第四橋 | |
南宋・蕭立之 |
自把孤樽擘蟹斟,
荻花洲渚月平林。
一江秋色無人管,
柔艣風前語夜深。
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第四橋
自 ら孤樽 を把 りて 蟹を擘 きて斟 めば,
荻花 洲渚 月 平林 。
一江 の秋色 人の管 する無く,
柔艣 風前 夜の深きに語る。
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◎ 私感註釈
※蕭立之:南宋末の詩人。1203年〜?。もとの名は立等。字は斯立。号して氷崖。寧都(現・江西省内)の人。理宗の淳祐十年(2150年)の進士。南宋の危機に際しては、祖国防衛戦争に加わった。南宋滅亡の後、元の統治を嫌い、隠棲した。詩は謝枋得の賞するところであった。
※第四橋:四番目の橋。
※自把孤樽擘蟹斟:自分で酒徳利を手に持って、蟹を分け裂いて(サカナとして)酒を斟(く)めば。 ・自:みずから。 ・把:(手に)とる。握る。持つ。 ・樽:酒を入れる器。徳利。酒壷。 ・擘:〔はく;bo4●〕裂(さ)く。わけさく。 ・斟:くむ。
※荻花洲渚月平林:オギの花は、中州(なかす)に(あって、)月は平坦な所に広がっている森林(の直ぐ上にある)。 ・荻花:〔てきくゎ;di2hua1●○〕オギの花。川原などに生えるススキに似た花。オギは、ススキ属の植物の一種で、川原などの湿地に群落を作る。 ・洲渚:〔しうしょ;zhou1zhu3○●〕中州(なかす)。川の中の砂浜や島。=洲汀。=洲嶼。=洲島。 ・平林:平坦な所に広がっている森林。盛唐・李白の『 菩薩蠻』に「平林漠漠煙如織,寒山一帶傷心碧。暝色入高樓,有人樓上愁。 玉階空佇立,宿鳥歸飛急,何處是歸程,長亭更短亭。」とあり、南唐・馮延巳の『鵲踏枝』に「誰道閑情抛擲久,毎到春來,愁悵還依舊。日日花前常病酒,不辭鏡裡朱顏痩。 河畔青蕪堤上柳,爲問新愁,何事年年有?獨立小樓風滿袖,平林新月人歸後。」とある。
※一江秋色無人管:川一面に(広がっている)秋の景色に、誰一人としてかまうことが無い。(=誰も気にかけない)。 ・一江:(南方の)川一面の。=満江。 ・秋色:秋の景色。秋の気配。晩唐・杜牧の『長安秋望』に「樓倚霜樹外,鏡天無一毫。南山與秋色,氣勢兩相高。」とある。 ・無人-:だれも…ない。 ・管:かまう。かかわる。かかわり合う。
※柔艪風前語夜深:しなやかな艪(ろ)(の音が、)風に(乗って)、夜更(ふ)けに(なって、周りが静かになったのでよく聞こえてきて、夜更(ふ)けになったと)、語りかけて来る(かのようである)。 ・艣:〔ろ;lu3●〕かい。ろ。こいで舟を進めるもの。=艪。 ・柔艪:しなやかな艪(ろ)。 ・風前:風の前。 ・夜深:夜更(ふ)け。夜が深まる。
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◎ 構成について
韻式は、「AAA」。韻脚は「斟林深」で、平水韻下平十二侵。この作品の平仄は、次の通り。
●●○○●●○,(韻)
●○○●●○○。(韻)
●○○●○○●,
○●○○●●○。(韻)
2017.7.31 |
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