青組さんは、仕事でちょっとだけ使った写ルンですをおみやげにもらって帰ってきたなり。ボニを相手に撮影会ごっこなんてして遊んでいると、赤組さんも帰ってきたなり。

「なにやってんの?」

「あ、これ?今日ちょっと使ったんだけど、もういらねぇからって貰ってさ、せっかくだし、何か撮ろうかなー?って思って・・・・」

「で、ボニの撮影会?」

「ん」

そう言う青組さんの横に近づいて、赤組さんは言ったなり。

「な、せっかくだし、ふたりで写んない?」

「何で?」

「何でって・・・・、だって最近俺ら、仕事でもツーショットってねぇじゃん。たまには、ツーショもいいと思うけど」

という赤組さんの言葉に、

「別にいらねぇだろ?」

冷たく青組さんは返したなり。

「えーっ、撮ろうよ?」

赤組さんはそういって、青組さんの手の写ルンですに手を伸ばしたなり。青組さんはとられまいと、その手を避けるようにますます腕を伸ばしたなり。

「何だよ、貸せってば!」

「やだっつうの!」

ふたりでもみ合ううちに、互いにバランスを崩してカーペットの上に倒れ込んだなり。それでもまだ、写ルンですを取り合うふたりだったなり。

「取ったっ!!」

勝利者は赤組さんだったなり。床の上、青組さんを腕の中に抱え込むようにして、赤組さんは写ルンですを持った腕を伸ばしたなり。

「はい、笑って!」

パシャ!

「何で笑わねぇんだよ!」

「仕事でもねぇのに、笑えるかよっ!」

「あっ、かわいくねぇーっ!」

「男がかわいい必要はねぇだろ?」

「そういうこと言うわけ・・・・ふぅーん」

いきなり赤組さんの指が、青組さんの脇腹に伸びたなり。

「あっ、やっ!!・・・・卑怯者っ!」

「だって、笑ってるとこ撮りたいじゃん?」

くすぐられて、どうにも耐えられずに笑い出した青組さんを腕の中に抱え直して、赤組さんはフィルムがなくなるまで、何枚も写真を撮ったなり。

 

「おまえ、こんなフィルム、写真屋に出す気なわけ?」

青組さんはソファに座り膝を抱えると、赤組さんに冷たい視線を向けたなり。

「・・・・えっとぉ」

その視線を避けながら、赤組さんは少々口ごもったなり。

「出すの・・・・やめる?」

窺うように言う赤組さんに、ますます冷たく青組さんは言ったなり。

「俺、あのフィルムの最初に入ってたヤツ、欲しかったんだよな」

沈黙が部屋を支配したなり。

それに耐えきれないように赤組さんは言ったなり。

「わかった、わかりました。これは、俺が責任を持って現像しますっ!」

 

下宿屋木村、本日は写真屋木村、なり(笑)