××下宿屋木村 あ〜よかった××

 

「なぁ、『あ〜よかった』って曲知ってる?」

赤組さんが青組さんにいったなり。

晴天の小春日よりの日。 窓から入ってきた風が下宿屋のカーテンを揺らしたなり。

「『あ〜よかった』?なんだっけ、女の子二人が歌ってるってヤツね?」

青組さんがちょっと思い出すようにして答え、カーテンを揺らした風が青組さんの髪をも揺らしたなり。

「あれ、結構知ってる?」

「ん、まぁな?こないだその女の子達、うたばんに来たからさ」

驚いたように言った赤組さんに、青組さんは答えて、小さく笑ったなり。

「んで?『あ〜よかった』がどうしたの?」

「いや、ね、いい歌だなぁ、って思ったの」

赤組さんは踊るように揺れているカーテンを、思い切って引き開けたなり。部屋の中に柔らかくて温かい光が溢れたなり。部屋の隅に座っていたボニが少し眩しそうにゆっくりと瞬きして、そしてあくびをひとつしたなり。青組さんもその日は仕事が夕方になって1本きりという、静かな午後のことだったなり。

「いい歌?どんな歌だったっけ?」

首を傾げた青組さんに、赤組さんは静かに歌い始めたなり。

素直な歌詞は、そんな歌い方に似合っていたなり。

「こういうことして、様になるとこが、こいつってばずりぃよなぁ」

なんて青組さんはそんなことを思いながら、じっと耳を傾けていたなり。

「な?いい歌でしょ?」

赤組さんが言ったなり。

「あぁ、なんかいい感じだよなぁ」

そう言った青組さんにもう一度赤組さんは歌ったなり。

「あ〜よかったな、SMAPでいて」

「・・・・おまえがそれって、嘘だろ?」

「えーっ、そんなこと言うの、リーダーなのに?」

「だって嘘っぽいもん、おまえが言うと」

「ほんとだって。じゃなくちゃ、13年もやってないです」

「・・・・そっか、そんなになるんだっけ」

歌詞のように色々なことが確かにあったけれど・・・・。

 

その日は本当に暖かな、素晴らしい小春日和だったなり。