××木村旅館 緑の親指を持つ男××

 

雲一つなく晴れたある日、ふと赤組さんは思ったなり。

「せっかくベランダあるし、ガーデニングしてみるべ?」

早速、赤組さんはプランターや、花の土、腐葉土、花の苗、その他を買ってきたなり。

「土、土、ほりた〜い!!」

プランターに入った土を見て落ち着かなくなったボニに、

「ボニ、ダメ」

と注意した赤組さんだったなり。花の苗を植えたプランターをベランダに並べた赤組さんは、早速水をやったなり。

緑溢れるベランダを夢見る赤組さんを襲ったのは、数日後、枯れてしまった花の苗、という現実だったなり。

「なんで?」

諦めきれない赤組さんは、再び挑戦したなり。

しかし。

水なりか、肥料なりか、日光なりか、苗との相性なりか、何度挑戦しても緑は根付くことはなかったなり。

「なにやってんだよ?」

久しぶりに早めに帰ってきていた青組さんに、赤組さんはこれまでの経過を説明したなり。

「そんなに難しいこと?」

あきれたように言う青組さんに、

「ぜってー難しいって」

赤組さんは力説したなりが、

「おまえに才能ないだけだろ?」

とあっさりとあしらわれていたなり。

「才能ってなぁ、やったこともねぇヤツに言われたくねぇよ」

売り言葉に買い言葉、

「よし、じゃあやってやろうじゃん」

青組さんもガーデニングに挑戦することになったなり。

土を併せて、プランターに入れ苗を植え、それをベランダに並べると、そっと水をやった青組さんだったなり。

一日経ち、二日経ったなり。青組さんは毎日水をやったなり。

プランターの苗に勢いがつき始めたなり。

三日経ち、四日経ったなり。・・・・とりあえず、水やりに励む青組さんだったなり。

一週間も経ったときには、葉は青々と生い茂り、花の蕾も幾つか付きはじめていたなり。

・・・・そう、青組さんは緑の親指を持つ(アメリカでは園芸の才能があることをそう言うらしいなり)男だったなり。

「すげえ、すげえじゃん中居!!」

赤組さんは感心したなりが、赤組さんにそう言わせたことで満足したなりか青組さんは、それっきりプランターには意識を向けなくなったなり。

数日後、プランターの花は枯れてしまったなり。

「なんで、世話しねぇんだよ?」

赤組さんに言われ、

「どうして俺が?」

青組さんは怪訝そうに言ったなり。

豚に真珠、猫に小判、青組さんに緑の親指・・・・言葉の意味を噛みしめる赤組さんだったなり。

 

今現在、下宿屋のベランダのプランターは、ボニの遊び場所になっているらしいなり。