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二月山花接郡城, 絳桃垂柳獨分明。 請看高塚宮人艸, 別作青春一段情。 |
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江上
二月 山花 は郡城 に接 はり,
絳桃 垂柳 獨 り分明 。
請 ふ看 よ高塚 宮人 の艸 ,
別 に 青春一段 の情 を作 す。
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◎ 私感訳註:
※袁宏道:明代の文学者。隆慶二年(1568年)~万暦三十八年(1610年)。字は中郎、また、無学。号は石公、六休。公安(現・湖北省内)の人。万暦二十年の進士。兄の袁宗道、弟の袁中道とともに公安派の三袁と呼ばれた。思想家・李贄(し;Zhi4)の影響を受け、性霊説を倡え、形式主義の復古派に対した。
※江上:川のほとり。 ・江:川。一般的に長江を指すことが多い。 ・-上:ほとり。場所を指す。この用例には、金・完顏亮の『呉山』「萬里車書盡混同,江南豈有別疆封。提兵百萬西湖上,立馬呉山第一峰。」や盛唐・岑參の『與高適薛據同登慈恩寺浮圖』「塔勢如湧出,孤高聳天宮。登臨出世界,磴道盤虚空。突兀壓神州,崢嶸如鬼工。四角礙白日,七層摩蒼穹。下窺指高鳥,俯聽聞驚風。連山若波濤,奔走似朝東。靑松夾馳道,宮觀何玲瓏。秋色從西來,蒼然滿關中。五陵北原上,萬古靑濛濛。淨理了可悟,勝因夙所宗。誓將挂冠去,覺道資無窮。」
や中唐・白居易の『送春』「三月三十日,春歸日復暮。惆悵問春風,明朝應不住。送春曲江上,拳拳東西顧。但見撲水花,紛紛不知數。人生似行客,兩足無停歩。日日進前程,前程幾多路。兵刃與水火,盡可違之去。唯有老到來,人間無避處。感時良爲已,獨倚池南樹。今日送春心,心如別親故。」
や中唐・張籍の『征婦怨』「九月匈奴殺邊將,漢軍全沒遼水上。萬里無人收白骨,家家城下招魂葬。婦人依倚子與夫,同居貧賤心亦舒。夫死戰場子在腹,妾身雖存如晝燭。」
や元・楊維楨の『西湖竹枝歌』「蘇小門前花滿株,蘇公堤上女當壚。南官北使須到此,江南西湖天下無。」
があり、明・高啓の『逢呉秀才復歸江上』に「江上停舟問客蹤,亂前相別亂餘逢。暫時握手還分手,暮雨南陵水寺鐘」とある。現代でも張寒暉の『松花江上』「我的家在東北松花江上,那裡有森林煤鑛,還有那滿山遍野的大豆高粱。我的家在東北松花江上,那裡有我的同胞,還有衰老的爹娘。」
がある。
※二月山花接郡城:(春の半ばの陰暦・)二月、山や野に咲く花は、郡役所のある町につながって。 ・二月:〔じげつ(にぐゎつ);er4yue4●●〕春の季節の二番目の月で、陽暦の二月下旬~四月上旬頃。仲春。中唐・白居易の『楊柳枝』其二に「陶令門前四五樹,亞夫營裏百千條。何似東都正二月,黄金枝映洛陽橋。」とあり、中唐・柳宗元に『柳州二月榕葉落盡偶題』に「宦情羈思共淒淒,春半如秋意轉迷。山城過雨百花盡,榕葉滿庭鶯亂啼。」
とあり、晩唐・杜牧の『山行』に「遠上寒山石徑斜,白雲生處有人家。停車坐愛楓林晩,霜葉紅於二月花。」
とある。 ・山花:山や野に咲く花。盛唐・李白の『山中與幽人對酌』に「兩人對酌山花開,一杯一杯復一杯。我醉欲眠卿且去,明朝有意抱琴來。」
とあり、中唐・劉禹錫の『竹枝』に「兩岸山花似雪開,家家春酒滿銀杯。昭君坊中多女伴,永安宮外踏靑來。」
とあり、現代・毛沢東は『卜算子・詠梅』で「風雨送春歸,飛雪迎春到。已是懸崖百丈冰,犹有花枝俏。 俏也不爭春,只把春來報。待到山花爛漫時,她在叢中笑。」
とする。 ・接:つづく。つながる。ひっつく。 ・郡城:郡役所のある町。「郡」〔ぐん;jun4●〕は、(秦代以降は)県の上の行政単位。
※絳桃垂柳独分明:ただ、真っ赤な桃の花と枝の垂れ下がったヤナギだけが、はっきりとしている。南宋・陸游の『遊山西村』に「莫笑農家臘酒渾,豐年留客足鷄豚。山重水複疑無路,柳暗花明又一村。簫鼓追隨春社近,衣冠簡朴古風存。從今若許閒乘月,拄杖無時夜叩門。」とある。 ・絳桃:真っ赤な桃の花。 ・絳:〔かう;jiang4●〕濃赤色。真紅色。 ・垂柳:シダレヤナギ。枝の垂れ下がったヤナギ 。盛唐・王維の『少年行』に「新豐美酒斗十千,咸陽遊侠多少年。相逢意氣爲君飮,繋馬高樓垂柳邊。」
とあり、清・王文治の『安寧道中即事』に「夜來春雨潤垂柳,春水新生不滿塘。日暮平原風過處,菜花香雜豆花香。」
とある。 ・独:ただ。だけ。副詞。また、ひとり。 ・分明:〔ぶんめい、ふんみゃう;fen1ming2○○〕あきらか。はっきりしている。明らかである。
※請看高塚宮人草:土を盛り上げた宮女の墓の草をご覧なされ。 ・請看:どうぞご覧下さい。ご覧なされ。「請う、看よ」。「看る」ことを相手に頼み勧める。「請-」は:相手に頼み勧める働きをし、実質的な敬語的表現。どうぞ。どうか。現代語でよく使う表現。 ・高塚:土を盛り上げた墓。 ・宮人:宮女。 ・草:くさ。=艸。
※別作青春一段情:(塚の草を見れば)別にまた、青々とした春の/青年時代の趣きがある(ではないか)。 ・別:別に。ほかに。南唐後主・李煜の『烏夜啼』に「無言獨上西樓,月如鈎。寂寞梧桐深院鎖淸秋。 剪不斷,理還亂,是離愁。別是一般滋味在心頭。」とあり、南宋・陸游の『訴衷情』に「青衫初入九重城,結友盡豪英。蝋封夜半傳檄,馳騎諭幽并。 時易失,志難成。鬢絲生。平章風月,彈壓江山,別是(もしや)功名。」
とある。前者と後者とは用法が異なる。ここは、前者の例。 ・青春:春。春は草木が青く茂るので謂う。また、青年。年の若いこと。ここは、双方の意を兼ねて使う。 ・一段:一区切りの。一段階の。「段」:長い物の区切りを数える量詞。
◎ 構成について
2015.2.20 2.21 |