もうすぐ私にとって7回目のダービーの夜が明ける。
6月1日。
この日は尊敬していた母の命日でもある。
私は随分迷った。
母が亡くなって早3年。4回目の命日だ。
そんな日に競馬場に行ってもいいものか・・・・
そんな事を考えている時、母の声が聞こえたような気がした。
「チトセオーあんな後ろにいて、あ〜、もうダメだと思っていたら凄かったね〜!
あんなに沢山の馬を全部抜いて勝っちゃった。良かったね!でも、本当に驚いた!」
電話の向こうで興奮気味に話す母の声。一日も忘れた事は無い。
そうか、プレジデントも一枠一番 応援しておいでってことなんだな。
決心がついた。
みんな朝早出なのでとっくに休んでいる。
私はダービーだという興奮と母への思いと交差する頭をどうする事も出来なくて
眠れないでいた。
3時だ。
起こさなきゃ。私も一緒に行こう。
寝てない私にHとAが少し眠ってから来た方が良いと言って行ってしまった。
私は、あっ君の寝顔を見ながら壁にもたれて目を閉じた。
歓声とどよめきの中に確かに見えた。ピンクの勝負服。得意げな幼い顔のプレジデント。
綺麗に着飾って、かわいい目でこっちを見ている。
凄い!
初めて見るサクラのダービー馬だ。
5分くらいしか経っていなかった。目がさめた。
夢か・・・・
だんだん人が増えてきた。やっぱりダービーの日は特別だ。
他のグレードレースとは明らかに違う。
パドックを回る馬達。プレジデントはどうなんだろう?
勝って欲しいな。いや、無事に回ってくればいいや。でも、頑張って欲しい。
等など、勝手な思いで単勝馬券を握り締めた。
きっと勝てる、きっと勝てるよ。
自分に言い聞かせながら心はドキドキ。
あ〜、心臓に悪いよね。本当に気分が悪くなってきた。
私がドキドキしてどうするの。
でも、ドキドキするよ。
目の前を通過した後も叫んだ。
「かつはる〜〜。」「カッチー!」「負けるな!」
結果は惨敗。
最後の直線なんか、脚でも悪くしたのでは・・・というくらい走っていなかった。
心配だった。
勝ち負けなんかもう、どうでも良かった。
どうして掲示板にも載らなかったのだろう・・・
素人の私に解かるはずも無い。
私のサクラスピードオー以来のサクラなダービーは終わった。
明け方うとうと見たあの夢は正夢ではなかった。
きっと母が私にくれたささやかなプレゼントだったのかも知れない。
限りなく優しかった母からの・・・・
表彰式に流れていた「威風堂々」は、私にとってサクラプレジデントのものだったのに。
無念。
しかし、私もHARKのみんなも大きな大きな夢をみた。ずっとずっと待ちつづけていた
大きな夢を確かに見た。
サクラプレジデント。
第70回日本ダービー 7着。
70回で私の7回目のダービーで7着。そんなに気を使って語呂合わせしてくれなくても
良かったのに・・・・(苦笑)
夏を越して秋にはどんな大人の馬になって登場するんだろうか。
先ももちろん楽しみだ。
サクラプレジデント、あなたに大きな大きなでっかい夢、貰っちゃいました。
本当に本当に ありがとう!
威風堂々 サクラプレジデント by HARK