「さぁっ、判定はっ!!」
青組さんの声にゲストは右側を指したなり。そして、その日赤組さんの100勝目が決定したのだったなり。
「なぁなぁ、とうとう100勝だかんな!」
収録後、上機嫌で言う赤組さんに、青組さんは複雑そうに頷いたなり。
「お祝い、本当にしてくれる?」
と訊かれ、青組さんはしばらく何かを考えた後に、
「約束、だったし・・・・」
と言葉を濁しつつも、しかしはっきりと言ったなり。
「ただ、ちょっと待ってて欲しいんだけど」
「いいよ」
赤組さんはそう答えたなりが、その翌日から、青組さんは、下宿に帰る間もなくなるほどのハードスケジュールに突入したのだったなり。これまでだって、ドラマ中にはとても忙しくなる青組さんだったなりが、だからこそ、これまでとは比べようもない今回のハードスケジュールにちょっと納得のいかない、赤組さんだったなり。
「もしかして、避けられてる?」
つい、そんなことまで考えてしまいそうになった赤組さんだったなり。
その日、スマスマの収録後、赤組さんは
「今夜は一緒に帰れるだろ?」
と聞いたなりが、やっぱり青組さんは申し訳なさそうにそれを断ったなり。
「何で、そんなに仕事ばかりなんだよ?」
言いかけた赤組さんを遮って、青組さんは言ったなり。
「確か、おまえ、明日オフだったよな」
「オフだよ、オフだけど」
つい拗ねたような言い方になりそうな赤組さんに青組さんは苦笑して、言葉を続けたなり。
「100勝目のプレゼント。俺の時間をやるからさ。明日、一日、って訳にはいかねぇけど、19時まで。サーフィンでも、ドライブでも、何でも付き合う。・・・・今の時期、すっげー価値のあるプレゼントだと思わねぇ?」
「え?でも、中居仕事・・・・」
「日頃仕事に頑張っている俺クラスになると、ま、そのくらいのスケジュールは空けられるんだよっ!!明日はドラマの撮りもなかったし」
「撮りがなかったって」
「松本さん、売れっ子だしね、お互いのスケジュールの関係で収録ができない日、って時々あるんだよ。・・・・だから、明日の予定ちゃんと立てとけよ」
言い置いて、「やべっ、次の仕事・・・・」といいながら青組さんは楽屋を出たなり。
もちろん、この時期にオフを取ることがどんなに困難なのかは赤組さんにも判りすぎるほどわかっていたなり。赤組さんの脳裏に100勝目が決定した後で、ウルトラマネージャーと深刻な顔で、相談をしていた青組さんの姿が浮かんだなり。きっと、明日のために、青組さんはただでさえ忙しいスケジュールの調整をしたのに違いなかったなり。そのために下宿にだって帰れないほどになりながら。
「・・・・あのばか・・・・身体壊したらどうする気だよ・・・・」
そうまでして、100勝目を祝ってくれようとする青組さんに、赤組さんは、何だか泣けてきそうになっていたなり。