「ん・・・・」
随分と日が昇ってしまった気配に赤組さんはぽっかりと目を開けたなり。少々重く感じる頭を軽く振って、そのままぼんやりと天井を見つめたなり。昨夜は、札幌から戻ってきて、そのままとあるホテルの一室でツアーの打ち上げ、それを終えて下宿屋に戻ってきたのは夜明け近い時間だったなり。だから、そんなに長い間眠っていたというわけでもなかったなりが。ツアーのために預けているボニータはもちろんのこと、すでに下宿屋には誰の気配もなかったなり。
まるでいつも通りの下宿屋の月曜日の朝。
それでも、何故かたしかめるように青組さんの部屋を覗き、青組さんが本当に仕事に出かけてしまったと言うことを赤組さんは確認していたなり。
「余韻のねぇヤツ・・・・」
さっさと、ツアーから日常に戻ってしまった青組さんにそう呟いてみる赤組さんだったなり。7月後半からほとんど毎週末にくり返されていた非日常。それがもう終わってしまったというのは、何だか少し淋しい気もしていたなり。
「余韻のねぇヤツは女の子に嫌われるんだぜ?」
言いながら、赤組さんは10周年のツアーをぼんやりと思い出していたなり。
「また、随分と盛りだくさんのツアーだったよなぁ」
始まりは新潟県長岡市。大阪、岩手、広島、名古屋、東京スタジアム、福岡、東京ドーム、札幌・・・・。色々なことがあった二ヶ月半だったなり。けれどもそれはきっと、SMAPというグループには欠かせなくなる二ヶ月半に違いなかったなり。
「そういやあいつ、風邪大丈夫かな?」
下宿屋に戻ってからも少し鼻をくしゅくしゅさせていた青組さんのことを赤組さんはふと思い出したなり。札幌ドームのオーラスは予定時間を少々(苦笑)延びてしまったなり。そのため、シャンパンシャワーのシャンパンまみれでバスに詰め込まれ、そのべたべたした感触と匂いにどうにも我慢が出来ずに、バスの中でお互いペットボトルの水を浴びてシャンパンを洗い流していたなり。バスの中は暖房も効いていたとは言え、初秋の札幌は結構肌寒くもあり、その後、メンバー全員どうも調子が今ひとつだったのだけれど。
「ボニを引き取りに行って、その後、今夜なんかあったかいもの作るための材料買ってくるかなぁ?」
そうして、赤組さんもまた「くしゅん」と小さくくしゃみをしていたなり。