハイパワーが目的ではありません!)

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総合回路図GU-84Bのスペック・・・クリックしてください。

グラビア(PDF)・・・クリックしてください。


Apr 〜 Jun. 2005
Jun 30. 2005 スタンバイ系修正・完成図書作成・・・最終回宣言(暫定)            
高圧投入が行われるまでエキサイタからの送信制御を受け付けないように回路を修正した。スタンバイリレーRy5を制御するDC24Vラインに先日取り付けたRy6の空き接点を挿入した。当初から考えていたが空き接点が無かったため実現していなかった。これにより、高圧投入前には絶対には送信に移れない環境となった。
なお装置の概要と詳細や扱い方、それに写真や関連資料、試験成績等を要領よくまとめ「完成図書」を作成する。また当Webのコピーも参考ドキュメントとしてファイル化して添付しておく。後々に発生するかもしれないトラブルや改修にスムーズに対応するためである。オンマウスすると完成図書の一例をご覧いただける。
既に予告した通り本日を以って暫定だが製作記を終了する。但し改修や手直しが発生した場合は随時追記するので時々覗いて頂きたい。
GU-84Bは1980年代の設計による4極管で、それより20年以上も前に設計されたEimacの4CX1000A等とは製造方法や精度が異なると思われる。したがって管の振る舞いはまるっきり違う。CgとSgの目合わせで高精度を生む製造方法とSgの巧みな位置取りから生まれる低Isg・・・この様な4極管が今まであっただろうか?と感心する。Eimacベースで4極管をお考えのOM諸氏には、少なからずインパクトを与えたものと考えているが如何だろうか。またアンチ・ショートリング派の皆さんの疑問にも答えられたのではと思う。長らく御静聴頂き大変有難う御座いました。

Jun 26. 2005 本日のスナップ            
本格的な製作作業が始まってほぼ1年を経過する。月末を目処に当Webの終了を考えている。
写真はキャビネットに収めて送信テスト(CW-Keying)をしている様子。1KW出力を得るのに約15W程度のドライブが必要である。オンマウスすると60Wドライブで約3KW出力している様子が伺える。この時のハーモニックスは、ローディングで微妙に変わるが-50dB以上を維持している。
この場合は既にリニア領域を脱し飽和出力に近くなっている。参考までに30Wドライブで約2KW、45Wドライブで約2.7KWを出力する。しかし2.7KWでは既にカーブに掛かった状態だ。
過去に実験したように、Epを3.5〜4KV程度に維持できれば60Wドライブで4KW程度まで伸びると思われる。この日の3KW出力時のデータは、負荷時においてEp=3.1〜3.2KV、Esg=310V、Ip=1.2Aであった。Epを高くとる事は4極管の必須運用条件(安全領域)とされる「Ep-ep>Esg」を維持する意味でも有効だろう。
以上はあくまでダミーロードを前提とした「ハイパワー時の研究」の話である。くれぐれも誤解の無いようにお願いしたい。久々にフルドライブしたが、ダミーロードを気遣いながらの作業だった。契約容量は少ないが、受電電圧は安定しており短時間なら確実に上記データを再現できる。

Jun 25. 2005 ラッシュ電流対策実施            
高圧投入時のラッシュ電流対策を行った。もとより対策は施してあったが、オンディレイ時間が短かい事を実は気にしていた。大容量ケミコンでお茶を濁していたが限界があるため、タイマーリレーを「Ry6」として追加することで抜本的な対策とした。手持ちのDC24Vのタイマーリレーから10秒の物(MATSUSHITA/AD6052/PDX-2C-10s)を選び2秒に設定した。このため市内のマルツ電波まで自転車で往復し、写真の如き部品を購入した。リレーソケットは左に写る専用のプレートに差し込み、右の真ちゅうポスト2本でシャシに取り付けている。こうした便利なプレートが有るとはつゆ知らずで、アルミ板を切り出そうと思っていたので随分と助かった。オンマウスカーソルすると実装した様子が見える。低圧トランスの左が追加したRy6。手前は左がRy3で右がRy2。右端に見えるのはRy1。
なおRy6は上部に低圧電源ボードが配置されるので最終的にはボードの下に隠れて見えなくなる
ディレイ時間は1秒以下でも非常に良好なラッシュ電流処理がされスムーズな電源投入が出来るが、余裕を見て2秒にセットしてある。今考えれば余り手を抜かないで最初から対応しておくべきだったと反省しきりである。電源SWオン後約3分で高圧1次投入が行われ(その間はヒータ予熱)、更に2秒後に高圧2次投入が行われ運用可能状態になる。なおRy6の追加による回路図の修正も実施した。

Jun 21. 2005 受電容量対策・・・オンディレイ増加で高圧投入            
高圧投入時のラッシュで30Aの受電NFBがトリップするため中電営業所に契約量の増加が可能か電話を入れてみた。すると引き込みケーブルで既に容量が決まっているため不可能である旨の返事を頂戴した。
それではと言う事で、何とかアンプに通電すための細工をする事にした。細工と言っても大した事ではなく、高圧投入時のRy3のオンディレイが0.2秒程度と短いためこれを長くする。実は当初から1秒以上は欲しいと思っていたのだが、リレーのオン時間やコンデンサのチャージ時間に依存しちょっと手を抜いていた。テストなので電気回路には手をつけず、Ry3を外して暫くしてからRy3を差し込む。2次側のチャージが完了しておれば差し込む時の電流は気になるような値ではない。
これで無事高圧投入が実現した。ダミーはBIRD8404(600W)+5D-2W/50mなのでハイパワーテストは出来ないが1.2KW仕様になるので、CWなら1.5KW程度のKeyingは問題ないと考えている。
それで気に していたトランスの唸りであるが、CWのモニターにはなってしまうが、ファン音の方が気になる状態になった。また高圧トランス・ショートリングによる周辺回路への影響も軽減された・・・以前は漏洩磁束がCg回路を揺さぶっている様な感じがしていた。写真は本日の作業風景。オンマウスするとリレーソケットと取り外したRy3が見える。後日電気的なディレイを考える。

Jun 4/12. 2005 高圧トランス唸り対策完了・・・しかし            
早くもトランスが届いた。鉄心に黒ニスが流し込まれコア材の断面が良く見えないくらいになっている。早速投入してテストしたが、前回の改修ほどには改善されていなかった。しかしトランスに直に耳を当ててみても、トランス自身が唸っている感じがしない。どうも周辺のシャシやフレームが振動しているような気がする。要するに漏洩磁束による振動である。
そうこうしているうちに転勤になり暫く作業が中断。
引越しが落ち着くのを待って、高圧トランス外周にショートリングを取り付けてみることにした。リングと言っても銅板を切り出して曲げるのは骨が折れるので、写真の様に銅シールを貼り付けることにした。端々は半田を流し、電気的にループを構成する。こうすると漏洩磁束がショートリングで短絡され周辺への漏れを低減させることが出来る。オーディオのプリアンプの電源トランスで昔良くやった・・・懐かしい。オンマウスカーソルすると半田付け面を見ることが出来る。
単身赴任先のアパートでは200Vコンセントは無いので、単相3線の両端から取り出して電源を用意してテストを始めたら、高圧投入時のラッシュで受電NFBがトリップ。NFBは30Aであるが、まさか漏洩磁束をショートする効果でラッシュが増加したとは思えない。当面この作業は中断することになった。

Jun 1. 2005 再び高圧トランス唸り対策で旅立ち            
一昨日、留守中に伊勢市の西崎電機から電話があった。昨日昼休みに問い合わせてみると、トランスの唸りについて新しい対策方法を発見したので試してみたいとの事であった。今朝やや早起きして配線を外しトランス取り出して梱包した。適当な梱包材料が無かったので、小さめの段ボール箱に入れ周辺にダンボールやボール紙挟み込み緩衝材とした。しかしあの重さ、筐体をひっくり返すだけでも大仕事で、いざ持ち上げるとなるとそれなりの構えで臨まないと腰を痛める。梱包した箱を手にすると、箱にトランスが入っていると言うより、トランスにボール紙が張り付いているような雰囲気である。実に重たい。
写真は無事トランスを取り外した本体(再掲)内部である。
作業には2日程度かかるので到着は6月5日頃になる見込みである。前回の唸り対策では劇的な改善は見られないものの、ファンと音や周辺のノイズとの比較で言えばまぁまぁ問題は無い程度にはなっていた。どれくらい改善されるのか楽しみである。
この間に前回できなかったALC出力端子とレベル調整VRを取り付けておこうかと考えている・・・。
先週異動(転勤)が決まり何処まで出来るかわからないが・・・。

May 29. 2005 Ipメーターを校正する            
懸案だったIpメーターの校正を行った。前回5月22日の結果は誤差が10%程度もあり余りにも可笑しいので、今回はGU-84Bソケットに内臓されているカソード抵抗Rkの測定から始めた。そしたら何と今まで0.542Ωとばかり信じ切っていたRkが、直流で測定して0.7Ω程度である事が分かった。測定器はDELICAのミニブリッジDS-1である。参考までにデジタルテスターで測定してもほぼ同じ値であった。色々実験を繰り返している内に値上がりしてしまったのだろうか・・・良く分からない。
写真はDS-1を取り出してカソードRkを測定している様子。なおこれを交流(1KHz)で測定すると0.66Ωを示した。静電容量などが影響しているものと思われる。それで、Rk=0.7ΩとしてIpメータの倍率器を求めると。2AフルスケールならRkに2Aの直流電流が流れるとその両端には1.4Vが発生する。メーターは1mA/50Ωなので倍率器=(1.4/0.001)-50=1350Ω。ここで既に内部に1011Ωが内蔵しているので外部には1350-1011=339Ω程度を追加すれば良い。ここでは500ΩBカーブのVRをメーターのマイナス端子側に取り付けた。オンマウスするとVR付近の様子が分かる。これでRkの両端電圧が0.7Vのときに1A振るようにVRを調整する。
その表示結果を見ると、Ep=3.1KV、Ip=0.95Aの時に2KWを出力し、効率は68%である・・・こんなもんだろうか。いずれにしてもRkの両端電圧を測定しながら微調整できる。それにしてもRk値の変化の原因は何なんだろう?。

May 28. 2005 他バンドでの可能性・・・28MHz&144MHz etc            
先月末、名古屋市東区筒井町にある河野鉄鋼を所用で尋ねた。所用は直ぐ終わり社長の河野氏が自慢げに工場の中を案内してくれた。製作中の某大手企業から依頼の制御卓、何故かヘリのコックピット、豊富な工作機械群、そして豊富で特殊な材料、更に廃材となった材料などなど。工作好きの私にはたまらない時間だった。それで廃材の中にあったアルミ5052材の切れ端を貰って来て巻いたのが写真のコイル。切れ端と言っても5mm厚x10mm幅x1300mm長で内径約90mmに4回巻いたものだが、これだけ肉厚があるとかなりの力が必要であった。この状態でミニブリッジでインダクタンスを測ると約1μHを示した。この値はPi-Lで28MHzを組む時に好都合で、ショートリングのバリLとして収まりそうである。
また144MHzは、GU-74B/144MHzPAで使用した先端接地λ/4ベントライン型のショートリング式バリLで対応できそうである。最低でも直径90mmには巻け、思いっきり幅を広げた同調ラインを作り、タップ式で出力を取り出す。また144MHzでは入力回路の再整合が必要である。希望的には50MHzと144MHzをデュアルバンダーでやってみたいが・・・この場合はフロントパネルからのプラグイン切り替えが一番簡単だろう。入力同調はそれに連動させリレー制御とか・・・。現段階ではそこまでやる勇気がわかないが、こういうのって(理論的な裏付けに基き)考えているだけで実に楽しいし愉快になってくる。

May 23. 2005 フォトカプラによるALCセンシング実験            
東芝フォトカプラサイトを見ると目的別のフォトカプラが丁寧に案内されている。先にTrでIcgを検出・増幅するタイプの実験を行ったが、同様な使い方がこのフォトカプラでも出来る。ただ使い慣れていないためどの程度の電流をダイオード側に流したら出力側(Tr側)が変化するのかが規格表からは読み難い部分がある。しかしIcgを検知する場合は、そのままTr式のB-E間に相当するようにダイオード側のアノード-カソードをあてがえば簡単に目的を果たすことが出来る。この際問題はIF電流値が何10mAも必要なものはダメで、1mA程度のものが良い。写真はIF=1mAのTLP-523である。このフォトカプラは出力側Trがダーリントン接続された利得とパワーがある汎用品である。フォトカプラの良いところは入出力が絶縁されているため、Ecgに無関係な電源を使うことが出来るし、コモンモード障害にも強い点だろう。電源電圧はエキサイターのALC電圧に合わせて自由に設定できる。
ただ問題は入力側のダイオードに電流を流すのに必要な電圧である。今回試しにカソード抵抗Rk=0.542Ωに仮に1A流れた時の電圧=0.542Vでダイオードをドライブしようとしたが、やはり電圧不足で出力を得ることが出来なかった。実験では最低でも1V程度が必要であり、直ドライブは不可能であることが改めて分かった。OPアンプでDC増幅すればその目的を果たせるだろう。

May 22. 2005 Ipメーター改修            
2AフルスケールのIpメーターがソケット内蔵カソード抵抗0.542Ωでシャンとされているのが以前から気になっていた。1月5日に紹介した通り、メーターの仕様は・・・@メーター本体の電流値:DC1mAフルスケール、Aその内部抵抗値:約50Ω(メーター単体=10.5Ω、シリーズ抵抗=39.5Ω)、B分流器抵抗値(2A):0.025Ω(25mΩ)。
ここで2A電流計の合成抵抗値Rsとカソード抵抗を含めた総合抵抗値Roの比率を比べると・・・Rs=50x0.025/50+0.025=0.0249875Ω、Ro=0.542x0.0249875/0.52+0.0.0249875=0.0238863。
となり、メーターの振れの違いはRo/Rs=0.0249875/0.0238863=1.046倍・・・+4.6%程度で無視しても良いかと考えていた。 それでメーター内蔵2A分流器を外し、倍率器Rmを拡大しカソード抵抗Rkの両端を測定する方式に変更した。RmはRkに(2-0.001)A流れた時にフルスケールになる様に計算すると1083Ωとなるが、内部抵抗50Ωを減じた1033Ωを直列に挿入する。半端な値なので手持ちの1KΩ約50本の中から一番近い物(1011Ω)を選んだ。元々4.6%程度ならと思っていたが、実際に通電すると1.3Aが1.4A振れるようになった。これだと10%も違う!。これが本当だと今までのIpデータを+10%に読み替えなければいけない。どうやら校正作業が必要になりそうだ。写真はNISHIZAWA/U60のDC2A電流計内部で、シャント抵抗(らせん状)の片端を外し倍率器を追加した様子。

May 21. 2005 久し振りに3KW/CWで連続30分のKeying            
天気がようやく初夏らしくなり気温もぐんぐん上がってきた。これを機に耐久テストでもある連続Keyingに再挑戦した。60W/CWでドライブすると丁度3KWを出力(プレートとロードチューンを最大出力に調整)するので、この状態でIC-756の自動Keyingを30分間試みた。ダミーロードには十分なATT(5D-2W/100m)を挿入し不測の事態に備えた。以前2KWで半日とか3KWで1時間を試みているが、当時はまだ冬で室温も今より20℃近く低かった。この季節に実施して確認しておくと間違いが無い。
参考までに各メータリング状況を記すと・・・。
Drive=60W、Output=3KW、Ecg=-54V、Icg>5mA(ScaleOver)、Ep:3.1KV、Ip=1.2A、Esg=310V、Isg=12mA、Input=3.72KW、PlateDissip=720W、η=81%、Rl≒1.4KΩ、InputSWR=1、OutputSWR=1、Sprius<-60dB 、ShackTemp:28→32.3℃
この状態で30分間Keyingして、その後完全に常温に戻し、再びKeyingを行い当初の状態が維持されているかを確認する。
傾向として温度上昇(RF通電)により動頂点がややずれる傾向(VCを入れる方向)があるが、おそらくロード補助コンに使用しているドアノブコンの温度特性によるものと推測している。コムクラフト社のサイトで確認すると、使用しているHT58/N750は負の温度特性を持っており、フラット特性のNPO型に変更してみるのも面白い。ただこれは問題になるレベルの話ではないが・・・。

May 17. 2005 Icg-IMD特性を見る                        
50MHzの水晶発振器が秋葉原の若松通商から届いた。ネット通販で頼めば翌日には届き代金引換で入手できる。売る側も気を使ってユウパックで送ってくるため、郵送費が部品代くらいに達し苦笑している。普通の郵便なら格安なのに・・・。
PC-VFOの50MHz辺りのピュリティが悪いため、ヘテロダイン検波した時のノイズフロアの高さが気になっていた。そこで多少でも改善できないかと50MHzの水晶発振器を購入した。なんて事は無い、ただ電源を加えれば50MHzのクロックが出てくる。正弦波ではないがDBMのスイッチングにはこれで十分だろうという考えである。オンマウスすると届いたKDKの水晶発振器(KHC5700ATW)が見える。検波出力はオーディオFFTウェーブ・アナライザ32(右下)でIMDを拾い上げる。
グラフはその環境で測定されたものを拡大し切り取ったものである。ノイズフロアが4月10日の測定より大分改善されているのが分かる。
ここでの目的は、ドライブレベルの違いによるIcgの流れ方でIMDにどのような変化があるかを見ることである。このグラフはCW/2KWで最大出力にチューニングした後TwoToneを入れ、Icg=1mAの時のものであるが、4mAと2mAの時の模様も下段に掲示している。なおここではPEPからの換算ではなくTwoToneの尖端から見たIMD表示としているので注意。またそれぞれの出力電力はTowToneをBIRD43でみて1mA→約800W、2mA→約1.1KW、4mA→約1.5KWであった(BIAS=200mA)。
左はIcg=4mAでドライブしたときの模様。オンマウスすると2mAでドライブした時の状態が分かる。PC-FFTなのでRFスペアナと比べ細部のディテールは異なるが傾向はつかめるものと思う。 非常に大雑把な言い方だがIcgの増減で明らかにIMDに変化がある。変化はIcgの増加に伴いIMDも増加するが、3次と5次の関係が逆転する傾向もある。
但しこの場合出力回路の同調は固定であるので、それぞれ負荷状態が異なる。いずれにせよIcg=2mA程度の範囲であればIMDは-30dB(PEP-36dB)程度であり、エキサイタの特性がそのまま出ていると言える。したがって、これ以上の改善はNFBを施すか極端なBIASポイントの変更が必要だろう。

May 16. 2005 ALCボードを組んでみたが・・・            
昨日テストしたALC回路を平ラグ上に組んでみた。定数はRs=2.7KΩ、Rb=270Ω、パスコンは0.0068μFと0.001μF、Rlは33KΩ+5KΩVRとした。また保護用のダイオードも組み込んでいる。またCHはSANSUI/ST-15の1次と2次コイルを直列にし、ミニブリッジで測ると3H程度を得たがちょっと大きいか・・・。
写真は平ラグ上に組み込んだ様子である。シャシ下部が10mm程度のクリアランスしかないので、その中に収まるような作りにした。
これで、昨日のテストの如く問題なく動作したのであるが、Icgが流れない状態で2KWを容易に出力してしまうため、法定最大電力である1.2KW内に収めることが出来ない。この事情からこの方式によるALCの本体への実装は見送りになるかも知れない
この際と言うことで30S-1で採用しているトランス&整流型のALC電圧検知を試みてみた。トランスはSANSUI/ST-75で行いセンタータップのある巻き線側を2次側としてシリコンダイオードで両波整流し10KΩ程度で受けそのままIC-756のALCラインに戻した。案の定CWでは効かないが、SSB(TwoTone以上)では良好に動作するが、これもIcgに依存している事に変わりはない。CWでは動作しないので誤ってSSBモードで口笛(シングルトーン)を吹くと出力がそのまま伸びてしまう
ちょっと悩ましい状況になってきた。調整VRやコネクタも未だ実装していない。

May 15. 2005 IC-756とのALCインターフェイしてみたら・・・            
IC-756のALC入力電圧と出力の関係を測定してみた。グラフはその模様である。IC-756のマニュアルを見てもこうしたグラフなどの掲載は無く「ALC電圧は0〜-4V」程度の記述しかない。また他の多くのトランシーバーも同様である。少なくとも外部にリニアアンプを接続してALC制御するのであれば、それぐらいの特性は添付してほしいものである。
測定は3Vの絶縁された安定化電源に1KΩVRをつなぎ、摺動部から制御電圧を取り出し±を反転させてIC-756のALC入力に接続した。測定は0.1Vステップで0〜-2Vまで可変したときの出力電力を読んだ。出力電力の設定は100Wである。
取得したデータは予想以上に急峻に変化している。-1.8Vも与えれば完全に出力ゼロとなり-1V程度までは出力の低下は見られない。
この特性に合わせアンプ側ALC出力レベルを調整し、実際にパワー抑制が出来るかどうか確認した。100Wを放り込んでも2KW程度に出力を抑え、問題なく動作しているように見えた。ところがブレークイン動作をさせたら大変、オンマウスで見えるようなノイズが送信立ち上がり時にALCラインに混入、立ち上がりが2秒程度遅れ使い物にならない。ギザギザはバイアス制御リレーのチャタリングで、Trで増幅しているのでちょっと厄介。一時的にパスコンCbを0.2μFに増やしたが、最終的に通常容量に戻しCHを追加し対策した(昨日回路修正済み)

May 14. 2005 ALCアンプのデータを取得する            
Trによる増幅型ALC回路の実験を行った。Icgの流れに対するTr出力電圧の関係を取得するためである。この関係が分かればエキサイターへのALCレベル変換が大まかだが判断できる。経験的に回路定数を決めたのが図である。Trは手持ちの高耐圧低hfeの2SC2752(hfe=30実測)。Rsは余り小さくするとTrの動作限界を割り込みIbを流す事が出来なくなる。大きくするとCg回路の直流抵抗値がTrの動作で変動するため程ほどの1KΩと2.7KΩとした。当初100Ω程度で始めたが感度が悪くKΩオーダーに上げている。Rbも感度に影響を与えるが過大電流でTrのベース回路を破壊しないように程良き値でアブソーブしている。実験は110Ωと220Ωを使用した。RlはEcg回路のインピーダンスから見て軽負荷な47KΩとしている。最終的な取り出しはRlを1/10分割するレベルが目標である(IC-756のALC入力は0〜-4V)。なお実験ではこの他にパスコンを取り付けている。
オンマウスするとIcg=0〜1mA時における出力電圧特性を見ることが出来る。RsとRbの違いによる傾向が分かって面白い。どのレベルでALCをかけるかは非常に難しい。お断りしておくが、このカーブはアンプ出力の直線性とは全く無縁である。ちなみに現状ではIcg=0mA時に既に2KW近くを出力し、Icg=0.5mAでは2.5KWに達する。従って法定電力(Max1.2KW)の範囲に出力を押さえ込むには、このIcgを検出する方法では対応できない事が分かる。

May 11. 2005 高圧トランス唸り対策から復帰            
唸り対策を依頼していた高圧トランスが本日11日西崎電機から届いた。一昨日の電話では浸透性のあるニスで固めているとの連絡を貰っていたが果たしてどうなるか・・・。
完全にビス止めする前に、ただ置くだけで様子を見たところ、唸りは残っているが以前に比べてレベルは下がり低域の音がやせているのが分かった。従ってボーンと言う感じではなくビーとちょっとハイトーンに変わり音量が減った感じである。ノイズメーターなどで正確なレベルは測っていないので感じだけの話だが、一定の成果はあったと思われる。実際にビス止めして実装したときのシャシ・フレームを含めた唸りもほぼ同等であった
しかしそれでもCWのKeyingはサイドトーンモニターなど無くても、この唸りだけで十分行なう事ができるレベルである。これはEIコア方式の限界なのだろうか?、カットコアかトロイダルコアにしてピッチ詰めにしないとだめなのだろうか?・・・同じ構造で1KVA程度では全く問題無かったのに、また新しいテーマが出来てしまった。
写真は実装作業中の様子。底から5mmビス4本、横から4mm皿ビス2本で固定、整流ダイオード基板からのリード線BEAMEXとSW'ed_ACラインをトランスに半田付けし、最後にアクリルカバーを取り付ける。この辺は自作機であってもメンテナンスし易い構造にしておきたい。

May 8. 2005 諸々修正            
以下の修正を実施した。
@BIAS調整周りの修正
LM-317HVの設定抵抗を変更しEcg電源出力を-150Vに戻した。これに合わせBIAS電圧設定用抵抗R5/5KΩを2.7KΩに変更。これによりEcgは最大で-52Vまで浅く出来る(今までは-65V)ので、Ipの調整範囲が広がった。
AALC回路の検討
ALCの主目的は、法定電力の維持と電波の質確保にある。ドライブ電力を最初から控えて出力を抑える手もあるが、ここでは誤ってオーバードライブしても出力を抑制する。以前も考察しているが、手持ち部品の関係で通常のトランジスタを使う方法を検討した。図はIcgによりトランジスタに流れ込むベース電流Ibを増幅する方式である。コレクタ側はそのhfe倍に電流増幅が可能だが、負荷抵抗によりその値が決まる。立ち上がりカーブはRsとの分流比またはRbで決め、エキサイターへのインターフェイスは出力VRで行う。エキサイタの出力レベルを含めてALCの動作設定の決定は非常に難しいところである。エキサイタのAF段でLBなどで程良きエンベロープ管理がされたSSBと直線的にボンボン来るSSBとではまるっきり動作設定が異なるからである。やりだすとのめり込みそうである。
なおこの回路は最大-150Vを扱うので、高耐圧のトランジスタが必要である。

May 7. 2005 高圧トランスの唸り対策            
遂に高圧トランスの唸り対策を依頼することにした。既にに実験の初期段階で唸りが多いと製造元である伊勢市の西崎電気さんと相談していた。コイルと鉄心の間に絶縁物を詰め込めば改善されるだろうとアドバイスを頂戴し、硬めのダンボール等を詰め込んだ事があるが十分ではなかった。SSBでは余り気にならないがCWでKeyingすると、Keydownの度にボーンとトランスが唸りその振動がシャシやケースに伝わる。CWはサイドトーンモニターしなくても十分Keyingが出来る程である。
写真は取り外したトランスと主のいなくなったシャシ。オンマウスすると空のシャシが見える。何しろ26Kg程あり結構大変な作業である。経験的にこうした事も予想しビスやナットの操作は簡単にドライバーやボックスドライバーが入る構造にしてある。底からの5mmステンレスビス・ナット4組、横からの4mmステンレス皿ビス・ナット2組を外せば容易に取り外すことが出来る
トランスは本日中に宅急便で西崎電気に発送する。納期は2日と言うことだが作業は連休明けからなので来週の中ほどには届くだろうか。楽しみではあるが何処まで低減出来るか・・・ピッチ詰めでもしない限り、コイルの振動は抑えられないような気もするのだが、お手並み拝見である。
この機会を捉えてBIAS調整周りの修正(電源を-150Vに戻し抵抗比を変更)とALC回路の組み込みを行う予定である。

May 6. 2005 Epを上げ飽和出力3.7KW            
標記しているように当サイトはハイパワーが目的ではないが、GU-84Bの能力を知る目的で出力の増加を試みてみた。50〜60W程度のドライブではほぼ3KWが限界であった、更に増力を試すためにEpを昇圧して見ることにした。高圧トランスの巻き線タップは既にフルであるため、外部に入出力が絶縁された補助トランスを用意し、高圧トランスの2次側に直列につないでみた。その電圧は無負荷でAC137Vであった。この結果がどのようになったかはオンマウスカーソルすると分かる。
60Wのドライブで3.7KW出力をBIRD43(5000A)が示している。同調条件は、60Wドライブしたときに出力が最大になるようにプレートとロードチューンをとった。このときEp=3300V、Ip=1.3A、Isg=17mA、Esg=300V、Icg>4mA(スケールアウト・・・推定5mA)、Pd=590Wであった。異常な位いに効率が高く85%を超えている。こんなことがあるものなのかと排気口に手を当てると温度は変わらないどころかむしろ下がっている・・・プレート損失が減っている!。心配になりオシロとスペアナを覗くがこれも悪くは無くスプリアスは-60dBをクリアしている。
一体何と言う球なんだろう。Epを3.5KVに維持できれば、電圧比から換算する飽和出力(=電圧比の2乗)は容易に4KW以上に、更に3.8KVなら5KWに達する計算である。余りのパワーに実は2KW相当ダミーロードがプッチン。これじゃ同軸ATTが100m以上必要だ。なおPdは下降傾向なので冷却はそのまま行けると見ている。

May 5. 2005 再びIMD測定に挑戦            
ヘテロダイン検波とPC-FFTによるIMD測定について過去に述べた。スペアナがあるのに何故?とする声が聞こえそうだが、その時も断ったように分解能が1KHzしかないため、Mic回路にTowToneを入れて測定するには、周波数が近過ぎて分離できなから。事実数百Hzと2KHz前後の組み合わせだと分離は殆ど不可能だ。そこで変調器へのライン入力を使い、何処までTwoToneの周波数を離すことが可能か試してみた。この結果低い方は80Hz、高い方は2950Hz程度なら何とか帯域内に収めることが出来た(IC-756)。ただf特の下降特性にかかるので変調段でレベルが揃わずクロスが開く。そこででSG出力を1dBずつ調整し綺麗なXになるようにする。こうして生成された約2.9KHz離れたTowToneで変調されたSSBを、分解能1KHzのスペアナで見たのが写真とオンマウスカーソルで見える図である。
図はTwoToneでの電力がBIRD43で1.5KWを表示している時のもの。1・2次を分離したフィルターのスカートに辛うじて引っかかっているのが3次であるが、1KW出力時ではスカートの中に埋もれ拾い上げる事が出来ない。したがって3次は1.5KWで-26dB、1KWなら-35dB(エキサイタと同等)と読んだ。 十分な分解能があればこうした細工は不要だが、これは安物のスペアナしか持ち合わせないプアマン・ハンドメーカーの知恵と心意気である。SGはフリーソフトのWG130。キャリア漏れは十分に追い込んでおく。なおオシロはオークションで落としたTektronics475(200MHz)。

May 4. 2005 Icg表示にマイナス(逆振れ)領域設定・・・回路実装            
昨日実験したIcgメーターを1mA振らせる回路を実装した。倍率抵抗は計算上4.95KΩであるが、手持ちの関係で4.7KΩとしたところ誤差も手伝って(?)か、どんぴしゃで1mA振らせる事が出来た。VRを直列に入れて微調する必要は全く無い。DC-DCコンバータであるイータ社のOEJ-05SC-1224は、24Vリレー電源から導き(入力範囲は8〜32V)5Vを出力するが、入出力は直流的に絶縁され、500Vの電位差の範囲で使える優れものである。ひと昔前ならトランス入力のDC電源をもうひとつ用意するところだが、こうしたデバイスの出現で思わぬ細工が楽しめるようになった。
写真は低圧電源ボード上の空きスペースに組み込んだ様子。元々垂直に取り付けるタイプではないが、Pinがしっかりしているため、このように折り曲げて基板に差し込んでも問題ない。コネクタに空きが無かったため、新規に取り付けた2Pの基板コネクタが下手に見える。オンマウスするとメーターセレクトSWと低圧電源ボートの配線状況が分かる。こうした対応のためにSW類は取り外しが可能な構造にしておくと良い。
わざわざIcgの逆振れなど見なくても・・・とする声が聞こえそうだが、電荷或いは電子レベルで動作する真空管の妙技を確認するには、こうした細工や回り道も必要と考えている。なおこの作業に合わせ回路図も修正している。適当な表現が見つからなかったので"Offset Icg BIAS"と回路図には書き込んである。

May 3. 2005 Icg表示にマイナス(逆振れ)領域を設定する実験            
昨日購入してきたDC-DCコンバータからメーター回路に直流電流を供給し、元々5mAフルスケールであったIcgメーターを無信号時でも1mAの位置まで振れるようにする。すなわち、Icgのプラス側4mA、マイナス側1mAの範囲の電流を読めるようにした。シャント抵抗(4.44Ω)とマルチメーター(500μA/内部抵抗40Ω)の並列回路にDC-DCコンバータ(5V)から抵抗Rmを介して電源を供給する。Rmの値は、500μA電流計が1/5すなわち100μA流すに必要な値を計算して求める。そのときの内部抵抗とシャント抵抗の合成抵抗両端の電圧と5Vとの比率が分かればRmを算出することが出来る。計算すると4.95KΩで5KΩの抵抗で丁度目的を果たすことが出来る。
写真はIcg=0mAの時のメーター表示状況で、オンマウスカーソルするとマイナス側に最大に振れた様子で、この時は約30Wドライブ(出力1.5KW)で-0.3mA(300μA)振れている。
Icgの逆振れは管内の帯電状況や電極の直流的な終端(CgBIAS回路の抵抗値)状況で変わってくる。製作記事などでも省略してしまっている場合が殆どであるが、このように読めるようにしておくと管のコンディション把握に有効である。
またシャント回路に電流を流すわけなので、そのDC-DCコンバータはシャシGNDに対して完全に浮いている必要があり、かつ異種電位の回路を結ぶ(DC供給側:24V電源、DC出力側:-Ecg回路)ため十分な耐圧が必要である。
こうした用途にイータ社のラインナップは500Vを補償しており非常に使いやすい。今回はワニ口リードを使ったテストであるが、低圧電源ボードにDC-DCコンバータを組み込み、専用のプラグで引き出す予定である。

いけない、じっくりメーターを眺めていたら"Hv(x10)"の表示を記入するのを失念している。右上にEsgと並べて入れる予定である。それからBIASを与えた系統のFS表示はどうしようか・・・。

May 2. 2005 部品購入            
久し振りに大須第2アメ横を訪ね部品を購入した。写真の部品ががアンプ関係のモノで、左の基板はイータ電気工業(株)の入出力絶縁タイプのDC-DCコンバータOEJ-05SC-1224でマルカで購入(\1070)。右はセメント抵抗各種とケミコンでカマデンで購入(\550)。後ろはタケイムセンで衝動買いした放熱器(@\50!)で、低圧電源ボードの放熱に使用しているものと同じもの。
DC-DCコンバータはIcg表示に1mAのバイアスを与えIsgの逆振れ表示を行うためのもの。セメント抵抗はプレート回路のヒューズ代わりでケミコンはRy3のオンディレイをもう少し増やすための2200μF/35V。放熱器は今後の製作用。
オンマウスカーソルすると名古屋平大曽根丸ムセンで購入したフジクラの耐熱同軸5D-QEFVが見える。こちらは出力取り出し用だが、既にテフロン同軸RG142Bに変更されているため当面は出番が無い。QEFV電線は誘電体にレイニールを使用しており、半田ごてを当てると柔らかくはなるが溶けて流れ出すような事はない。レイテン線という名称でも売られている。5Dサイズが中々見つからなかったが、COMETT_ANTENNAのアンテナ基台5D6Pに使用している事が分かり購入した。これにはケーブル両端にNPコネクタとANT基台MJがついているが後者は他に流用する事にする。

Apr 30. 2005 周辺整理・家庭内配電変更            
連休に入り家の中の整理を行っている。安城市の高須氏/JA2TNYから長期間提供して頂いたBIRD"8890-300とKURANISHI"RW-3003L"も主のもとに帰ることになった。したがって今後のテストは800Wのチップ型ターミネータを使用した自作ドライ型ダミーロードに同軸ATTを挿入したもので行う事にした。
写真は再び作業台に復帰したGU-84Bアンプ。机上のスペースを塞がないように縦に置いてみた。スペックによれば球の取り付け方向についてはFREE(傍熱管)なのでこのような設置も可能である。排気口からは火傷をしそうな熱風が出てくるので周辺に物を置かないようにする。
しかし縦にして運用するのも面白そうだ。メーター類は読み難くいが90度右回して取り付け直せば正対する。スイッチ類の表示が正対しないがこちらはノブの方向で判断ができる。

AC200Vは、今まで配電盤の単相3線両端の銅ロッドから直に32mmSQのキャップタイアケーブルで引き込んでいた。配電盤の蓋は開いたままで、ケーブルが床を走っていたため家族からは不評で、毎日非難を浴びせられていた。連休に合わせてシャックのクーラー用と称する配電系統を利用し200Vの配電を行った。最近の配電盤はこうした作業が非常に簡単にできるようになっている。シャック側は200Vコンセント1個と取り付けた。これにより家の中が随分と綺麗になった…当たり前の話だが。ただしNFBは20Aの法令遵守のため4KVAまでの負荷が原則となる。それでも短時間なら3KW出力のテストを行うことができる。右はその様子。

Apr 29. 2005 ゴム足を取り付ける他

     
ケースの底カバーにゴム足を取り付けた。ゴム足とは言うが実際には相当な重量が加わるので樹脂製の足で、中心部はブラス(しんちゅう)製である。重さで凹まないように、シャシフレームギリギリの位置に穴を開け(2.5mm)タップ(3mm)を立てた。これによりシャシ底に手(指先)が入るようになり取り扱いが劇的に改善された。といっても体重計に乗せてみるとなんと総重量=44.5Kgもあり、改善されたと言ってもそれなりに力が必要である。この重量を支えるのであるから、いい加減なゴム足ではつぶれてしまう。写真はフロントパネル右側のゴム足取り付け状況である。ゴム足の内側はシャシフレームがくるので板が凹むようなことはない。
オンマウスカーソルで見える写真は、6畳間の畳の上で立ててみたところ。工作机からここまで僅か1mであるが、移動するだけでも大変な作業だった。その気で作業しないと腰を痛めてしまう。

Apr 26. 2005 回路図の修正

     
回路図の修正を行った。今まで軽微な部分や定数の変更については特に掲示しなかったがちょっと重要な部分もあるので、最近変更した部分を以下に書き出してみた。なお回路や回路定数はなるべく実機に合わせているつもりだが、漏れもあるかも知れないのでご了解頂きたい。

@保護回路の改善・・・オンディレイリレーRy1の制御にEcg検知リレーRy4接点を入れる。すなわRy4がEcgによってONにならない限りオンディレイリレーRy1やその他のパワーリレー(Ry3/4)がONにならないようにする。今までEsgはオンディレイリレーRy1に絡み、Ry4はHV回路投入(Ry3/4)にのみ関係していた。
Aプレート同調容量追加・・・プレート補助同調容量をCTとして図面に書き込んだ。また誘電体に使用したシリコンゴム(SiSP340)も明記。
B出力同軸名変更・・・5D-2Wから耐熱性のあるRG-142Bに変更。
CEsgトランスタップ変更・・・350Vから300Vに変更。両方のタップを明記。
DRy3遅延用コンデンサ容量記入・・・無記名だったケミコンに1000μ/50Vと記入。 EDCブロッキングコン追加・・・HT50(500PF/7.5KV)の3個並列を4個並列に変更。

Apr 24. 2005 出力同軸ケーブルをRG-142に変更する

     
出力同軸の耐熱について本稿で触れたところ、愛媛のK氏が心配され声を掛けてくれ、早々にテフロン同軸RG-142を60cm送って頂いた。写真は端末処理をしたRG-142。一方にL型Nコネクタを取り付け、もう一方にはラグ端子を取り付けたもの。これでファイナルボックス内のKW伝送を安心して行えるようになった。RG-142は銀メッキされた芯線と2重シールドで作られ、テフロン誘電体が充填されている。
数年前にラジオデパートの斉藤電気に格安のが置いてあった事を思い出し電話をしてみたが既に売り切れだった。ラジオデパート向かいのオヤイデ電気にも聞いたがべらぼうに高く買う気が失せていた。しかしこういうモノはケチらずに最初から相応のものを投資すべきだと反省している。まぁ500W程度なあ5D-2Wで問題はないだろうが、実験とはいえ1KWを超える場合は…8Dや10Dでも同じだろう。
オンマウスカーソルで恥ずかしながら温度でNGになったケーブルご紹介する。右はPi-Lコイルを直付けしていた時のもも。左は直付けを止めタイトポスト経由で使用したもの。直付けの場合はコイルの発熱がもろに伝わりポリエチレンが溶け出す。また同軸自身の発熱も手伝いシールドの網目にポリエチレンが溶けて食い込んでいる。編線を解すとその様子が良く分かる…しかし簡単に解せない。これが10cm以上も続いている(それ以上は未確認)。したがってケーブルも含めた冷却、あるいは耐熱電線の使用が必要になってくる。

Apr 24. 2005 マルチメーターの目盛り板を考える

     
最近はPCやデジカメをはじめとする情報機器の発達で、昔なら諦めてしまうような細工がいとも簡単に、しかも個人レベル可能である。その最たるものがパネルのレタリングやデザインと言えよう。
ここではマルチメーター(NISHIZAWA/U-60/500μA)の目盛り板に測定項目であるIcg/Esg/Isg/Poの目盛りを入れてみた。元々500μAの電流計なので、Esg(500V/FS)とPo(5KW/FS)はオリジナルの目盛りを使う。Isgはブリーダー電流を0mAとして逆流に20mA正流に80mAとっている。しかしIsgは殆ど流れないので、50mAFSのシャントにして、ブリーダー電流を25mA流し、メーターは±25mAとする方がベターかも…。同様にIcgも低レベルでは逆流するので、逆流に1mA、正流に4mAとっている。常時1mA振らすには、十分に絶縁され浮いた電源を用意し抵抗を介して電流を流す。
図はオリジナル目盛り板をスキャナーで取り込み、作画ソフト上で細工したもの。IcgとIsgは0mA以下を安全領域、Esgは310〜320Vを標準値としている。これを粘着シートにプリントアウトしてプラ板に貼るか、上質紙にプリントアウトする。裏から明かりを当てれば自照式になり運用性が上がり、また高級感が出る。ハンドメーカーを自称するならここまでやりたい。オンマウスカーソルすると実際にU-60に実装して取り付けた様子が見える。またTest&Dataに関係情報ををアップした。

Apr 23. 2005 突入電流対策と出力タンク回路の修正(コイル変更とDCブロックコン4個に…)

     
AC200Vラインの最終パワーリレーRy3の遅延時間を実験的に調整。1000μF/25Vのケミコンをリレー巻線に並列に仮留めし、約0.3秒程の遅延時間を設けた。これにより高圧投入時に受電NFBがトリップする事は無くなった。
時間があると色々な事に手を出したくなって困る…。
@タンクコイルの変更
アルミのタンクコイルを見ていると、か細く(10mm幅x2mm厚)発熱も気になるため、思い切って以前組み込んでいた物(20mm幅x2mm厚)に戻した。
AロードVCのホット側配線材変更
従来の網線から3mm銅パイプに変更。背後からのロードVC固定も完璧。
BDCブロッキングコンを4パラに変更
板金作業を施しDCブロッキングコンを500PF/7.5KVの3パラを4パラに変更した。
C周波数調整実施
コイルの変更に伴い共振周波数が上昇したため、プレート補助コンに誘電体(シリコンゴム/SiSP340)を挿入し周波数調整を行った。
写真はその様子で、4個のDCブロッキングコンや側面に張り付いたシリコンゴム、それに各部品の位置関係が良く分かる。配線の基本はカシメ又はネジ留めで、発熱があっても容易に脱落しない構造にしている。

Apr 22. 2005 入力終端抵抗交換、突入電流対策

     
とりあえず復旧させると言うことでサブシャシを取り外し終端抵抗を同じタイプ(HDK)と交換した。断になった抵抗はホット側リードを引っ張ると破損エレメントと共に抜け出した・・・供給電力は50W前後なのだが。抵抗の取り付けは写真の様にソケット付属のグリッド板固定ネジ環境をそのまま流用。放熱はグリッド板を使うため、抵抗の方向性は筐体側をグリッド板に当て、ホット側をBIAS電源側に接続している。また放熱特性を改善するためにシリコングリスを塗布した。今日のところは回路的な改修は見送り部品交換のみとした。しかし良く見ると入力側のリターン回路が弱そう・・・抵抗のRFリターンは入力同軸シールドに返したい。しかしソケット径が大きいため容易には実現できず、現在はドライブ回路で一番電位の低い場所にリターンしている。
先々週AC200V電源を配電盤から直に配電した。今までは単相3線配電の端と端の100Vコンセントのホット側から200Vを得るという怪しいことをしていたが、電圧降下があるため高圧投入時の突入電流は程々に収まっていた。ところが直張りした結果突入電流が増加し、家の電力使用状況によっては受電NFB(50A)がトリップする。家族が夜間のPC作業中だったりすると大騒ぎで非難の轟々になる。現在パワーリレー1段の遅延(最大25ms)しか設けてないので近々これを0.5〜1秒程度に延長する予定である。リレーはDCなので、並列にケミコンを抱かせる程度で容易に対策ができるだろう。ACリレーの場合はこうした細工ができない。

Apr 21. 2005 入力終端抵抗が断で動作不安定

     
電源を入れドライブするとパワーは出るが何か可笑しい。よく見るとドライブをやめた直後Ipが瞬間的に2A程度まで達する。また入力SWRが極端に悪く、エキサイターの出力制御がかかってしまう。Icgが±どちらへも振れない。スペアナを見るとドライブしなくても-60dB程度の発振を50MHzで起こしている。
ひょっとしたらBIAS回路?と思い電圧を測ると異常はない。しかしこの後入力終端抵抗(50Ω)を経由してCgにBIASを与えているなぁと思い球を抜いてソケット周りをあたった。すると終端抵抗のリードがグラグラで抜け出す有様だった。これか!これじゃCgが場合によってはオープンになってしまうし、Ipが増大するのも頷ける。それに低レベルの発振も。Cg回路はHi-ZだからMΩオーダーの抵抗値でもBIASはかかるだろうが、何しろ不安定だし目的のRF周波数には全く整合していない・・・実にお粗末な話だった。
それで何とか修復するのだが同じ抵抗にそのまま入れ替えるのは芸がないので若干の工夫をする予定。
@どのような状態でもCgへのDC(BIAS)回路は堅持する
B終端抵抗が断になっても@は成立する
写真はソケット上からのショットでCg板の裏側にチップ型ダミーロードが取り付けてある。オンマウスカーソルするとソケットとその周辺の俯瞰ショットが見える。

Apr 20. 2005 ADVANTEST R4131Aによるスプリアス測定・・・スペアナについて

     
Agilent_E4411Bを返却するため、実家からADVANTEST_R4131Aを持ち帰った。もう何年も前に友人のK氏から譲り受けたもので、かなりくたびれた感じがするがそれでも3.5GHzまでのスイープができ重宝している。但し元々FM用で周波数分解能は1KHzまでしかないので、SSBのIMDを拾い上げるには数KHz以上離れたTwoToneが必要となる。しかし現実的にはAF回路やフィルター特性はそこまで広くなく難しい。もっぱら高調波を含むスプリアスの測定専用である。またスイープ速度・バンド幅・スパン・ビデオフィルタの状況がソフト的に監視され、UNCAL状態にならないよう常にチェックが入る。ごまかしのデータにならないように監視しているのである。製造年が古いため最近は100dBが一般的であるが振幅レンジが80dBまでしかない。しかし余計な機能が無いので、スペアナの概念を勉強したり測定技術を身に付けるには十分である。自作派には、中古でも良いから是非一台揃えたい測定器である。
写真は2KW/CW出力時の表示を再撮したものである。先日測定したAgilent_E4411Bに比べると良くない。コネクタの接触を確認したり、測定を繰り返したが大きな違いはない。実はこうした事はよくある話で、高・低レベル混在時の測定の難しさを感じる。画像を電子ファイル化して取り出す機能はないが、再撮写真はしぶくて中々良い。デジカメは撮影映像を確認しながら露出設定が出来るので助かる。オンマウスカーソルすると測定中のR4131Aが見える。

Apr 19. 2005 フルブレークインテスト

     
今までの送信テストはエキサイタのスタンバイとアンプ間は連動させていなかった。本日スタンバイ回路をつなぎフルブレークイン動作をさせてみた。この目的はエキサイタの動作にアンプが完全に連動しているかの確認で、頭切れや信号波への影響を受信機とオシロスコープで見る。
エキサイタはCWモードで連続Keyingさせるが、この際BK-INモードをFULLに設定し約2KW出力で連続送信を行う。出力はダミーロードで終端させていると言ってもRFは漏れ飛んでいくので、KENWOODのTH-F7を持って町内を歩いてみた。アンプやエキサイターについては特にRFI対策は施していない。結果は送信点から20m前後まではS9+で受信できるが50m程度になるとSが振れなくなる。更に100m以上になるとノイズの中に信号を確認できるが、200m以上になると信号の判別が難しくなる。このデータは家を中心に東西南北に歩いて得たものである。これはコモンモード輻射が主と思われるが、ノーマルモード輻射も入り交ざっていると思われる。
その間約30分フルブレークインは安定に動作した。フルブレークインはリレーのタイミング合わせが重要になるが、当アンプはスタンバイとRF入出力切り替えを同一リレーで行っているので、タイミングは非常に良好である。またエキサイタから直に送信制御電圧を取り出し増幅・駆動している効果も大である。なお無信号時にGU-84Bはカットオフされているので発熱量も大分低減されている。

Apr 18. 2005 Pi-L回路のスプリアス測定と周波数の微調について

       
昨日Pi-Lタンク回路のL2を交換したのを受けてスプリアス(高調波)特性を見てみた。グラフの表示は、2.5KW出力で最大出力にチューニングした状態のものである。表示上では2次で-60dB、3次で-73dB、それ以上は-80dB以下に落ちている。なおこのときにのドライブはIcg=3mA程度流れている。Pi-Lの効果が良く出ており良好な特性と言えるだろう。
オンマウスカーソルして見えるのは、チューニングはそのままで、ドライブを低下させ出力を2KWとした時の様子である。この場合2次は-61dB程度であるが、3次以降が全て-80dB以下に落ち非常に良好である。なおこれらの表示はサンプラーのf特を加味していないので、真の値としては-6dB/octの改善がある。
国内ではこの電力での運用は認められていない。法廷電力の上限、すなわち1.2KW出力での特性は更に改善されるのは言うまでもない。Icgによる違いはここでは新しいアプローチで、パワーコントロールの要素として活用する事も考えている。運用としてはIcgの程度で制限を掛けるのと、Audio制限増幅器との併用で1.2KWの中でトークパワーを上げるなどの工夫が考えられる。
高調波の増減はIcgの流れ方もさることながらローディングの状態でも大きく変わるので注意が必要だろう。ローディングVCが線状回路を終端しており高次のハーモニックスに共振する場合があるからである。
なお懸案だった出力同軸ケーブル(芯線)への熱伝導は大幅に改善されている。
出力回路をPi(π)型からPi-L型にするとプレート同調周波数が上少する。Pi型の時は50.0MHzをカバーしていたが500KHz余り高いほうにシフトしている。このような場合再びプレートコイルを巻くのは大変なので、プレートのDCブロッキングコンデンサの出力側から金属板を延長してシールドボックスの側板に近づけて同調容量を稼ぐ。これにより全体に高い方にずれた同調周波数を調整する。これは最初から併用すると同調点の調整がやり易くなるだろう。
写真は1.5mm厚x20mm幅のアルミ板を折り曲げて取り付けた様子。今回はもともとプレート同調容量は球の出力容量やストレー容量のみであるので、これ位の大きさでもかなりの調整ができる。容量の調整はアルミ板を折り曲げて行う。この場合アルミの相手は側板であるが、本来ならソケットの乗っているサブシャシに対して行いたいところである。また板の面積を減らしたいときや容量が不足する場合は、間にテフロンシート等の誘電体を挟み込めば容量を稼ぐことができる。
なお当然であるが、プレート側の同調容量が増加するとプレート負荷抵抗が低下するので、Ipが増加の方向に転じる。同じ電力ならIpの増加に依存した方がepのスイングが低く抑えられ、Esgとの関係による不安定領域からも離れる方向になる。

Apr 17. 2005 Pi-LのL2の巻き直しと固定方法変更

     
従来から仮設状態に近かったPi-Lタンク回路のL2を巻き直した。またその固定方法や同軸ケーブルへの接続方法も変更した。この作業の目的はコイル自身の発熱の軽減と、スタンドオフ碍子による固定で熱を逃がす事により、ポリエチレン絶縁の同軸ケーブルへ与えるダメージを回避するためのものである。長時間のKeyingを行うと、同軸絶縁材のポリエチレンは流れ出しはしないがプヨプヨに近い状態になり、見ていると気持ちが悪い。テフロン同軸や耐熱同軸があればベストだが、今のところ手元にはないので5D-2Wを継続して使用している。
L2は今まで2mmのスズメッキ線を使用していたが。3mmの銅パイプに変更した。またL2を同軸芯線に直付け(かしめ)する方法を改め、ステアタイト碍子で固定し熱が碍子経由でシャシに逃げるようにした。
写真はPi-Lタンク回路の様子でL2がL1の下に見える。昨日の写真からその違いが良く分かる。オンマウスカーソルすると出力同軸との接続状況が分かる。ステアタイトは3mmビス穴が両サイドに切ってある長さ20mmの物だが、締め付け過ぎると割れるのでスプリングワッシャ等を入れ締め付けトルク注意する。この部分は樹脂製のネジ埋め込み済みのスペーサーでも使えそうだが、コイルの発熱が大きいのと、誘電率が高くRFの影響を受けやすいため控えた方が無難。なおL2は約20mmΦで5T巻いたが、最終的には4Tでインダクタンスはミニブリッジの実測で0.3〜0.4μH。

Apr 16. 2005 久し振りに覗くプレートタンク回路・・・コーヒーブレイク(写真撮影)

     
ケースカバーを掛けてからしばらく経ったが本日プレートタンク回路を覗いてみた。驚いたことにDCブロッキングのドアノブコンを連結している銅板(12mm幅x1mm厚)がブラス(黄銅)板のように黄色にピカピカになっていた。これは高周波電流によるものなのか、あるいは熱によるものなのか・・・いや熱ならこんなにきれいにはならない筈だから高周波だ!・・・なんて朝からその要因に思いを馳せている。そしてアルミのタンクコイルの中で回るショートリングも同じ銅(パイプ)であるから、その色の違いに驚かざるを得ない。きわめて平常な状態と言えるだろう。
ここで寄り道をして被写体にこうした光物がある場合の撮影について説明する。殆どの方はストロボを当てる事を考えるだろうがそれはNG。相手が光物だから必ず映像に光源が写ってしまうのと、コントラストが付き過ぎて見難い映像になる。したがってストロボの使用は止め部屋の明かりやスタンドライトなどを照明器具として使用する。但しスタンドライトは距離が近くなるため光が強く影が出やすい。そこでスーパーの白ビニール袋等で覆い光源をフラットにする。またどうしても影が目立つときは明かりの位置をずらして気にならない方向に影を落とす。また画角に入らない範囲で白紙を近づけて光を反射させ間接光を当てる。光物の面積が大きい場合はいくら光を当ててもレベルが上がって来ないので、写り込む背景に白っぽい物を配置しわざと見せる事で「らしさ」を出す。三脚は必須で、もこだわりも必要である。

Apr 14. 2005 商用AC電源の電流を測る

     
各段階における商用ACラインの電流がどの程度か興味があり、クランプメーターで測定してみた。その結果は以下の通りである・・・。
@スタンバイ時:1.1A
A送信無入力時:6A(アイドリング/BIAS電流=200mA)
B3KW出力時:28.1A
C2KW出力時:25.1A
D1KW出力時:18.6A
なおクランプメーターは写真の様にHIOKI3626をNORMALモードで使用した。@Aは予想していた通りの値であったが、Bは25A程度と見込んでいたが予想外に大きい。
28.1A時の商用電圧は195V程度に落ち込むが商用入力としては5.5KVA程度に達しているので、総合効率としては55%程度の値になる。
普段はこのようなAC電流を測る機会は少ないが、こうして一度測定しておくと安心である。しかし待てよ、このタイプのコンセントでは完全にオーバースペックである・・・これ今後の課題としたい

Apr 13. 2005 エア・フィルターの検討

     
以前GU-84Bを取り外したときにプレートフィンの目詰まりを感じたり、フロントパネルの吸入口のネットが期せずしてホコリで白っぽくなったりするのを見て何とかしなければと考えていた。たまたま業務用のエアフィルターに使っている素材を入手することができ吸入口に取り付けてみた。取り付け方法はフロントパネルの吸入口にあるダイアプレスネットの内側にはめ込む。写真は取り付けた様子とオンマウスでは素材のクローズアップを見ることができる。エアフィルターであるから時間が経てばここにホコリが詰まることになるが、外して水洗いをすれば元通りになる。GU-84Bを取り外して洗浄することを考えると遥かに簡単だし、他の部分にもホコリがつかないので大変良好と言えるだろう。
それにしてもホコリの多い家だと思っている。気がつくと机の上や上向きに置いたオシロスコープのディスプレイにはいっぱいホコリが付着している。それを吸い込むのであるからアンプはたまったものじゃない。よくガラス球でホコリが焼けてガラス面が焼きこまれた中古球を見るが、ちょっとした気遣いで解決できるのになぁと思ったりしている。

Apr 10. 2005 DBMとPC-FFTによるIMD測定方法…暫定データ

     
先月末に測定して保存しておいたIMDのFFTファイルを整理した。測定はダミーロード手前でサンプラーで取り出した50.5MHzの2Tone信号とPC-VFOで生成したローカル局発をパッシブ型DBMに注入しヘテロダイン検波を行う。DBM出力にはヘテロダインされた信号がAF帯に並ぶが局発周波数に対してUpper側もLower側も重なってしまうため観測ができない。そこで局発周波数をずらしてUpper側とLower側が重ならず順序良く並ぶようにオフセットを付ける。そうして出力された信号はPCのサウンドカードに入力されFFTソフトにより周波数軸上に目的成分とIMD成分が拾い上げられる。FFTソフトはShigebohこと斉藤氏制作のシェアウェアであるウェーブアナライザ32を使用している。この方式は通常の受信機出力をFFTにかけるやり方のようにIF帯の特性が出力に現れる事がないのでかなりの精度で測定が可能である。ただしDBMを中心にレベル管理には注意を払い入力信号は過大にならないようにATTでレベル調整をする。オンマウスカーソルで見える概要参照。
図は約9KHzの周波数オフセットを付けて表示されたIMD特性をハードコピーしたものである。完全な校正はしていないのであくまでも参考データであるが、エキサイタであるIC-756の特性がそのままGU-84Bアンプでも出ている。したがってアンプのIMDを議論する前にエキサイタ側の対策も考慮する必要がありそうだ。
なおPC-VFOは50MHzバンドになると近傍のスプリアスが多く、データはそれが加味されている事をご了解を頂きたい

Apr 9. 2005 ALC回路を考える

     
机上であるがALC回路について検討する。エキサイタのALC入力は負電圧でパワーコントロールする仕様になっている。すなわち負方向に電圧を掛けると出力を抑制する事ができる。しかし制御電圧に対する出力特性やアタックやリリース時間の明示はカタログでは殆ど見掛けない。したがってアンプからのALC制御を掛ける前に、ALC入力(V)対出力(W)特性を取っておきたい。それが分かればどの程度の電圧とカーブで返してやれば良いかの判断がつく。ALCなどに依存せずAF段に制限増幅器(LB)などを挿入しエキサイタ出力を管理している場合でも、不測の事態に備え何らかのALC措置が必要だろう。
ALC検出方法として一般的に・・・@ドライブレベルを検出する、A出力レベルを検出する、BIcgを検出する等が考えられる。@は現在のエキサイタ出力制御この方式であり敢えてアンプ入力段で作業する必要は無い。Aは同調ずれで制御が外れオーバードライブでCgを痛める恐れがある。BはIcgの流れ出しは必ずしも歪を発生しないが検出手段として最も手頃。
図はBによる方法を回路にしたものでフォトカプラを使った増幅型。これはSSBに限らずCWでも有効であるが、フォトカプラの特性に依存する。オンマウスで見える回路はIcgの変化をAFトランスで取り出して両波整流し制御電圧を取り出すが、CWでは出力エンベロープが変化し使えない。両者ともCgのBIAS回路に検出部を挿入するが、出力側は直流的に絶縁されるので回路に融通性がある。

Apr 8. 2005 2.5KW出力時のKeying波形を確認する

     
昨夜のリップルに引き続き2500W/CWのKeying波形を測定してみた。写真はその様子であるが、オンマウスカーソルするとエキサイタIC-756の50W出力のKeyingの様子が確認できる。
エキサイタ出力は、立ち上がり直後から立ち下り直前の間がややスロープ状になっているのが気になる。これはIC-756のレギュレーションの問題かと思われるが、その原因が電源にあるのかパワーコントロールにあるのかは不明。短点の連続ではなく長点の連続ならもう少しはっきりとした傾向が出るかも知れない。これはここでの目的では無いので作業は別の機会に行う事にする。
エキサイタ出力がほぼGU-84Bアンプ出力に再現しており非常に良好と言えるだろう。「ほぼ」としたのは立ち上がりと立ち下りの両肩が、IC-756の方が鋭くアンプ出力ではやや丸みを帯びている・・・これは悪い傾向ではないが。CWを受信したときのToneに反映されるかもしれない。
なおKeyingはIC-756内臓のエレキーによる短点の連続で行った。波形の水平位置が異なるのは、水平トリガのタイミング取出しが入力振幅で異なるからだと考えられる。

Apr 7. 2005 2.5KW出力時のリップルを確認する

     
CWで2.5KW出力時のリップルを見てみた。Ep/Ecg/Esgなどの各電源にリップルがあると、CWが振幅変調されてしまうので、電源には十分なリップル除去が必要になる。Epは大容量(470μF)のケミコンを10個カスケードにして十分な平滑容量を持たせている。EcgはLM317HVの高リップル除去能力に依存しているが、RippleRejectionRatioは-80dBもあり完璧。Esgはも大容量(470μF)ケミコンの使用でほぼ完璧な直流を供給している。
特にEcgは利得が50倍以上あるため電圧変動もさることながらリップル除去にも十分な注意を払いたい。
写真は2.5KW出力時のリップル状態を撮影したものだがリップルは全く認められない。オンマウスカーソルすると見える波形は、オシロスコープのゲインを約2倍に上げたものだが同様にリップルは認められず非常に良好である。
なおこの波形は50Ωで2.5KW(rms)時のものであるから、波形の先端は√2x√2500x50=500V(最大値)、或いは1000V(P-P)となる。

Apr 4. 2005 1.2KW連続Keydownテスト・・・1時間

     
懸案であった連続Keydownテストを行った。今までKeyingによる長時間の連続送信テストは何度も行っている。長い場合は半日にも及んだが、熱い意外は特に問題は生じていない。Keyingの場合Duty比が50%を割るので、単純にその半分が連続Keydown可能時間とはならないが、運用を想定した貴重なデータとなる。気分的に連続ってのは相当HeavyDutyな感じがするのと、多くのPAが嫌うテスト項目だと言えないだろうか?。TL-922等で1KW連続Keydownをやれと言われたら殆どの方がNo!と言うだろうし、大体1KWを連続して出力できるかすら危うい。
前置きが長くなったがグラフは出力1.2KWで連続Keydownを1時間続けた様子。タンク回路は出力2.5KWで最大出力が得られる点に調整してある。ドライブ電力は20W/CW、Ep=3.3KV、Ip=0.7A、Esg=330V、Isg=-10mA、Icg=-0.1mAであった。当初20℃前後だった6畳間は39℃に達した。結果はグラフが示すとおり非常に良好で電力低下は全く認められなかった。むしろエキサイター側の能力を試している様な気になる。排気口から吹き上げる熱風は相当なもので、110℃Maxの温度計の測定限界を超えた。まさにKWヘアドライアーである。
出力をこれ以上にするとプレート効率が徐々に上がり、過去に紹介した様にプレート損失は横ばいか下降して行く。したがって1.5KW又は2KW出力でも同様な連続Keydownが可能と思われる。なお1.2KW時のプレート負荷にタンク回路を整合させればプレート損失は大幅に改善される。余裕のある球の場合は同調点の負荷抵抗を何処に設定するかも課題となり悩ましい。オンマウスは入出力の電力計群。
注:スケール見間違いで1.1KWは1.2KWで訂正しました

Apr 3. 2005 Tow Tone テスト・・・変更:Esg=320V、Sgブリーダー電流20mA、カットオブバイアス電源=-130V

           
ヘテロダイン復調器とPC-FFTでIMDの測定を試みたが、局発であるPC-VFOのピュリティが50MHz帯になると悪く限界で、内部スプリアスが多く実用にならない。そこで、クラシックなツートーンテストを行った。写真はシングルトーンで500W出力するAFを2波エキサイターであるIC-756に放り込んで見た様子である。バイアス電流を300mA流している。クロスはほぼ直線でまぁまぁに見えるが良く見ると歪みがあるし、先端がやややせ細っているのが気になる。この状態からバイアス電流を100mA程度に落とすとクロス部が湾曲してくる。オンマウスカーソルするとエキサイターであるIC-756のツートーン波形を見ることが出来が、極めて自然なサインウェーブである
なおAF信号源はPCのウェーブジェネレータ(フリーソフト)で、エキサイターの変調段に直接入力している。
バイアス電流を300mA以上流すと、無入力状態でもプレート損失は1KWを超えてしまい悩ましい。当たり前の話だが低出力時の効率は非常に悪くなる。Alpha社などがSSB時のバイアス電流を送信制御したがる気持ちが良く分かる。SSBの運用ってのは非常に厄介だとつくづく感じる
オシロスコープはKENWOODのCS-5175(100MHz)を使用した。なお本日ワニ口で対応していたブリーダー抵抗(25KΩ:5KΩx2パラ)を正式追加しブリーダー電流を20mAとした。またEsg=320V、カットオブバイアス=-130Vに変更した
ややアンプ製作から脱線するが、前述したヘテロダイン復調器の中心を成すDBMを紹介する。元々HF帯用に製作したRFアンプ付きのダイレクトコンバージョンRxとPCのFFTアナライザでIMDを測定していたのだが、RFアンプのf特が50MHzまで無いためDBM部分のみを別途製作したもの。これにPC-VFOからの50MHz出力をLocal-OSCとして注入するとダイレクトコンバージョン(ヘテロダイン復調)が実現する。但しダイレクトコンバージョンで目的周波数をAFに変換すると、Local-OSC周波数を中心にLSBとUSBが同時に出力してしまうため、Local-OSCに数KHzのオフセットを与え、AFに変換された成分の周波数方向を揃えてやる。こうすることによりFFTアナライザーは目的周波数を中心に前後に上下に並んだIMD成分を拾い上げる。
DBMはパッシブ素子であるが取り扱えるレベルがあるので、RF入力にはATTを挿入し程良きレベルに調整し直線性を管理する必要がある。こうして測定されたFFT波形は、高級スペクトラムアナライザにも勝るとも劣らない精度を示す。但しLocal-OSCのピュリティ(ハーモニックスやジッタ等の歪み)がモロに目的波を変調するので注意が必要である。
写真はTDKのDOUBLE-BALANCED MIXER "CB3034M4"で、RFとLoポートにBNCコネクタ、出力ポートにRCAコネクタを取り付けてある。非常に簡単な作りであるが、ちょっとした測定には大変有効である。

Apr 1. 2005 EsgとEpにつぃての考察

     
再びSg周りの振る舞いについて考える。グラフに凡そ2KW出力を得ているときのプレート電圧のスイング状況をイメージとして描いた。Cgドライブはカットオフ=Ep(Max)〜飽和=Ep(Mini)までスイングする。この時RF電圧epとして2KWの電力を≒1.5KΩの負荷抵抗に供給する。電力は実効表示なのでスイングするep(瞬時値)は√2倍すると凡そ2.45KVのスイングが行われる。ここまでは単純な計算だが、実は良く見ると大変な問題が含まれている。それは仮にAB1級動作した場合にプレート直流電圧Epは3KVちょっとであるが、この範囲にAB1級動作のスイングを全て収めようとすると、グラフが示すようにEsg=320VをEpが割り込んでしまう可能性がある。このことは4極管の大原則である(Ep-ep)>Esgが守られていない事になる。+ドライブ先端でEsgとEpの関係が反転し瞬間ではあるがIsgの増加を招いているに違いない(ダイナトロン領域)。この状況で2KW出力までドライブ(スイング)するのは明らかにオーバードライブである。初期段階で1.5KW程度までは非常に安定な動作を示すが、更にドライブを上げると不安定になるのはこうした理由も考えられる。
この改善策としては出力を上げないソフト的対応の他に、ハード的にはEpを更に高くするか、Esgを更に低く設定するか、或いはプレート負荷抵抗を低く取りIpに依存し電力を稼ぐ等の方法が考えられる。効率を優先するために負荷抵抗をぎりぎり高めに設定していたが、やはりこの球は大電流で使う方が安定に動作するような気がしてきたが、あと500V程度Epを上げるのも面白そうだ。30S-1の様なSg電源構成なら、仮にEpをフルスイングしたとしてもこうした状況に陥る事は無いのでベストであろう。