Shici Shijie shicishijie
楊柳靑靑江水平, 聞郞江上唱歌聲。 東邊日出西邊雨, 道是無晴却有晴。 |
楊柳 靑靑として 江水 平く,
郞の 江上に 歌を唱ふ 聲を 聞く。
東邊 日 出でて 西邊 雨ふる,
道ふは是れ 晴 無きは 却て 晴 有りと。
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◎私感註釈
※劉禹錫:中唐の詩人。772年(大暦七年)~842年(會昌二年)。白居易や柳宗元との詩の応酬も多い。白居易とともに『竹枝詞』や『楊柳枝』を作る等、前衛的、実験的なことに取り組む。字は夢得。監察御史、太子賓客。
※竹枝:民歌。この作品は劉禹錫が州刺史のときのもの。なお、後世、元末・楊維楨がこれに基づいて、『西湖竹枝歌』で「勸郞莫上南高峯,勸儂莫上北高峯。南高峯雲北高雨,雲雨相催愁殺儂。」とうたう。
※楊柳靑靑江水平:楊柳が青々として、川の流れは静かだ。 ・楊柳靑靑:楊柳が青々として。 ・楊柳:ハコヤナギ属とヤナギ属を合わせていう。やなぎ。 ・江水平:川の流れは静かで。
※聞郞江上唱歌聲:あの人(男性)が川の上で歌を唱う声きこえてくる。 ・聞:きこえる。 ・郞:あの人(男性)。 ・江上:川辺。川の畔。また、川の上。 ・上:ほとり。場所を指す。この用例には、金・完顏亮の『呉山』「萬里車書盡混同,江南豈有別疆封。提兵百萬西湖上,立馬呉山第一峰。」や盛唐・岑參の『與高適薛據同登慈恩寺浮圖』「塔勢如湧出,孤高聳天宮。登臨出世界,磴道盤虚空。突兀壓神州,崢嶸如鬼工。四角礙白日,七層摩蒼穹。下窺指高鳥,俯聽聞驚風。連山若波濤,奔走似朝東。靑松夾馳道,宮觀何玲瓏。秋色從西來,蒼然滿關中。五陵北原上,萬古靑濛濛。淨理了可悟,勝因夙所宗。誓將挂冠去,覺道資無窮。」や中唐・白居易の『送春』「三月三十日,春歸日復暮。惆悵問春風,明朝應不住。送春曲江上,拳拳東西顧。但見撲水花,紛紛不知數。人生似行客,兩足無停歩。日日進前程,前程幾多路。兵刃與水火,盡可違之去。唯有老到來,人間無避處。感時良爲已,獨倚池南樹。今日送春心,心如別親故。」や中唐・張籍の『征婦怨』「九月匈奴殺邊將,漢軍全沒遼水上。萬里無人收白骨,家家城下招魂葬。婦人依倚子與夫,同居貧賤心亦舒。夫死戰場子在腹,妾身雖存如晝燭。」や現代でも張寒暉の『松花江上』「我的家在東北松花江上,那裡有森林煤鑛,還有那滿山遍野的大豆高粱。我的家在東北松花江上,那裡有我的同胞,還有衰老的爹娘。」等がある。 ・唱歌聲:歌を唱う声。
※東邊日出西邊雨:東の方では日が出て(晴れて=有情)、西の方では雨が降って(晴れない=無情)。 ・東邊日出:東の方では日が出て(晴れて)。 ・西邊雨:西の方では雨が降って(晴れない)。 ・雨:〔う;yu4●〕「雨が降る」で、動詞。「雨」という名詞のときと発音(声調)が異なる(⇔名詞〔う;yu3●〕)。
※道是無晴却有晴:晴がないといっても、晴れる時があるもんだよ。/情がないようでも、実際には情があるんだよ。 *これは、つれなくされている女性の負け惜しみでもあり、それを揶揄するとともに、同情もしているようにもみえる。 ・道是:…という。いうには、…とのこと。
・無晴:晴れない。=無情。情がない。つれない。「晴qing2」と「情qing2」は、諧音(同音異義)で、掛詞。 ・却:かえって。 ・有晴:晴れが有る。=有情。情がある。情が深い。これも諧音(同音異義)で、掛詞。
◎ 構成について
平韻一韻到底。 韻式は「AAA」。韻脚「平聲晴」は、下平八庚。詞調はこの作品のもの。
○●○○○●○,(平韻)
○○○●●○○。(平韻),
○○●●○○●,
●●○○●●○,(平韻)
2002.1. 9 1.10完 2011.2. 5補 2. 6 |
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