無類貧乏人, 其癖仕事厭。 後悔不先立, 年寄今殘念。 |
類(たぐひ)無き 貧乏人,
其の癖 仕事は 厭(きらひ)なり。
後悔は 先(さき)に立たざれば,
年 寄りて 今 殘念。
◎ 私感註釈 *****************
※兆載坊:江戸中期の狂詩の作者。狂詩は、日本人にしか分からない面白い詩。
※貧苦:貧しくて生活に苦しむこと。
※無類貧乏人:比べるものもない程の貧乏人だ(が)。 ・無類:たぐいのないこと。比べるもののないこと。最もすぐれていること。 ・貧乏人:貧しい人。
※其癖仕事厭:それでいて、しごとは嫌いだ。 ・其癖:そのくせ。それでいて。和語。 ・仕事:しごと。和語。 ・厭:いやである。きらいである。
※後悔不先立:「後悔先(さき)に立(た)たず」(という諺どおりで)。既に済んでしまったことを後で悔いても、もう取り返しがつかない。「後悔莫及」。 ・後悔:済んでしまったことを後になって悔やむこと。
※年寄今殘念:年が寄ってしまった今から思えば、心残りのことである。 ・年寄:年が寄る。和語。 ・殘念:遺憾である。心のこりである。思いが後に残る。和語。
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◎ 構成について
韻式は「AA」。韻脚は「厭念」で、平水韻去声二十九艷。「人」は韻脚ではない。次の平仄はこの作品のもの。
○●○●○,
○●●●●。(韻)
●●●○●,
○●○○●。(韻)
平成19.6.20 6.21 |
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