明日はわが身
２００３ ２月 ７日
先日主人の会社の同僚が亡くなった。悪性の癌だった。何でも､胃の外側に癌が出来て昨年の春に発見された時にはもうどうしようもない状態だったらしい。
本人はきっと亡くなる少し前まで本当に知らなかったのではないだろうか。
発見から１０ヶ月・・・・凄いスピードだ。
お通夜から帰ってきた主人が真面目な顔で言ったものだ。
「ねえ、もし俺が癌になったら、絶対に教えてくれよ。隠したりしないで欲しいんだ。頼むよ。」と。
私は、「そうね。もし私が、後半年とか一年とかの命って言われても、その間を計画的に生きたいからたぶん告知すると思うよ。」と言った。
人間何時かは死に直面する。誰でもそうだ。どんなにお金持ちだろうが、美人だろうが、権力者だろうが、「時」という文字は本当に見事に人間を含むすべての生物に平等なのだ。
先に、鬼塚先生の話を書いたが、まさにその通りで誰も自分の死への速さは知らない。ただひたすら死に向かって歩き続けているのだ。
その中でみんな試行錯誤しながら、小さな幸せを見つけながら生活している。
こんな事を書いている私だって明日の事は分からない。
ただ言えるのは、明日という日を信じていると言う事だけだ。
以前、病気をしたとき、明日という日がもうなかったらどうしよう・・・と毎日考えた事がある。
若かったせいもあるが、心底辛いものだ。経験無くしてはきっと分かってもらえまい。
明日がある、と思えることの幸せ、喜び 大切に思う。
だけど、人生って本当に不可解だ。
その亡くなった同僚にしろ（他にも）健康に凄く注意していた人だ。毎年の人間ドッグは欠かさない。タバコは吸わない。酒も程ほど決して飲みすぎない。健康食などにもかなりうるさかったそうだ。
そういう人に限って・・・・・
うちの家系は大体長生きだ。たまたま私の両親は短命だった。叔父や伯母たちは今もぴんぴんしている。もう、八十過ぎてる人もいるし。
父の直ぐ下の弟なんて、タバコは咳しながらでも吸うし（本人いわく止めたら死ぬんだそうだ）焼酎は飲むし、夜更かしは得意だし・・・
何が長生きの秘訣なんて聞きたくも無い。（苦笑）
亡くなった父がよく言っていた。
「自分が出来る事を出来る時にやるんだ。何でもいい。仕事でも、趣味でも、酒でも。それで死ぬんだったらそれでも良い。俺の、俺自身の命だ。」
その頃はなんて馬鹿な事を・・・・あまりに自己本位な考え方だよ。残された者はどうするんだ・・・と思っていた。しかし、今、自分のことを思うとなるほどなと思えるようになって来た。
若いときに聞いた言葉の本当の意味が分かるようになったのか・・・
父は６５歳で他界したが、戦争に志願兵で行き、捕虜になり、生きて戻れた自分をどんな風に思っていたのか。戦友はロシアの地で殆ど亡くなったそうだ。
命、重い言葉。
あ〜、明日はわが身か。
両親のことを思うと人生後２０年。
時間の経つのは速過ぎる。
小さな幸せを感じつつ、人に対する思いやりを忘れないようにしよう。