その夜の下宿屋のメニューは、収録中の青組さんの一言が決定打となって、鍋料理だったなり。鍋についても色々あったなりが、青組さんがその時食べた出汁の鶏の味が忘れられないと言うことで、鶏の水炊きと言うことになったなり。
赤組さんが本場さながらに作り上げた水炊きの、熱々の鶏肉や、鶏の味の良く染みた白菜などを紅葉おろしの入ったポン酢でいただいて、
「うっめーっ!!」
大満足の青組さんだったなり。
もちろん、鍋の最後はおじやに突入することになったなり。
ご飯を入れて、卵を準備しながら赤組さんは笑ったなり。
「それにしても、慎吾のあのやり方はやっぱり違うよな」
「うん、あれはなぁ・・・・」
器を片手にわくわくと待ちながら青組さんも言ったなり。
「でも俺らも、最初は色々あったじゃん?」
赤組さんが溶いた卵を鍋に入れるのをじっと見ながら、そんなことを思い出した青組さんだったなり。
「あーっ、そんなとこで卵入れるかぁ、普通?」
「普通ってなんだよ、普通って!俺にとってはこれが普通なのっ!!」
青組さんが下宿し始めた頃は、鍋をする度に色々と問題が起きたなり。鍋というのは簡単なものだったなりが、それ故にそれぞれの家のやり方、というか拘りが出やすいものだったりするのだったなり。
「大体あんなとこで卵入れてかき混ぜたりしたらさぁ・・・・」
せっかくのおじやも、そんな文句が付いては楽しいものではなくなってしまうなりし、事実二人してそれが元で2、3日に渡る大喧嘩になってしまったこともあったなり。
それでも何度か鍋をして、それぞれのやり方でおじやを作り、そのおじやにそれぞれから文句が出たところで二人は考えたなり。一緒に鍋をするのだったら、これからもずっとこんなことが起こるなり。その度にどっちのやり方でおじやを作るかで言い争うなりか?それとも、もうこの二人で鍋をするのはやめてしまうなりか?と。
「なぁ、中居のやり方のおじやもうちのやり方のおじやもいいけどさぁ、この際下宿屋のおじやの作り方って考えてみねぇ?入れるものとか、入れるタイミングとかも鍋の度に色々考えてさぁ」
赤組さんが提案し、青組さんもそれに頷いたなり。
そうして、それから何度も試行錯誤と、たまにはケンカも繰り返しながら、下宿屋式のおじやが完成したのだったなり。
今では二人とも、このやり方以外の作り方が思い出せないくらいに、馴染んだおじやの作り方になっていたなり。
「なぁ、ポン酢入れとく?」
「あ、ちょっとだけ入れといて」
器によそわれたおじやを受け取って、赤組さんが自分の分のおじやを用意するのを青組さんはじっと待っていたなり。
「じゃ、いただきます」
二人でふうふうと息をかけて冷ましながら食べはじめたなり。鶏の出汁の味がしみたおじやはとても美味しかったなり。