辭世 | ||
朝倉義景 |
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七顛八倒, 四十年中。 無他無自, 四大本空。 |
七顛八倒 ,
四十 年の中 。
他 無く自 無し,
四大 本 より空 。
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◎ 私感註釈
※朝倉義景:戦国時代の武将。越前国の戦国大名。越前朝倉氏第十一代の当主。天文二年(1533年)〜天正元年(1573年)。元亀元年(1570年)浅井氏とともに、近江姉川で織田信長と戦って敗れ、居城・一乗谷で自刃。
※辞世:この世を去るに臨んで、詠み遺す詩歌。
※七転八倒:混乱の甚だしい。 ・七顛八倒:混乱の甚だしいことの喩え。また、ころげまわる。苦痛でのたうちまわる。ここは、前者の意。
※四十年中:四十年の間であった。 ・四十年:作者・朝倉義景の一生の期間。天文二年(1533年)〜天正元年(1573年)の間。
※無他無自:自他の別などない(というのも)。 ・他:他。非我。 ・自:自己。自我。
※四大本空:(万物を構成する)「四大」(「地・水・火・風」)とは、本来「空」(実体がない)なのだ(から)。/あらゆるものには実体がない(のだから)。 ・四大:(仏語)地・水・火・風のこと。万物を構成する五つの要素である「五大」(「地・水・火・風・空」の五大種)から「空」を除いたもの。 ・本:本来。もとより。 ・空:(仏語)世の中の全ての物事は、因縁によって生じる仮の姿で、実体がないと謂うこと。
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◎ 構成について
韻式は、「AA」。韻脚は「中空」で、平水韻上平一東。この作品の平仄は、次の通り。
●○●●,
●●○○。(韻)
○○○●,
●●●○。(韻)
平成25.3. 9 3.10 |
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