リモートシャックでの中波AMラジオの受信レベル(Feb 26. 2017)
自宅(標高約40m)で東西に張った逆V-Windomアンテナ(給電点高22m、80m長オフセンター給電)は地元のローカルラジオ局(JOPK/882KHz/10kW)を+3dBm(50Ω終端)で出力する。それも放送所方向約300m付近に標高150m程の山で遮られている。
リモートシャック(標高約400m)にも同型のアンテナがあり、こちらは南北に張られている。両社はほぼ直交しているが、ラジオ放送所の方向はそのほぼ中間に位置し、其々のアンテナの放送所に対する実効面(長)は同等とみなせる。
ただ、決定的に違うのは標高によりリモートシャック〜放送所間が完全見通しであること。単純に考えれば、方や直近で山に遮られ、方や見通しであれば検討の余地など無しと片付けられるに違いない。
それで時間帯(日出直後)と気候(晴れ・大地乾燥)を同じ条件にして実証テストを行うことにした。結果は大方の予想が外れ、なんと標高400mに設置して見通しになったリモートシャックの方が受信レベルが凡そ8dBも低かったのである。
写真は2017年2月26日AM6時台、リモートシャックの逆V-Windomアンテナ出力の様子。画像をクリックすると拡大します。
後述の自宅の逆V-Windomアンテナに比し、見通しなのに8dBも低い測定値となった。
なお測定は、変調度の関係でスペアナが広い上げるレベルに変動が有るため、何分か監視していて一番高いレベルの画像をコピーしている。

写真は2017年2月24日AM6時台、自宅の逆V-Windomアンテナ出力の様子。画像をクリックすると拡大します。
前述のリモートシャックの逆V-Windomアンテナに比し、遥かに高い約+2dBmを示している。この値は時間や天気(雨・大地湿り)でも変化を感じ、時として+4dBmを示すことがある。

この両者の違いをアマチュア無線家10人に尋ねたが正解者は出なかった。今年最大のサプライズかも知れない。
やはり中波AM放送は、我々がHFやVHF以上で習慣付けてきた直接波伝搬ではなく、地表波伝搬であることに後から気付かされることになった。見通しも重要だが、大地の導電率や誘電率が効いてくると先輩たちの声が聞こえてきそうだ。
1.8/1.9MHzバンドもこれに近い伝搬をしているものと思われ、大地と親和性を持たせるラジアルアースが有効であろうと言う結論に達する。
ところで、50Ω終端で0dBm(107dBμ)前後で受かる中波AMラジオ局は、そのまま受信機へつなぐと内部歪(内部高調波)を発生させ、2倍・3倍・4倍の周波数にスプリアスを発生させる。882KHzの4倍は3.528MHzで、アマチュアバンドのど真ん中でSメータをS9+に振らせる。それを各放送局が発生させ、それらが今度はミキサで相互変調すると受信機内部は歪の嵐になっていく。これを対策するには1.8MHz/HPFを挿入し中波AM放送の抑圧が必須となる。自宅シャックでもリモートシャックでも、一度使うとこのフィルタを手放す事が出来ない。
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