××下宿屋木村 番外編 中居くんのお引っ越し××

お久しぶりです。木村ボニータです。

ある日パパが、にこにこしながら、物置みたいにして使っていた部屋のお片づけを始めました。「何してんの?」って思って、ボニが見に行ったら、パパはにっこり笑って、

「中居、今度から、この部屋にすむから。ボニ、嬉しい?」

と、ボニの首を抱え込むようにして、ボニの頭をぐりぐりって撫でてくれました。ボニは嬉しかったけれど、これまでも毎日中居くんには会ってたのに、「住む」ってどんなことなんだろう、って思いました。

 

知らない男の人たちが、お道具やなんかを運んできて、お部屋は急に明るくなりました。ここが、中居くんのお部屋だと思うと、ボニはこのお部屋に入りたくって仕方なくなります。中居くんは時々ボニもお部屋に入れてくれます。ボニはこたつに入っている中居くんの横に並んで座って、一緒にテレビを見るのが好きです。

お道具が沢山来たとき、

「どうして、前の部屋引き払わねぇの?」

って、パパは少し「ふまん」(って言うみたい。中居くんが使っていたから覚えたの)そうにしていました。

「だって、一部屋分の俺の服、ここには置ききれねぇし・・・・」

「・・・・だからってさぁ・・・・」

「それに、ケンカした時とかまで、一緒の家に帰りたくねぇもん、俺」

「あのさぁ、・・・・そんな“実家に帰らせていただきます”みてぇなこと・・・・」

「とにかく!!俺は今の部屋は引き払いませんっ!文句あるんだったら、引っ越しの方やめるから」

これで話は終わり、みたいに中居くんは言いました。パパは少しむっとしたみたいでしたが、何も言いませんでした。

その日から、中居くんはうちに「住む」ようになりました。パパも中居くんもにこにこしているから、それだけでボニは嬉しくなります。

でも、ボニは「住む」ってなんなのか、よくわかんないままでした。

 

「ただいま」

あっ、中居くんだ!!今までもずっと中居くんは、パパとボニのうちに来ていたけれど、いつも「お邪魔します」だったことに、ボニは気が付きました。

ボニはちょっと嬉しくなって、「お帰りなさい」ってしっぽを振りました。「おかえり」って言ったら、中居くんも、ボニと家族になったような気がして嬉しかったです。

・・・・あ、一緒に「住む」ってこういうことなのかなぁ?

 

・・・・そして、ボニもね。

他のおうちに帰るなんて、中居くんには言わないで欲しいなぁ、って思いました。いつか、パパとボニのいるところが、中居くんの本当のおうちになったらいいのにな。

おしまい