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生在陽間有散場, 死歸地府也何妨。 陽間地府倶相似, 只當漂流在異鄕。 |
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臨終詩
生きて陽間 に在りても散場 有り,
死して地府 に歸すとも也 た何ぞ妨 げんや。
陽間 地府 倶 に相 ひ似て,
只 だ漂流 して異鄕 に在 るに當 たるのみ。
◎ 私感訳註:
※唐寅:明代の詩人。成化六年(1470年)~嘉靖二年(1523年)。字は伯虎。号して六如居士、桃花庵主。また自ら「江左第一風流才子」と名のったこともあった。呉県(現・江蘇省蘇州)の人。弘治戊午年(1498年)の挙人。政争に連坐した後、酒や花に逃れ、世俗を蔑視した。詩は、口語を排除せず、俗になることを恐れなかった。明・徐禎卿と並んで「江南四才子」と呼ばれた。
※臨終詩:死に際に作る詩。辞世。
※生在陽間有散場:この世に生きてきても、(人生劇場が)はねる(=終わる)時というものがある(のであって)。 ・在と有:「在」は「(…に)存在する/生存する」意。「有」は「(存在を表す)(…が)ある。(…を)持っている」意。 ・陽間:この世。浮き世。俗世界。*陰間=冥土。 ・散場:(芝居や寄席などが)はねる。(試合などが)終わる。現代語では〔san4chang3〕であるが、この詩の韻脚は「場妨郷」で、「場」も平声として使われている。(「場」は両韻で、〔chang2〕は「回(量詞)」の意で、〔chang3〕は「場所、舞台」の意)。
※死帰地府也何妨:死んで冥土に戻っていくのも、かまわない。 ・帰:(本来の居場所である自宅や故郷、祖国、墳墓…に)返る/戻る。 ・地府:(道家で)冥土の役所。 ・也:…も。…でも。たとえ…でも。…ではあるが。 ・何妨:かまわない。妨(さまた)げない。
※陽間地府倶相似:この世と冥土とは、いずれもともに似通っており。 ・倶:いずれも。ともに。 ・相似:似ている。
※只当漂流在異郷:単に他郷を彷徨(さまよ)っているのに相当する(ようなもの)にすぎない。 ・只当:〔zhi3dang4〕)…に相当する。…に当たる。…に匹敵する。また、たかが…に相当するだけのようなものだ。また、たかが…と思って。…として。また、〔zhi3dang0〕…とする。…と思い込む。 ・只:単に。ただ…だけ。わずかに。 ・当:両韻(多音字)で、平仄(ここでは、平声か去声かに)因って意味が異なる。〔たう;dang1○(平声)〕あたる。受け持つ。あてる。当然…である。まさに…べし。 〔たう;dang4●(去声)〕…に相当する。…に当たる。…に匹敵する。また、正しい。順調な。質(しち)。…だと思う。…と考える。妥当である。 なお、ここの詩句の平仄は「●●○○●●○」とすべきところで、第二字目の「当」のところは●(仄)とすべきところ。平仄上、ここは「まさに…べし」とは読めない。 ・漂流:彷徨(さまよ)う。流離(さすら)う。 ・異郷:他郷。
◎ 構成について
2015.11.18 11.19 11.20 |