Huanying xinshang Ding Fengzhang de wangye

                            


於郡城送明卿之江西
明・李攀龍



青楓颯颯雨凄凄,
秋色遙看入楚迷。
誰向孤舟憐逐客,
白雲相送大江西。






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郡城に於いて明卿(めいけい)江西(かうせい)()くを送る

青楓(せいふう) 颯颯(さつさつ)として  雨 凄凄(せいせい)たり,
秋色(しうしょく) (はる)かに看る  ()()りて迷ふ。
(たれ)か 孤舟( こ しう)に向かひて  逐客(ちくかく)(あは)れむ,
白雲 ()ひ送る  大江(たいかう)の西に。

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◎ 私感註釈

※李攀龍:明の文学者。正徳九年(1514年)〜隆慶四年(1570年)。字は于鱗。号して滄溟。歴城(現・山東省済南)の人。嘉靖二十三年(1544年)の進士。官は河南按察使に至った。王世貞とともに「
七子」(こうしちし)の領袖となり、盟主になった。古文辞を重んじて「文は秦漢、詩は盛唐」を主張した。著書に『滄溟集』等があり、日本では『唐詩選』の選者とされている。

※於郡城送明卿之江西:(作者は)郡城にいて、明卿が江西に(左遷されて)行くのを送別する(詩)。 ・郡城:郡役所のある町(普通名詞)。ここでは、済南府を指す。(旧・歴城。現・山東省済南(Ji
3nan2)市)のことで作者・李攀龍の故郷。『中国歴史地図集』第六冊 宋・遼・金時期(中国地図出版社)54−55ページ「金 山東東路 山東西路」及び『中国史稿地図集』下冊(郭沫若主編 中国地図出版社)70ページ〜94ページ「明代前期〜明末……」では済南府との表記であり、「郡城」との固有名詞は無い。「郡城」は普通名詞で、郡の役所のある町の意。 ・送:送別する。 ・明卿:七子の中の一の呉国倫の字。作者の友人。 ・之:行く。 ・江西:ここでは、江西省の南康(現・江西省康県)のことで、呉明卿(呉国倫)が左遷されたところ。

※青楓颯颯雨凄凄:青いフウの木の葉にさっと吹く風の音に、雨は寒く冷ややかで。 ・青楓:青いフウの木の葉。また、青いカエデ。「楓」〔ふう;feng1○〕は、マンサク科の落葉喬木の「フウ」のことであって、日本語でいうところの「カエデ」ではない。『楚辭』宋玉の『招魂』に「朱明承夜兮,時不可以淹。皐蘭被徑兮,斯路漸。湛湛江水兮,上有,目極千里兮,傷春心。魂兮歸來哀江南!」とあり、初唐・張若虚の『春江花月夜』に「春江潮水連海平,海上明月共潮生。灩灩隨波千萬里,何處春江無月明。江流宛轉遶芳甸,月照花林皆似霰。空裏流霜不覺飛,汀上白沙看不見。江天一色無纖塵,皎皎空中孤月輪。江畔何人初見月,江月何年初照人。人生代代無窮已,江月年年祗相似。不知江月待何人,但見長江送流水。白雲一片去悠悠,
青楓浦上不勝愁。誰家今夜扁舟子,何處相思明月樓。可憐樓上月裴回,應照離人妝鏡臺。玉戸簾中卷不去,擣衣砧上拂還來。此時相望不相聞,願逐月華流照君。鴻雁長飛光不度,魚龍潛躍水成文。昨夜鞨K夢落花,可憐春半不還家。江水流春去欲盡,江潭落月復西斜。斜月沈沈藏海霧,碣石瀟湘無限路。不知乘月幾人歸,落月搖情滿江樹。」とあり、中唐・張繼の『楓橋夜泊』に「月落烏啼霜滿天,江楓漁火對愁眠。姑蘇城外寒山寺,夜半鐘聲到客船。」とあり、晩唐・魚玄機の『江陵愁望寄子安』に「楓葉千枝復萬枝,江橋掩映暮帆遲。憶君心似西江水,日夜東流無歇時。」とある。 ・颯颯:〔さつさつ;sa4sa4●●〕さっと吹く風の音やさま。『楚辭』に「颯颯兮木蕭蕭」とあり、宋玉の『風賦』に「有風颯然而至」とあり、中唐・白居易の『勸酒』に「昨與美人對尊酒,朱顏如花腰似柳。今與美人傾一杯,颯颯頭上來。年光似水向東去,兩鬢不禁白日催。東鄰起樓高百尺,璇題照日光相射。珠翠無非二八人,盤筵何啻三千客。鄰家儒者方下帷,夜誦古書朝忍餓。身年三十未入仕,仰望東鄰安可期。一朝逸翮乘風勢,金榜高張登上第。春闈未了冬登科,九萬摶風誰與繼。不逾十稔居台衡,門前車馬紛縱。人人仰望在何處,造化筆頭雲雨生。東鄰高樓色未改,主人云亡息猶在。金玉車馬一不存,朱門更有何人待。牆垣反鎖長安春,樓臺漸漸屬西鄰。松篁薄暮亦棲鳥,桃李無情還笑人。憶昔東鄰宅初構,雲甍彩棟皆非舊。玳瑁筵前翡翠栖,芙蓉池上鴛鴦鬥。日往月來凡幾秋,一衰一盛何悠悠。但ヘ帝里笙歌在,池上年年醉五侯。」とあり、唐末・黄巣の『題菊花』に「颯颯西風滿院栽,蕊寒香冷蝶難來。他年我若爲帝,報與桃花一處開。」とある。なお、「青楓颯颯雨凄凄」中の「青楓颯颯」は、珍しい組み合わせ。「…颯颯」は「颯颯」とはなるが、「颯颯」はない。ただし、「風」と「楓」とは発音・声調が同じ〔ふう;feng1○〕であり、口頭で詩を詠えば「〔feng1〕颯颯」となり、「風+颯颯」のイメージが広がる。憶測を逞しくすれば「清風颯颯」「輕風颯颯」「晴風颯颯」等が元の形だったとか……。 ・凄凄:〔せいせい;qi1qi1○○〕寒く冷ややかなさま。寒く厳しいさま。ぞっとする。漢・卓文君の『白頭吟』に「皚如山上雪,皎若雲間月。聞君有兩意,故來相決絶。今日斗酒會,明旦溝水頭。御溝上,溝水東西流。淒淒淒淒,嫁娶不須啼。願得一心人,白頭不相離。竹竿何嫋嫋,魚尾何。男兒重意氣,何用錢刀爲。」とある。

※秋色遥看入楚迷:(済南府から)秋の景色を遥かに眺めても、楚(≒南方の奥地)に(も秋が訪れ)奥深くぼんやりとしている。 ・秋色:秋の景色。 ・遙看:遥かに眺める。遥かに看る。李白の『望廬山瀑布』に「日照香爐生紫煙,遙看瀑布挂前川。飛流直下三千尺,疑是銀河落九天。」とある。 ・看:(自分から主体的に)みる。見守る。のぞみ見る。窺い見る。蛇足になるが、「見」は:(受動的に)見える。 ・楚:長江中流地帯。現・湖北・湖南を中心として、河南南部・安徽・浙江まで勢力を伸ばした長江中流にあった古国一帯。

※誰向孤舟憐逐客:一体誰が、ぽつんとひとつだけの小舟(=孤独な旅路)での左遷されて行く者を憐れに思おうか。(誰も憐れんではくれない)。 ・誰:(一体)誰が…しようか。誰も…ない。誰(たれ)か…ん。反語表現。 ・孤舟:ぽつんとひとつだけの小舟。詩詞では孤独な人生の旅路にある者の表現にも使う。盛唐・儲光羲の『寄孫山人』に「新林二月孤舟,水滿C江花滿山。借問故園隱君子,時時來往住人間。」とあり、盛唐・杜甫『登岳陽樓』に「昔聞洞庭水,今上岳陽樓。呉楚東南坼,乾坤日夜浮。親朋無一字,老病有孤舟。戎馬關山北,憑軒涕泗流。」とあり、中唐・柳宗元の『江雪』に「千山鳥飛絶,萬徑人蹤滅。孤舟簑笠翁,獨釣寒江雪。」とある。 ・逐客:〔ちくかく;zhu2ke4●●〕追いやられて地方にある者。また、客分として仕える者を追いはらうこと。他国から来て色々な政策を述べる者を追放する。有税者を追い払う。ここでは、都を追い払われた官吏である呉明卿(=呉国倫)を指す。

※白雲相送大江西:(人々は哀れんでの見送りはしないけれども、ただ、天の)白い雲は、長江の西の方(江西省の南康(現・江西省康県))に(行くあなたを)見送っている。 ・白雲:白い雲。俗塵を絶ったところ。俗世間を超越したことを暗示する語でもある。唐の王維の『送別』に「下馬飮君酒,問君何所之。君言不得意,歸臥南山陲。但去莫復問,白雲無盡時。」とあり、晩唐・杜牧の『山行』に「遠上寒山石徑斜,白雲生處有人家。停車坐愛楓林晩,霜葉紅於二月花。」 また、崔(さいかう:Cui1Hao4)の七律『黄鶴樓』「昔人已乘白雲去,此地空餘黄鶴樓。黄鶴一去不復返,白雲千載空悠悠。晴川歴歴漢陽樹,芳草萋萋鸚鵡州。日暮ク關何處是,煙波江上使人愁。」、漢の武帝・劉徹の樂府『秋風辭』「秋風起兮白雲,草木黄落兮雁南歸。蘭有秀兮菊有芳,懷佳人兮不能忘。汎樓船兮濟汾河,中流兮揚素波。簫鼓鳴兮發櫂歌,歡樂極兮哀情多。少壯幾時兮奈老何。」、晉の陶淵明の『歸去來兮辭』の「歸去來兮,田園將蕪胡不歸。既自以心爲形役,奚惆悵而獨悲。悟已往之不諫,知來者之可追。實迷途其未遠,覺今是而昨非。舟遙遙以輕,風飄飄而吹衣。問征夫以前路,恨晨光之熹微。乃瞻衡宇,載欣載奔。僮僕歡迎,稚子候門。三逕就荒,松菊猶存。攜幼入室,有酒盈樽。引壺觴以自酌,眄庭柯以怡顏。倚南窗以寄傲,審容膝之易安。園日渉以成趣,門雖設而常關。策扶老以流憩,時矯首而游觀。無心以出岫,鳥倦飛而知還。景翳翳以將入,撫孤松而盤桓。歸去來兮,請息交以絶遊。世與我以相遺,復駕言兮焉求。ス親戚之情話,樂琴書以消憂。農人告余以春及,將有事於西疇。或命巾車,或棹孤舟。既窈窕以尋壑,亦崎嶇而經丘。木欣欣以向榮,泉涓涓而始流。羨萬物之得時,感吾生之行休。已矣乎,寓形宇内復幾時。曷不委心任去留,胡爲遑遑欲何之。富貴非吾願,帝ク不可期。懷良辰以孤往,或植杖而耘。登東皋以舒嘯,臨C流而賦詩。聊乘化以歸盡,樂夫天命復奚疑。」とあり、唐の賈島『尋隱者不遇』「松下問童子,言師採藥去。只在此山中,雲深不知處。」とある。 ・相送:送っていく。相-」は、動作が対象に及んでくる時に使う。「…てくる」「…ていく」の意。「相互に」の意味はここではない。梁・何遜の『相送』に「客心已百念,孤遊重千里。江暗雨欲來,浪白風初起。」とあり、白居易の『勸酒』「昨與美人對尊酒,朱顏如花腰似柳。今與美人傾一杯,秋風颯颯頭上來。年光似水向東去,兩鬢不禁白日催。東鄰起樓高百尺,題照日光。」とあり李白に『把酒問月』「天有月來幾時,我今停杯一問之。人攀明月不可得,月行卻與人。皎如飛鏡臨丹闕,拷喧ナ盡C輝發。但見宵從海上來,寧知曉向雲陝刀B白兔搗藥秋復春,娥孤棲與誰鄰。今人不見古時月,今月曾經照古人。古人今人若流水,共看明月皆如此。唯願當歌對酒時,月光長照金樽裏。」とあり、陶潜の『飮酒二十首』其一に「衰榮無定在,彼此更共之。邵生瓜田中,寧似東陵時。寒暑有代謝,人道毎如茲。達人解其會,逝將不復疑。忽與一觴酒,日夕歡。」とあり、陶淵明の『雜詩十二首』の其七に「日月不肯遲,四時催迫。寒風拂枯條,落葉掩長陌。弱質與運頽,玄鬢早已白。素標插人頭,前途漸就窄。家爲逆旅舍,我如當去客。去去欲何之,南山有舊宅。」とあり、張説の『蜀道後期』「客心爭日月,來往預期程。秋風不,先至洛陽城。」杜甫の『州歌十絶句』其五に「西一萬家,江北江南春冬花。背飛鶴子遺瓊蕊,趁鳧雛入蒋牙。」とあり、南唐後主・李U『柳枝詞』「風情漸老見春羞,到處消魂感舊遊。多謝長條似,強垂煙穗拂人頭。」、唐〜・韋莊の『江上別李秀才』に「前年相送灞陵春,今日天涯各避秦。莫向尊前惜沈醉,與君倶是異ク人。」とあり、范仲淹の『蘇幕遮』「碧雲天,黄葉地,秋色連波,波上寒煙翠。山映斜陽天接水,芳草無情,更在斜陽外。   黯ク魂,追旅思,夜夜除非,好夢留人睡。明月樓高休獨倚,酒入愁腸,化作思涙。」とあり、唐末・韋莊の『浣溪沙』「夜夜思更漏殘とあるなど、下図のように一方の動作がもう一方の対象に及んでいく時に使われている。
B
もっとも、李白の『古風』「龍虎相啖食,兵戈逮狂秦」、『遠別離』の「九疑聯綿相似,重瞳孤墳竟何是。」や『長相思』「相思,在長安」や王維の「入鳥不相亂,見獸相親。」などは、下図のような相互の働きがある。
B
勿論、これらとは別に言葉のリズムを整える働きのために使っていることも詩では重要な要素に挙げられる。 ・大江:長江のこと揚子江(「揚子江」の名称は長江下流(の南京附近?)の一部地域での名称)。また、大きな川。


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◎ 構成について

韻式は、「AAA」。韻脚は「凄迷西」で、平水韻上平八齊。この作品の平仄は、次の通り。


○○●●●○○,(韻)
○●○◎●●○。(韻)
○●○○○●●,
●○○●●○○。(韻)
2013.1.11
     1.12



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