深苑 深深たり 碧綠の庭,
紫藤 深き處 五雲 生ず。
流景を 將て 且し 留め取らんと 欲し,
影(=しゃしん)を攝ること 談ずる莫れ 多感の情と。
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葛井寺観音は藤の花の名所でもある。見事に咲き誇った藤も、盛りはそう長くはない。この景を留め置こうと思い、カメラをもって写しに行った。写真を撮ったからと言って、どうなるというものでもないが、わたしにとってのせめてもの春を停める努力である。夕暮れの一歩手前だった。 |
・流景: |
遷り過ぎて行く光景。変化していく景色。 |
・留取: |
南宋・文天祥の『過零丁洋』に「辛苦遭逢起一經,干戈寥落四周星。山河破碎風飄絮,身世浮沈雨打萍。惶恐灘頭説惶恐,零丁洋裏歎零丁。人生自古誰無死,留取丹心照汗靑。」 とある。 |
・攝影: |
写真を撮る。≒拍照〔pai2zhao4〕。なお、「撮影」は、中国では「縮影」の意。
「(写真を)とる」意のことばを表す文字は、日中間で異なる。 |
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「攝(摂)」〔せつ(せふ);she4●〕収める。執る。佐(たす)ける。また、「拍」〔pai2〕、「照」〔zhao4〕。(中国語ではこちらが使われる) |
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「撮」〔さつ、さい;cuo1/4、zui4●〕つまむ。(日本語ではこちらが使われる) |