「中居くん、はい!」
番組終了後、女性キャスターから渡された包みに青組さんはちょっと首をかしげたなり。
「ほら、もう日付が変わったから・・・・」
言われてようやく、青組さんも今日がなんの日だったかを思い出したなり。
「ありがとうございます。・・・・すいません、今日がバレンタインデーだったって、忘れてました」
「忘れてって・・・・いっぱい貰うくせに」
女性キャスターはにっこり微笑んだなり。
「いや、ほんと、義理が少しと、ファンからは・・・・今年はどうかなぁ?とにかくプライベートでなんてほんとに、もらえてないですよ」
青組さんもにっこりとしたなり。
「そういや、ほんとプライベートで貰ってねぇよなぁ」
下宿屋に向かいがら青組さんはつぶやいていたなり。確か一番近い記憶でも・・・・。
もう何年も昔になるけれど、その頃つきあっていた彼女が青組さんの部屋に遊びに来たなり。キッチンで何かごそごそしているなと思っていたら、彼女は生クリームの浮いたあったかなココアを作ってきたなり。その日はちょうど、バレンタインデーだったなりが、それっきりだったなりから、青組さんは思わず言っていたなり。
「おまえ、今日バレンタインデーだべ?」
彼女はにっこりと笑ったなり。
「やっぱり、知らなかったんだぁ。あのね・・・・」
「ただいま」
青組さんが部屋に戻ると、赤組さんはもう帰っていたなり。
「寒かったんじゃねぇ?」
そう言って赤組さんが差し出したのは、ココアだったなり。
「たまにはこういうのもいいかなって思って・・・・。そんなに甘くないように作ったんだけど」
そのココアを受け取って青組さんはちょっと首をかしげて言ったなり。
「なぁ、これ、木村の気持ち?」
「??・・・・気持ちって・・・・?まぁ気持ちと言えば気持ちだけど・・・・」
赤組さんは自分の分のココアを取りにキッチンへと向かったなり。その背中に向かって青組さんはきいたなり。
「今日、なんの日か知ってる?」
「きょう・・・・?今日って?あ、日が変わったからバレンタインデーか・・・・って言っても、せいぜい貰えるのって義理くらいしか浮かばない辺り、淋しくねぇ?」
呑気なことを言いながら、自分の分のカップを手に戻ってきた赤組さんに、悪戯っ子の笑みを浮かべて青組さんは言ったなり。
「知ってる?ココアの別名って、ホットチョコレートって言うんだってさ」