「なぁ、映画見に行く?」

その日赤組さんはオフで、ずっと前から見たいと思っていた映画を見に行く予定だったなり。そして、ちょうど青組さんも予定していた仕事の相手の都合が悪くなってしまったとかで、その日の朝いきなり、1日ぽっかり空いてしまい、暇そうに部屋の中でごろごろしていたなり。だから赤組さんはそんな風に青組さんに声をかけたなりが、実のところ青組さんがのってくるとは思っていなかったなり。

「いいぜ」

その返事に思わず青組さんの顔をまじまじと見つめてしまった赤組さんだったなり。

 

二人でなるべく目立たないような格好をして、並んで映画館に座席に座ったなり。平日の映画館はそんなに込んでいなくて、なかなかいい席に座ることが出来たなり。映画は、赤組さんにとって期待通りの作品で、スタッフロールを見ながらその余韻に浸っていると、不意に青組さんが、

「この後、何食いに行く?」

と言ったなり。(やっぱり・・・・、こうなるかなぁ。)もう、短いとは言えない付き合いなりから、お互いの好みも結構わかっていて、多分青組さんはそれほど楽しんではいなかっただろうとは思っていたものの、ちょっとがっくりして赤組さんは青組さんを見たなり。

青組さんはにやにやしながら赤組さんを見ていたなり。

「やっぱ、険悪になる?」

「いや、中居相手だとそんなには」

言ってから赤組さんは気づいたなり。

「もしかして、おまえ、あの記事読んだの?」

「あぁ、ちょうど前の仕事の時、控え室においてあったし。これ、俺だったら、険悪ぐらいじゃすまねぇかな?って思ったんだけど」

「え?中居とは映画の趣味、違ってるって知ってるし、別にそんなことないけど?」

「そんなもん?」

「うん、そんなもん」

 

その後、二人で軽く食事をとりながら、青組さんが言ったなり。

「それにしても、映画の趣味に限んねえよな」

「ん?」

「音楽にしても、なんにしてもこれだけあわねぇのになんで俺ら一緒にいるんだろ?」

不思議そうな顔をする青組さんに赤組さんは笑ったなり。

「そりゃ、他に合うところがあるからでしょ?」

「例えば?」

「例えば・・・・」

「ほら、ねぇべ?」

「あのさぁ、中居、おまえ本気で何もないと思ってんの?」

「でも、ねぇんじゃん?」

「あるってば!!」

ちょっとむきになって赤組さんは言ったなり。

「なんだよ、それ」

「話の呼吸!!これさえ合っていれば、いくら話をしてても楽しいからいいの。だから俺らは今まで続けてこられたんだろ?」

「それにさ」

赤組さんはちょっと区切ってから言葉を続けたなり。

「すっごく、趣味の合っているヤツと趣味の話をするのって確かに楽しいけど、全然趣味の違うヤツなのになんかの弾みで、同じものに同じように心を動かされて、そのことについて話が出来たら、そっちのほうがずっと楽しいし。絶対そっちの方が嬉しいし、中居はそんなことない?」

青組さんはそれには答えずに、くすくす笑っていたなり。だから、結局そのことについての青組さんの意見は聞けなかったなりが、

「ま、いっか」

と思った赤組さんだったなり。