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先月末、名古屋市東区筒井町にある河野鉄鋼を所用で尋ねた。所用は直ぐ終わり社長の河野氏が自慢げに工場の中を案内してくれた。製作中の某大手企業から依頼の制御卓、何故かヘリのコックピット、豊富な工作機械群、そして豊富で特殊な材料、更に廃材となった材料などなど。工作好きの私にはたまらない時間だった。それで廃材の中にあったアルミ5052材の切れ端を貰って来て巻いたのが写真のコイル。切れ端と言っても5mm厚x10mm幅x1300mm長で内径約90mmに4回巻いたものだが、これだけ肉厚があるとかなりの力が必要であった。この状態でミニブリッジでインダクタンスを測ると約1μHを示した。この値はPi-Lで28MHzを組む時に好都合で、ショートリングのバリLとして収まりそうである。 また144MHzは、GU-74B/144MHzPAで使用した先端接地λ/4ベントライン型のショートリング式バリLで対応できそうである。最低でも直径90mmには巻け、思いっきり幅を広げた同調ラインを作り、タップ式で出力を取り出す。また144MHzでは入力回路の再整合が必要である。希望的には50MHzと144MHzをデュアルバンダーでやってみたいが・・・この場合はフロントパネルからのプラグイン切り替えが一番簡単だろう。入力同調はそれに連動させリレー制御とか・・・。現段階ではそこまでやる勇気がわかないが、こういうのって(理論的な裏付けに基き)考えているだけで実に楽しいし愉快になってくる。 |
東芝フォトカプラサイトを見ると目的別のフォトカプラが丁寧に案内されている。先にTrでIcgを検出・増幅するタイプの実験を行ったが、同様な使い方がこのフォトカプラでも出来る。ただ使い慣れていないためどの程度の電流をダイオード側に流したら出力側(Tr側)が変化するのかが規格表からは読み難い部分がある。しかしIcgを検知する場合は、そのままTr式のB-E間に相当するようにダイオード側のアノード-カソードをあてがえば簡単に目的を果たすことが出来る。この際問題はIF電流値が何10mAも必要なものはダメで、1mA程度のものが良い。写真はIF=1mAのTLP-523である。このフォトカプラは出力側Trがダーリントン接続された利得とパワーがある汎用品である。フォトカプラの良いところは入出力が絶縁されているため、Ecgに無関係な電源を使うことが出来るし、コモンモード障害にも強い点だろう。電源電圧はエキサイターのALC電圧に合わせて自由に設定できる。 ただ問題は入力側のダイオードに電流を流すのに必要な電圧である。今回試しにカソード抵抗Rk=0.542Ωに仮に1A流れた時の電圧=0.542Vでダイオードをドライブしようとしたが、やはり電圧不足で出力を得ることが出来なかった。実験では最低でも1V程度が必要であり、直ドライブは不可能であることが改めて分かった。OPアンプでDC増幅すればその目的を果たせるだろう。 |
天気がようやく初夏らしくなり気温もぐんぐん上がってきた。これを機に耐久テストでもある連続Keyingに再挑戦した。60W/CWでドライブすると丁度3KWを出力(プレートとロードチューンを最大出力に調整)するので、この状態でIC-756の自動Keyingを30分間試みた。ダミーロードには十分なATT(5D-2W/100m)を挿入し不測の事態に備えた。以前2KWで半日とか3KWで1時間を試みているが、当時はまだ冬で室温も今より20℃近く低かった。この季節に実施して確認しておくと間違いが無い。 参考までに各メータリング状況を記すと・・・。 Drive=60W、Output=3KW、Ecg=-54V、Icg>5mA(ScaleOver)、Ep:3.1KV、Ip=1.2A、Esg=310V、Isg=12mA、Input=3.72KW、PlateDissip=720W、η=81%、Rl≒1.4KΩ、InputSWR=1、OutputSWR=1、Sprius<-60dB 、ShackTemp:28→32.3℃ この状態で30分間Keyingして、その後完全に常温に戻し、再びKeyingを行い当初の状態が維持されているかを確認する。 傾向として温度上昇(RF通電)により動頂点がややずれる傾向(VCを入れる方向)があるが、おそらくロード補助コンに使用しているドアノブコンの温度特性によるものと推測している。コムクラフト社のサイトで確認すると、使用しているHT58/N750は負の温度特性を持っており、フラット特性のNPO型に変更してみるのも面白い。ただこれは問題になるレベルの話ではないが・・・。 |
50MHzの水晶発振器が秋葉原の若松通商から届いた。ネット通販で頼めば翌日には届き代金引換で入手できる。売る側も気を使ってユウパックで送ってくるため、郵送費が部品代くらいに達し苦笑している。普通の郵便なら格安なのに・・・。 PC-VFOの50MHz辺りのピュリティが悪いため、ヘテロダイン検波した時のノイズフロアの高さが気になっていた。そこで多少でも改善できないかと50MHzの水晶発振器を購入した。なんて事は無い、ただ電源を加えれば50MHzのクロックが出てくる。正弦波ではないがDBMのスイッチングにはこれで十分だろうという考えである。オンマウスすると届いたKDKの水晶発振器(KHC5700ATW)が見える。検波出力はオーディオFFTウェーブ・アナライザ32(右下)でIMDを拾い上げる。 グラフはその環境で測定されたものを拡大し切り取ったものである。ノイズフロアが4月10日の測定より大分改善されているのが分かる。 ここでの目的は、ドライブレベルの違いによるIcgの流れ方でIMDにどのような変化があるかを見ることである。このグラフはCW/2KWで最大出力にチューニングした後TwoToneを入れ、Icg=1mAの時のものであるが、4mAと2mAの時の模様も下段に掲示している。なおここではPEPからの換算ではなくTwoToneの尖端から見たIMD表示としているので注意。またそれぞれの出力電力はTowToneをBIRD43でみて1mA→約800W、2mA→約1.1KW、4mA→約1.5KWであった(BIAS=200mA)。 | ||
左はIcg=4mAでドライブしたときの模様。オンマウスすると2mAでドライブした時の状態が分かる。PC-FFTなのでRFスペアナと比べ細部のディテールは異なるが傾向はつかめるものと思う。
非常に大雑把な言い方だがIcgの増減で明らかにIMDに変化がある。変化はIcgの増加に伴いIMDも増加するが、3次と5次の関係が逆転する傾向もある。
但しこの場合出力回路の同調は固定であるので、それぞれ負荷状態が異なる。いずれにせよIcg=2mA程度の範囲であればIMDは-30dB(PEP-36dB)程度であり、エキサイタの特性がそのまま出ていると言える。したがって、これ以上の改善はNFBを施すか極端なBIASポイントの変更が必要だろう。 |
Trによる増幅型ALC回路の実験を行った。Icgの流れに対するTr出力電圧の関係を取得するためである。この関係が分かればエキサイターへのALCレベル変換が大まかだが判断できる。経験的に回路定数を決めたのが図である。Trは手持ちの高耐圧低hfeの2SC2752(hfe=30実測)。Rsは余り小さくするとTrの動作限界を割り込みIbを流す事が出来なくなる。大きくするとCg回路の直流抵抗値がTrの動作で変動するため程ほどの1KΩと2.7KΩとした。当初100Ω程度で始めたが感度が悪くKΩオーダーに上げている。Rbも感度に影響を与えるが過大電流でTrのベース回路を破壊しないように程良き値でアブソーブしている。実験は110Ωと220Ωを使用した。RlはEcg回路のインピーダンスから見て軽負荷な47KΩとしている。最終的な取り出しはRlを1/10分割するレベルが目標である(IC-756のALC入力は0〜-4V)。なお実験ではこの他にパスコンを取り付けている。 オンマウスするとIcg=0〜1mA時における出力電圧特性を見ることが出来る。RsとRbの違いによる傾向が分かって面白い。どのレベルでALCをかけるかは非常に難しい。お断りしておくが、このカーブはアンプ出力の直線性とは全く無縁である。ちなみに現状ではIcg=0mA時に既に2KW近くを出力し、Icg=0.5mAでは2.5KWに達する。従って法定電力(Max1.2KW)の範囲に出力を押さえ込むには、このIcgを検出する方法では対応できない事が分かる。 |
標記しているように当サイトはハイパワーが目的ではないが、GU-84Bの能力を知る目的で出力の増加を試みてみた。50〜60W程度のドライブではほぼ3KWが限界であった、更に増力を試すためにEpを昇圧して見ることにした。高圧トランスの巻き線タップは既にフルであるため、外部に入出力が絶縁された補助トランスを用意し、高圧トランスの2次側に直列につないでみた。その電圧は無負荷でAC137Vであった。この結果がどのようになったかはオンマウスカーソルすると分かる。 60Wのドライブで3.7KW出力をBIRD43(5000A)が示している。同調条件は、60Wドライブしたときに出力が最大になるようにプレートとロードチューンをとった。このときEp=3300V、Ip=1.3A、Isg=17mA、Esg=300V、Icg>4mA(スケールアウト・・・推定5mA)、Pd=590Wであった。異常な位いに効率が高く85%を超えている。こんなことがあるものなのかと排気口に手を当てると温度は変わらないどころかむしろ下がっている・・・プレート損失が減っている!。心配になりオシロとスペアナを覗くがこれも悪くは無くスプリアスは-60dBをクリアしている。 一体何と言う球なんだろう。Epを3.5KVに維持できれば、電圧比から換算する飽和出力(=電圧比の2乗)は容易に4KW以上に、更に3.8KVなら5KWに達する計算である。余りのパワーに実は2KW相当ダミーロードがプッチン。これじゃ同軸ATTが100m以上必要だ。なおPdは下降傾向なので冷却はそのまま行けると見ている。 |
久し振りに大須第2アメ横を訪ね部品を購入した。写真の部品ががアンプ関係のモノで、左の基板はイータ電気工業(株)の入出力絶縁タイプのDC-DCコンバータOEJ-05SC-1224でマルカで購入(\1070)。右はセメント抵抗各種とケミコンでカマデンで購入(\550)。後ろはタケイムセンで衝動買いした放熱器(@\50!)で、低圧電源ボードの放熱に使用しているものと同じもの。 DC-DCコンバータはIcg表示に1mAのバイアスを与えIsgの逆振れ表示を行うためのもの。セメント抵抗はプレート回路のヒューズ代わりでケミコンはRy3のオンディレイをもう少し増やすための2200μF/35V。放熱器は今後の製作用。 オンマウスカーソルすると名古屋平大曽根丸ムセンで購入したフジクラの耐熱同軸5D-QEFVが見える。こちらは出力取り出し用だが、既にテフロン同軸RG142Bに変更されているため当面は出番が無い。QEFV電線は誘電体にレイニールを使用しており、半田ごてを当てると柔らかくはなるが溶けて流れ出すような事はない。レイテン線という名称でも売られている。5Dサイズが中々見つからなかったが、COMETT_ANTENNAのアンテナ基台5D6Pに使用している事が分かり購入した。これにはケーブル両端にNPコネクタとANT基台MJがついているが後者は他に流用する事にする。 |
連休に入り家の中の整理を行っている。安城市の高須氏/JA2TNYから長期間提供して頂いたBIRD"8890-300とKURANISHI"RW-3003L"も主のもとに帰ることになった。したがって今後のテストは800Wのチップ型ターミネータを使用した自作ドライ型ダミーロードに同軸ATTを挿入したもので行う事にした。
写真は再び作業台に復帰したGU-84Bアンプ。机上のスペースを塞がないように縦に置いてみた。スペックによれば球の取り付け方向についてはFREE(傍熱管)なのでこのような設置も可能である。排気口からは火傷をしそうな熱風が出てくるので周辺に物を置かないようにする。 しかし縦にして運用するのも面白そうだ。メーター類は読み難くいが90度右回して取り付け直せば正対する。スイッチ類の表示が正対しないがこちらはノブの方向で判断ができる。 AC200Vは、今まで配電盤の単相3線両端の銅ロッドから直に32mmSQのキャップタイアケーブルで引き込んでいた。配電盤の蓋は開いたままで、ケーブルが床を走っていたため家族からは不評で、毎日非難を浴びせられていた。連休に合わせてシャックのクーラー用と称する配電系統を利用し200Vの配電を行った。最近の配電盤はこうした作業が非常に簡単にできるようになっている。シャック側は200Vコンセント1個と取り付けた。これにより家の中が随分と綺麗になった…当たり前の話だが。ただしNFBは20Aの法令遵守のため4KVAまでの負荷が原則となる。それでも短時間なら3KW出力のテストを行うことができる。右はその様子。 |
最近はPCやデジカメをはじめとする情報機器の発達で、昔なら諦めてしまうような細工がいとも簡単に、しかも個人レベル可能である。その最たるものがパネルのレタリングやデザインと言えよう。 ここではマルチメーター(NISHIZAWA/U-60/500μA)の目盛り板に測定項目であるIcg/Esg/Isg/Poの目盛りを入れてみた。元々500μAの電流計なので、Esg(500V/FS)とPo(5KW/FS)はオリジナルの目盛りを使う。Isgはブリーダー電流を0mAとして逆流に20mA正流に80mAとっている。しかしIsgは殆ど流れないので、50mAFSのシャントにして、ブリーダー電流を25mA流し、メーターは±25mAとする方がベターかも…。同様にIcgも低レベルでは逆流するので、逆流に1mA、正流に4mAとっている。常時1mA振らすには、十分に絶縁され浮いた電源を用意し抵抗を介して電流を流す。 図はオリジナル目盛り板をスキャナーで取り込み、作画ソフト上で細工したもの。IcgとIsgは0mA以下を安全領域、Esgは310〜320Vを標準値としている。これを粘着シートにプリントアウトしてプラ板に貼るか、上質紙にプリントアウトする。裏から明かりを当てれば自照式になり運用性が上がり、また高級感が出る。ハンドメーカーを自称するならここまでやりたい。オンマウスカーソルすると実際にU-60に実装して取り付けた様子が見える。またTest&Dataに関係情報ををアップした。 |
先月末に測定して保存しておいたIMDのFFTファイルを整理した。測定はダミーロード手前でサンプラーで取り出した50.5MHzの2Tone信号とPC-VFOで生成したローカル局発をパッシブ型DBMに注入しヘテロダイン検波を行う。DBM出力にはヘテロダインされた信号がAF帯に並ぶが局発周波数に対してUpper側もLower側も重なってしまうため観測ができない。そこで局発周波数をずらしてUpper側とLower側が重ならず順序良く並ぶようにオフセットを付ける。そうして出力された信号はPCのサウンドカードに入力されFFTソフトにより周波数軸上に目的成分とIMD成分が拾い上げられる。FFTソフトはShigebohこと斉藤氏制作のシェアウェアであるウェーブアナライザ32を使用している。この方式は通常の受信機出力をFFTにかけるやり方のようにIF帯の特性が出力に現れる事がないのでかなりの精度で測定が可能である。ただしDBMを中心にレベル管理には注意を払い入力信号は過大にならないようにATTでレベル調整をする。オンマウスカーソルで見える概要参照。 図は約9KHzの周波数オフセットを付けて表示されたIMD特性をハードコピーしたものである。完全な校正はしていないのであくまでも参考データであるが、エキサイタであるIC-756の特性がそのままGU-84Bアンプでも出ている。したがってアンプのIMDを議論する前にエキサイタ側の対策も考慮する必要がありそうだ。 なおPC-VFOは50MHzバンドになると近傍のスプリアスが多く、データはそれが加味されている事をご了解を頂きたい。 |