××下宿屋木村 1ダースの言い訳 ××

 

「なぁ、あの件どうなってんの?」

気遣わしげに聞いた青組さんだったなりが、赤組さんは不機嫌に

「・・・・べつに・・・・」

と答えたなり。

「べつに・・・・って、べつにじゃねぇだろ?てめえだけのことじゃねぇ、SMAPにだって関係してくるんだから!きちんと説明しろよ?!」

「なんで、てめえにそんなことまで説明しなきゃなんねえんだよ?!」

「なんで・・・・って・・・・!後ろめたいことがねぇんだったら、ちゃんと言えるだろ?」

「おまえ、俺の何?なんだったら、いちいちそこまで報告させんだよ?」

赤組さんが言いすぎたと思ったときには遅かったなり。

「あぁ、そりゃそうだな」

青組さんは言うと、そのまま帰ってきたときにそこに置いていた荷物を手にしたなり。

「悪かったな」

そしてそれだけを言い置いて部屋を出たなり。

 後には赤組さんだけが残されたなり。

「何だっての!」

一瞬青組さんの後を追おうとして、それもできなかった赤組さんだったなり。

リビングに戻り、TVのリモコンを手すると、きっと見ないはずのTVの電源を入れたなり。

 

「言えばよかったんだよなぁ・・・・」

 青組さんに聞かれたことを、本当はきちんと説明できたはずの赤組さんだったなり。

「けど、あいつ、まるで、他人が聞くみたいな聞き方すんだもん」

メンバーとして12年、1番近いところにいたはずの相手だったなり。だから、本当にそれだけが、嫌だったなり。

「あいつ・・・・傷ついた顔してたよなぁ」

俺だって、結構傷ついたんだし・・・・そう思ったけれど、青組さんのその顔が赤組さんの頭から離れなかったなり。

「もう、マンション、帰り着いてる頃だよな」

鳴らない携帯と、吸っては消し、吸っては消しして、いつの間にか吸い殻だらけになってしまった灰皿を前に、赤組さんは溜息をついたなり。「くん」ボニータが「何をしているの?」とばかりに赤組さんのひじに鼻を押しつけてきて、赤組さんは携帯を取り上げ、呼び出しのボタンを押したなり。

 

「はいっ!!」

「あ・・・・俺だけど・・・・」

「・・・・ん?何か用?」

相変わらず青組さんは素っ気なかったなり。が、1コールのみで、慌てて携帯に出たことに赤組さんは気付いたなり。だから、自然と言葉が出てきたなり。

「さっきはごめん・・・・。あれはさ・・・・本当はね・・・・」

きちんと説明することで、また青組さんが笑っていくれるなら・・・・まだ電話の向こうで強情な態度を崩そうとしない青組さんに、静かに話し始めた赤組さんだったなり。